『完訳 楊家将演義(上巻・下巻)』『楊家将演義 読本』刊行記念特集

 

『楊家将演義』、中国の民衆に広く支持された物語。
しかし、日本では『三国志演義』や『水滸伝』などのようには広まらなかった。要因は様々あるだろう。その中でも最大の要因は、翻訳書が無かったということであろう。
そこで、本邦初となる翻訳を企画として打ち出した。
『三国志演義』や『水滸伝』同様にいくつも版本があるのが中国の古典小説である。
その中でも『楊家将演義』と呼ばれる小説は、現代に二種類の系統の版本が伝わっている。
今回はふたつの版本のうち歴史に比較的近い系統のものを底本に翻訳を行った。
また、今まであまり知られて来なかった『楊家将演義』と言う作品を読む上で、様々な付随知識を収載した『楊家将演義 読本』も同時刊行することとなった。
中国では現代でもドラマや映画に到るまで広くリメイクされて人気を博している『楊家将演義』の世界を是非とも楽しんでいただきたい!

 

刊行について

日本で中国の有名古典小説と言えば、『三国志演義』・『水滸伝』・『西遊記』・『紅楼夢』の四大名著であろう。しかし、これらに劣らぬほど「楊家将演義」は中国の人々に受け入れられているにも関わらず、日本ではあまり知られていない。もっと多くの日本人に『楊家将演義』を知ってもらいたい。
戦うのは男だけじゃない、女も武将として戦地へ征く。そして、人間界の争いには必ず仙人も加わってくる。現実と仮想の入り交じったマルチドラマ。それこそが『楊家将演義』なのである。
本邦初の翻訳『完訳 楊家将演義(上巻・下巻)』を是非楽しんでください。
また、ドラマや映画などの映像媒体から『楊家将演義』の世界に入りたい方、『楊家将演義』の京劇を見てみたい方、『楊家将演義』の知識を増やしたい方には『楊家将演義 読本』がお奨めです。

 

訳者インタビュー・岡崎由美先生

◎岡崎由美(おかざき・ゆみ)
中国文学研究者。1981年早稲田大学第一文学部卒業。早稲田大学文学学術院教授。専門は中国大衆文芸。徳間書店にて中華圏で絶大な人気を誇る金庸全作品の日本語訳及び監修を手がける。主な著作に『中国の英雄豪傑を読む』・『武侠小説の世界を読む』・『武侠映画の快楽』などがある。

Q.今回、日本では初の翻訳ですが、訳していて面白かった部分・大変だった部分はどこですか?
 「天朝が恩威を以て、天下に安寧をもたらす」とか「宋朝の威徳を慕って諸国がなびく」とか、宋朝側の発言や描写を訳していると、何か妙なデジャ・ヴ感が……。AIIBの設立などで、これに似たこと言ってませんでしたっけ?明代の小説ですが、中国の政治的言説を理解するのに役に立つかも。私の訳したところでは、やはり後半に大きく話が動き、ハイライトの「天門陣」の戦いがあるあたりです。楊宗保と穆桂英との出会いや、その活躍ぶり(楊宗保は完全に父親より目立っています)、遼に身を隠した楊四郎が再び脚光を浴びたり、孟良と焦賛の最後(ちょっとネタバレ)など、起伏があって訳していても面白かったので、ぜひ下巻まで通してお読みください。
Q.『楊家将演義』の魅力はどこにあると思いますか?
 端的にエンタメです。父も母も兄も妹も夫も妻も家族まるごと武将のファミリー戦記という設定自体がぶっとんでいます。群像ものではありますが、楊一家がフォーカスされているので、ストーリーの視点がぶれずに読みやすく、主要な人間関係も頭に入りやすいと思います。ストーリーの1回毎にハイライトになるプロットが組み込まれていて、現代でも連続テレビドラマやゲームにアレンジされるのは、わかる気がします。仙人が介入するなどファンタスティックな趣向や、孟良と焦賛のコミック・リリーフ的な登場場面とか、中国古典小説の娯楽性が散りばめられていて、面倒な理屈抜きで楽しめるのではないでしょうか。
Q.他に訳してみたい古典小説はありますか?
 英雄戦記小説の有名どころでは、『説岳』とか、『説唐』なのでしょうが、私は武侠小説の翻訳をしていたので、機会があれば、清代の侠義小説『施公案』や『緑牡丹全伝』などを訳してみたいと思います。前者は裁判ものとチャンバラの合体です。後者はラブストーリーとチャンバラの合体で、物語の時代背景は唐の則天武后時代ですが、描かれた風俗は明らかに清代のもの。天下を渡り歩く用心棒稼業やら北の馬賊、南の海賊が登場し、またその親分がカッコよろしいオヤジたちで、アドベンチャーものとして楽しめると思います。それから、日本では見かけない、けったいな、もとい発想の面白い小説も訳してみたいですね。明末の宦官魏忠賢の悪の一代記『檮杌閑評(とうこつかんぴょう)』とか。

訳者インタビュー・松浦智子先生

◎松浦智子(まつうら・さとこ)
中国文学研究者。2009年早稲田大学文学研究科中国語・中国文学専攻修了(博士)。名城大学理工学部助教。専門は中国文学・中国通俗文芸。

Q.今回、日本では初の翻訳ですが、訳していて面白かった部分・大変だった部分はどこですか?
 やはり、楊業の死に至るまでの流れは、訳していて大変おもしろかったです。楊家将の物語の出発点ともいえる部分だけあって、楊業ら一族や八王、呼延賛といった楊家側の人物だけでなく、楊家と敵対する潘仁美やその取り巻きたちがもつ人間くささが、何ともいえずリアルに描かれていましたので。とはいえ、その人間くささをどこまできちんと訳出できるか、一文一文に苦戦しました。そのへんが少しでも伝わり、おもしろく読んでいただけると嬉しいのですが。
Q.『楊家将演義』の魅力はどこにあると思いますか?
 父の楊業や、楊六郎をはじめとした兄弟たち、その部下の孟良、焦賛、岳勝といった男たちの生き様の描かれ方でしょうか。『三国志』や『水滸伝』で描かれるような「好漢」たちの世界が、「楊家将演義」でも遺憾なく繰り広げられています。それと、もう何度も言われていることですが、「楊家将演義」では女たちの存在が、他の作品にくらべて圧倒的に強く打ち出されていますよね。楊家のゴッドマザー佘太君、楊家のお転婆娘の楊九妹、腕利きの女山賊の穆桂英、遼の冷徹なる蕭太后…。こうした女性たちの活躍は、「楊家将演義」に欠くことのできない魅力だと思っています。
Q.他に訳してみたい古典小説はありますか?
 個人的に戦記ものが好きなので、キャラがたっている『説唐全伝』は訳してみたいです。唐からの流れでいきますと、唐から宋の王朝の変わり目を描いた『残唐五代史演義』にも興味があります。日本ではさほどこの時代の小説は注目されていませんが、動乱の時代を生き抜いた人々の姿は歴史的にも大変魅力的ですので。そしてやはり、「楊家将演義」の前編ともいえる『南宋志伝』、つまり宋を建国した趙匡胤の物語は、機会があったら扱ってみたいです。

 

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