世界に誇る『源氏物語』を「正しく」訳す―勉誠出版・創業50周年記念出版

 

日本が誇る古典文学『源氏物語』。
これまで、多くの作家や研究者たちが現代語訳に挑んできました。
そして、先人たちの名訳によって、読者は平安朝の物語世界へ誘われ、魅了されてきました。
しかし、わたしたちは、『源氏物語』の世界を忠実に訳した、「本物」の現代語訳を読んできているといえるのでしょうか?

これまでの現代語訳では、物語の本質である「語り」の姿勢が重視されていないのではないか?
訳者が物語世界に入り込むあまり、想像が拡がり、本文を離れた表現になっているのではないか?
改めて、紫式部の書いた本文をできるだけ尊重し、訳したい。
そうした思いから、この度、平安文学研究者である中野幸一氏(早稲田大学名誉教授)が、全訳を上梓されます。
美しく正しい日本語で、原文の語り言葉を忠実に再現した最上の現代語訳です。
ぜひ、新しい『源氏物語』の「正訳」をお楽しみ下さい。


「正訳 源氏物語 本文対照」刊行記念講演会、開催決定!

この度、早稲田大学名誉教授で平安文学研究者である、中野幸一氏が『源氏物語』を全訳を行なった「正訳 源氏物語 本文対照」が刊行開始となります。
その第一冊の刊行を記念して、11月24日(火)、日比谷図書文化館にて講演会を開催致します。
本書は、これまでの現代語訳ではあまり注目されてこなかった、原文の「語り」の姿勢を尊重し、忠実に訳した、本来の『源氏物語』の文体を再現したものと言えます。
本講演会では、全訳を書き終えられた現在の心境と、現代語訳の裏側を語っていただきます。


 


★講演会「源氏物語を書き終えて―源氏のことばと表現」
◎日時:
2015年11月24日(火)19時~
*18時30分開場・19時開演・終了は21時頃を予定しております。
講師:中野幸一(早稲田大学名誉教授。「正訳 源氏物語 本文対照」の訳者)
◎場所:
日比谷図書文化館4階スタジオプラス(小ホール)
(東京都千代田区日比谷公園1-4)
◎アクセス(下記の地図もご覧ください):
東京メトロ 丸の内線・日比谷線「霞ヶ関駅」B2出口より徒歩約3分
都営地下鉄 三田線「内幸町駅」A7出口より徒歩約3分
東京メトロ 千代田線「霞ヶ関駅」C4出口より徒歩約3分
JR 新橋駅 日比谷口より 徒歩約10分
◎参加費:
入場無料
※席数に限りがございますので、以下の連絡先より、お電話・FAX・メールなどで事前申込ください。
◎主催:
勉誠出版株式会社
TEL:03-5215-9021
FAX:03-5215-9025
E-mail:info@bensei.jp
http://bensei.jp/

※会場に駐車場はございません。日比谷公園内の『日比谷駐車場』をご利用ください。
8:00-22:00 30分300円/22:00-翌朝8:00 30分150円
※危険物の持ち込みは厳禁です。


 

推薦のことば

「かたり」の現代語訳
中野幸一氏は研究者として論文を書き、資料紹介をするだけでなく、稀代の古典籍蔵書家として、その蔵書の多くを『源氏物語資料影印集成』(全12巻)、『奈良絵本絵巻集』(全12巻別巻3巻)、『源氏物語古註釈叢刊』(全10巻)、『九曜文庫蔵源氏物語享受資料影印叢書』(全12巻)などで、惜しみなく研究者や古典愛好者に開放してこられた。その中野氏が、『源氏物語』の現代語訳に挑戦される。
訳文は、「ものがたり」の本質を醸し出すべく、「ですます調」を採用するという。かつて『源氏物語評釈』の著者玉上琢弥氏は、『源氏物語』の文体について、光源氏や紫の上に近侍した女房が語った内容を、聞き手の女房が筆記した、というスタイルを採っていることを指摘した。このたびの現代語訳はそのような「かたり」再現の実践でもあろうか。
他方、現代語訳の下欄に原文を対照させるという構成は、原文からの飛躍を禁欲する「正訳」の節度を示して奥ゆかしい。
新しい現代語『源氏物語』の誕生を鶴首する。
今西祐一郎(国文学研究資料館長)

 

物語は物語のように
物語は物語のように。
中野幸一氏の現代語訳で「源氏物語」を読みながら、私は一度ならず耳底にこの囁きを聞く思いであった。
物語の地の文は、現在形の「ですます調」で進む。各頁、訳文のすぐ下には対照できる原文があり、すぐ上には簡明な註も用意されている。原文尊重で読者にもありがたいこの組み方には、一入のご苦労を想像した。
何はともあれ、平明な訳文で読み易い。文言の難解や晦渋に立ち竦むこともなく、説得されるままに訳文を追う。
平明や簡明は、単純や幼稚とは違う。他人を説得できるやさしい物言いは、なまじいな有識者ではなく、事や物に、自分の言葉で深く関っている人だけのもの。中野氏のやさしい物言いの根が、たとえば「源氏物語古註釈叢刊」(全10巻)のような、積年のご研究に届いていることに私は感銘を新たにする。
物語は物語のように。
「源氏物語」の碩学が、万感をこめて、今はじめて世に問われる現代語訳には、言葉で浮き沈む人間の魅力がいっぱい詰まっている。
竹西寛子(小説家・文化功労者)

 

