『キーピング・アーカイブズ Keeping Archives』連載第13回

 


■ビデオの種別の概要

■フォーマット
●オープンリールテープ・フォーマット:2インチ、1インチ、1/2インチ(稀少)
●カセット・フォーマット:アナログ・ベータカムSP、3/4インチ、Uマチック(ハイバンド、ローバンド)、VHS、S-VHS、Hi8、デジタル・ベータカム、ベータマックス
●小型カセット・フォーマット:miniDV、DVCam、DVCPro


■世代
●ラッシュ
●オフライン編集
●オンライン編集
●サブマスター
●マスター
●ダビング

■音の種別
ビデオには画像と同様に音声も存在し、複数のサウンドトラックを収録できる。マルチトラックは様々な目的に使用される。画像と共にステレオやサラウンドの音声を収録しているものもあり、ビデオテープのラベルには、トラックに関する情報が次のように記載されている。

●モノラル(シングルトラック・ステレオ)
●2トラック
●5.1サラウンド(5つのトラックと低音トラック)

最終的なコンポーネントとして、ビデオには、サウンドトラック、台詞、サウンドトラック、音楽と効果音のミックス、そして最終ミックスも収録できる。テープのラベルには以下のようなことが書かれていると考えられる。

●2トラック、4トラック
●最終ミックス、音楽と効果音(M&E)

■画面比率〔アスペクト・レシオ〕
画面の縦横比を意味する。馴染みのある事例は最近のテレビ画面で起こっている。以前のテレビは高さに対して少しだけ横幅が広い4:3の比率だったのが、今では高さに対して横幅が2倍近くある16:9のワイドスクリーンに置き換わっている。

■地域ごとのテレビの規格
●PAL 1秒に25フレーム、50Hz。英国で確立され、オーストラリアや英連邦のほとんどの国々、そしてヨーロッパで使用されている。
●NTSC 1秒に30(正確には29.97〔※ 原著では29.7となっている〕)フレーム、60Hz。米国で確立され、日本でも使用されている。
●SECAM 1秒に25フレーム。フランスで確立され、使用されている。

③光学ディスク
光学ディスクは前章で記述したので、ここでは繰り返さない。VHSの品質を改善するために出てきたDVDだが、光学メディアの寿命が比較的短いことは言及に値する。層間剥離や記録層の酸化、表面の傷や汚れといったリスクが高い。