専門家のわかりやすい現代語訳を
『源氏物語』が世界に冠たる大河小説であることは論をまたない。評価のものさしはいくつか考えられるが、小説家である私が驚嘆するのは、これが19世紀から20世紀にかけて達成された小説の黄金時代の要件を充分に含んでいることだ。ライトモチーフの保持、登場人物の多様性、四十一帖までの反省をふまえて宇治十帖を完成させていることなど、1000年も昔に、
――なぜこれだけのものが――
と信じられない。
この名作を原文で読むのが一番よいのだろうが、そしてそのつもりになれば不可能というむつかしさではないのだが、やはり現代文への翻訳が適切だろう。谷崎潤一郎、円地文子、瀬戸内寂聴……私はA・ウェイリー、E・G・サイデンステッカーの英訳まで瞥見したが、それとはべつに専門家によるわかりやすい現代語訳を鶴首し望み、その完成は真実珍重すべきものである。期待はとても大きい。
中野幸一氏は早稲田大学の教授でいらした、古典文学の泰斗だ。かつて同学で岡一男先生の示唆で『源氏物語』に親しんだ者として、このたびの快挙にはことさらに大きな拍手を送りたい。
阿刀田高(小説家)

 

「正訳」出現の意義
中野幸一先生が『源氏物語』の「正訳」を出されるという。とうとう、と云うべきか、やっとというべきか。『源氏物語』の現代語訳は作家によるものでも、与謝野源氏あり、谷崎源氏あり、さらに円地源氏、瀬戸内源氏などになると現代語訳を越えて創作的描写も加わり、作家独自の源氏世界が展開されるが、そこには、作家たちがのめりこんだ原作の魔力を、何とかして現代読者に伝えたいという悲願が籠もる。そこへいくと研究者の訳文は、原文の呼吸をいかに現代文で再現するかが身上で、鎬を削ってきた歴史がある。その厖大な蓄積の上に立って、古代的心性の理解と普及に精魂を傾けて来られた著者ならではの訳語選択が、ここに新たな「正訳」出現の意義を語る。
私はたまたま、中野先生が源氏を読んで居られるサークルや市民講座の受講生から、その評判を仄聞する機会に幾度か恵まれた。そして、受講生ならずとも、その語感や世界観の余慶にあずかる機会は無い物かと思って居た。その願っても無い機会がこういう形で実現したことを共に喜びたい。
後藤祥子(日本女子大学名誉教授・日本女子大学元学長)

 

職人の訳の魅力
「原文を読みこなす」という憧れの至難の業を、まことにリアルなかたちで体験させてくれる現代語訳だ。ありそうで、なかった、と思う。
『源氏物語』の現代語訳は、これまでにも優れたものが出されてきた。それらの訳者は、私たちにわかりやすく面白く『源氏物語』を語ってくれる。○○源氏、と呼ばれたりもするその訳は、それぞれの訳者の語り口こそが、魅力だった。
本書の特徴は、訳者の語り口ではなく、原文の語り口を最大限に生かしていることだろう。「モトが素晴らしいのだから、私ごときが味つけなどしなくても」という研究者の先生らしい一歩下がった姿勢が貫かれている。仕事をしたことを感じさせないのが、真の職人技と言われるが、そういう職人の訳なのだと感じる。こんなに原文に忠実なのに、なぜ無味乾燥にならず、しっとりと心に届くのか。
それこそが職人技だから、としかいいようがない。
俵万智(歌人)

 

刊行のことば

『源氏物語』は物語ですから、一貫して語りの姿勢で書かれています。
語りの姿勢、つまり相手に語りかける場合、私たちは、「……だ」「……である」「……であった」などという、いわゆる「である調」で話すでしょうか。相手(物語の場合は聞き手あるいは読者)を意識した場合、ごく自然に用いられる日本語は、「……です」とか「……ます」とかの、いわゆる「ですます調」ではないでしょうか。
日本の誇る世界の古典『源氏物語』を、物語としての語りの姿勢で、紫式部の書いた本文を出来るだけ尊重して、改めて訳してみたいと決意した次第です。
この現代語訳を通して、紫式部の書いた『源氏物語』という作品を、あまり手を加えない正しい形で、読者の皆様にお届けできれば訳者にとってこれ以上の喜びはありません。あえて『正訳源氏物語』と称したゆえんもそこにあります。
中野幸一(早稲田大学名誉教授)



 

本書の特色

1.美しく正しい日本語で、物語の本質である語りの姿勢を活かした訳。
2.物語本文を忠実に訳し、初の試みとして、訳文と対照させ、物語本文を下欄に示す、本文対照形式。
3.訳文に表わせない引歌の類や、地名・歳事・有職などの説明を上欄に簡明に示す。
4.敬語の語法を重視し、人物の身分や対人関係を考慮して、有効かつ丁寧に訳す。
5.物語本文で省略されている主語を適宜補い、官職名や女君・姫君などと示される人物にも適宜、( )内に呼名を示し、読解の助けとする。
6.訳文には段落を設け、小見出しを付けて内容を簡明に示す。また巻頭に「小見出し一覧」としてまとめ、巻の展開を一覧できるようにした。
7.各巻末に源氏物語の理解を深めるための付図や興味深い論文を掲載。

 

本シリーズの内容見本

本シリーズの内容見本です。上段に現代語訳を、下段に原文を配置しています。


 

勉誠出版創業50周年出版 中野幸一訳『正訳 源氏物語 本文対照』ついに完結!

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