④データフォーマット
考慮すべき4つ目の動画像記録に、データファイルがある。動的映像と音声記録は、データファイルとして作成され、データファイルへコピーされることが増えている。データファイルは電気的な記録で、ハードウェアとソフトウェアの正しい組み合わせ次第で〈機能する〉。旧式化や、永続的に必要になるメタデータの問題は、他のデジタル記録と同様だ。携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラの中にもデータで記録するものがある。データはそれ自体、様々な携帯メディア―CD、DVD、USB(メモリースティック、フラッシュドライブ)、外付HDD、コンパクトフラッシュカード(CFカード)、セキュア・デジタルフラッシュメモリー(SDカード)―に格納される。後者のカードタイプはデジタルカメラ、デジタルオーディオ・レコーダ、携帯電話に使用されている。これだけでも4つの技術―光学ディスク録音、フラッシュメモリとソリッドステートメモリ(駆動部品のない2つの異なるストレージ方式)、ハードドライブのコーティングされた回転ディスクの中の磁気メディア―が採用されていることから、フォーマットの広がりは明白だ。
キャプチャ方式とキャプチャ時のストレージ方式を分けるという点が、データによって持ち込まれたもう一つの重要な特徴だ。
フィルムやビデオとデータファイルの相違点として、データファイルには固有のキャリアが存在しない。我々が目にしてきたように、データファイルは様々なメディアに記録可能で、適切なソフトウェアさえあれば、映画フィルムやビデオを含む多種多様なフォーマットで再生もできる。一般的なハリウッドのプロセスでは、映画フィルムをスキャンしてデータ化し、コンピュータ・アニメを加え、それを再びフィルムに戻して完了となる。予算のかかったテレビ番組の制作では、フィルムをテレシネしてビデオ化し、ビデオをデジタル・データ化し、コンピュータ・アニメを加え、それを再びビデオに戻すのが一般的だ。
データとしての動的映像が難しいのは、巨大なファイルサイズや、記録を〈機能させる〉に足る高速コンピュータが必要なためだ。画質が向上すれば、その分だけファイルは大きくなる。大量の画像情報をキャプチャする映画フィルムや高性能のビデオテープといったフォーマットの再現には、かなり大きなファイルサイズが必要になる。
大きすぎるデータの問題を解決するのが圧縮だ。そもそも、圧縮とは分量を減らすためのデータの再エンコードだ。程度の差こそあれ、データファイルやほぼすべてのビデオフォーマットに圧縮が利用されている。
DVDやインターネット上の動的映像にとって、圧縮は極めて重要だ。使用する圧縮システムに一貫性はないが、プロの制作現場ではMpeg-2がデフォルト標準となっている。Mpegとは、デジタル環境におけるメディアの作成・配給用の標準設定に携わる団体Moving Picture Expert Groupの頭文字だ。Mpeg-4は携帯ビデオプレイヤーやインターネット上で使用され、Mpeg-21はマルチメディア用だ。詳細はMpegに関する文献を参照のこと。
圧縮プロセスには基本的に、各フレームを構成する画像情報の分析と、重要ではない情報や繰り返される情報の探索が含まれる。ファイルの総量を減らすために情報を間引きし、結果的に非圧縮時の状態と比べて認識できる違いがほとんどない状態を目指す。映画ファンにDVDが与えた大きな前進は、ほとんど違いが分からない程度に圧縮したファイルのストレージ容量が確保できたことを意味する。
圧縮には「ロス無し」と「ロス有り」の2つのタイプがある。ロス無しの圧縮は、画像情報を容量的には減らすが、ファイルを展開する際にはすべての情報を再現できる。このコンセプトは、スチルの画像制作やデザイン・出版用アプリケーションで使われるZipファイルに使用されている。ロス有りの圧縮は、相当量の情報が再現できずに失われてしまう。引き換えに、ファイルのサイズが小さい割には高い品質を得ることができる。
データは様々なフォーマットに出力できる。CD、DVDは頻繁に使用されるキャリアだ。例えばHi8テープやDA-88テープのような幅の小さな磁気テープは、データのキャプチャ用に広く用いられてきた。個人制作においては、Hi8やDA-88は動的映像の音声をキャプチャするのに用いられてきた。
データファイルは、アーカイブズにおいて動的映像にアクセスする場面で重要な役割を果たしている。アクセスという観点から、データファイルが持つ大きなアドバンテージとして、例えばウェブ公開用に容量を小さくするため圧縮をきつくかけるなど、比較的簡単で経済的に、用途に応じて改変できる能力がある。一方でデータの持つこの適応力は、改変を感知できなくしたり、保存のための倫理的な問題や、広い意味での記録管理上の問題をもたらしたりするため、リスクにもなる。

■ビデオ圧縮のロス有り/無し
●Motion Jpeg ロス有り
●JPeg2000 ロス有り、またはロス無し
●Mpeg-1 ロス有り
●Mpeg-2 ロス有り
●Mpeg-4 ロス有り
●H.264(Mpeg4.AVC) ロス有り

■共通の動的映像メディアのコンテナまたはファイルタイプ
●.avi Audio Video Interleave File
●.mov Apple QuickTime Movie
●.mp4 MPEG-4 Video File
●.mpg MPEG Video File
●.qt Apple QuickTime Movie
●.rma RealMedia
●.swf Macromedia Flash Movie
●.wma Windows Media Video
●.dv Digital Video Encordin(DV、DVCam、DVCPro)
●.vob DVD Video Object

この情報は、米国議会図書館のデジタル・フォーマットに関するウェブサイト(2004年)と、『NINCH guide to good practice in the digital representation and management of cultural heritage materials』に基づいている。

 


(第14回につづく)

Keeping Archives, 3rd
Copyright (c) The Australian Society of Archivists, 2008.
First published by The Australian Society of Archivists.

オーストラリア・アーキビスト協会からのご配慮に厚く御礼申し上げます。

 

翻訳者プロフィール

NPO法人映画保存協会
http://www.filmpres.org/
映画保存協会(Film Preservation Society, FPS)は映画フィルムを文化財として保存する活動に取り組むNPO法人です。
翻訳に関するご意見などがござましたら、以下にお問い合わせください。

info[at]filmpres.org  *[at]の部分を「半角アットマーク」に変更してください。