12人の「モンスター・マインド」たちとの対談を終えて―『トップランナーの図書館活用術 才能を引き出した情報空間』刊行記念特集

 

トップランナーの図書館活用術 才能を引き出した情報空間』がいよいよ刊行となりました。
各界のトップランナーたちに図書館と読書と才能・異能の関係についてインタビューを敢行した本企画。彼らをモデルに、図書館という情報空間からどれだけの知が引き出せるかに迫ったものですが、インタビューはもはや図書館という枠に収まらず、人生航路まで指し示す貴重な対話となりました。
モンスター・マインドたちに果敢に挑んだ著者・岡部氏。知の憧れをフルに発揮した本企画で、何を得たのでしょうか?


 



著者・岡部晋典氏へのインタビュー

―岡部先生、刊行おめでとうございます。また、お疲れさまでした。
 ありがとうございます!やっぱり挑戦って面白いですよね。失敗することも色々ありますが、今回も本当に皆さんに助けて頂きました。面白い本が出来たんじゃないかな?と個人的には思っています。こんなふうに貴社のサイトにも紹介文を載せて頂けるとのこと、感謝、感謝です。

―まずはこの本を作ろうと思ったきっかけや狙いを教えて下さい。
 今、図書館は社会環境の激変に伴って変化を要請されています。一方で変わらざるところは変わらないままにいる必要があるという、非常に面白い節目にあるとも思います。私自身、ラーニング・コモンズという、大学における協同の学びの場の専属教員としても働いているのですが、肌感覚として図書館は変わりつつあるなという実感があります。
 こういった背景のもと、企画書の趣旨にはこんなことを書きました。


【ここから】
図書館は教育と同じように、誰でも利用経験があり、誰でも自分の意見をもつことができる。それが図書館を統一的に語ることを難しくしているが、むしろそれを逆手にとって、図書館利用の経験のバラバラさをバラバラのままで、透明なかたちで語りを聞き取っていく。それぞれの図書館利用が一枚岩ではないこと、そのなかにおける図書館利用についての、共通項を探し出すような本とする。加えて、図書館についての議論は、図書館員や研究者の話が多くあるが利用者サイドからの意見はほとんどエアポケットのようになっている。そこで、利用者からみた図書館、という「当たり前な」ところから、多様な図書館像を描いていきたい。
【ここまで】


 では、どうしようか?と考えたときに、当代一流の凄い人たちに聞いてみたら良いんじゃないか?となるわけです。ある意味では安直な発想です(笑)。もちろん、研究的には意図があってのことなんですが。知り合いの研究者たちが「こんな人にまでインタビューしたんですか!」と驚いたり、絶句してくれたのは、うれしかったですね。


【登場人物のご紹介】
第Ⅰ部 スペシャリストを鍛えた図書館

◆落合陽一(筑波大:メディアアーティスト)
 現代の魔術師と呼ばれる、新進気鋭のメディアアーティスト。彼の背後にある情報空間と、彼の考える将来の「ライブラリ」を探る。
◆清水亮(株式会社ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長)
 マイクロソフトでの開発、ドワンゴでの携帯電話事業起ち上げなど、若年より凄まじい活動で知られた清水氏。曰く「中央図書館がなければ、小学生のうちに3Dプログラミングを習得することはできなかっただろう」。
◆前野ウルド浩太郎
 通称「バッタ博士」。バッタへの愛と研究への情熱を抱腹絶倒の筆致で書き、多くのファンを獲得中。そんな彼の研究との出会いは、図書館で出会ったファーブル昆虫記だった。

第Ⅱ部 プロフェッショナルの使い方

◆三上延(小説家)
 中古レコード店、古書店勤務を経て、小説家デビュー。ミリオンヒット『ビブリア古書堂の事件手帖』の著者。図書に対する膨大かつ馥郁たる知見を注ぎ込んだミステリを描き出す彼の情報利活用法を探る。
◆竹内洋(教育社会学者)
 社会学のレジェンド。徹底的にレファレンスを活用することで、関西の図書館員には畏怖ととも にその名を知られているが、どのように彼は図書館を使い倒してきたのだろう?
◆谷口忠大(立命館大学。人工知能研究者、ビブリオバトル考案者)
 ビブリオバトルを考案。なぜ最先端の人工知能研究者が、本を媒介にすることを思いついたの か。なぜこのように図書館に燎原の火のように広がったのか。

第Ⅲ部 Webの時代の図書館を活用する人々

◆結城浩(技術ライター、プログラマ)
 図書室が舞台となる『数学ガール』の著者。自ら学ぶという姿勢を描く彼は、なぜ図書館を舞台にしたのだろう。
◆荻上チキ(評論家)
 新進気鋭の評論家。インターネット時代における学術情報のプラットフォームを構築中。彼のこれまでとこれからの情報行動とは。
◆大久保ゆう(青空文庫、翻訳者、翻訳研究者)
 青空文庫の中核メンバーであり翻訳者・翻訳研究者。高校生の頃から青空文庫に関わってきた大久保氏。紙の図書館とWebの図書館。このつながりに迫る。

第Ⅳ部 これからの図書館を作っている人々(構築側)
◆大場利康(国立国会図書館員)
 インターネット資料収集保存事業(WARP)、東日本大震災アーカイブひなぎくなど、世間をあっと言わせた国会図書館のサービスを仕掛けているデジタル・ライブラリアン。
◆花井裕一郎(演出家、映像作家)
 図書館界の潮流を変えた小布施町立図書館「まちとしょテラソ」の元館長。館長時代、小さなまちを徹底的に笑顔にさせた彼は、任期終了後、全国の図書館のコンサルタント、まちづくりのアドバイザーとして全国を行脚中。
◆原田隆史(図書館情報学者)
 我が国の電子図書館関係の第一人者。彼のデータベースへの愛。図書館への情熱。海外の図書館をどっぷり見たあと、いかにして日本の図書館を検索という発想から「変えよう」と思ったのか。


―なぜこのようなアプローチがエアポケットになっていたのでしょう。
 先ほど、安直な発想とは言いましたが、確かにこういった調査が行われていないのはそれなりの理由があります。
 ちょっと込み入った話になって恐縮なんですが…。
 日本の図書館では歴史的経緯もあり、図書館の大原則「利用者の秘密を守る」こと、つまり、プライバシー保護が重視されています。たしかにプライバシー保護は重要です。ただ、今の図書館では「利用者のログはどんどん消してしまおう」という考え方なんです。それは確かに運用においては楽だから、よくわかる。でも、ログ保存とプライバシー保護のギリギリのせめぎ合いを比較衡量した上でやったほうがいいんじゃないかなあと。だって「図書館でハッピーになった」実例も同時に見落としているのではないかと思ったんですよね。ログを消すということはエビデンスをも消すことに繋がります。それは回り回って図書館の意義が伝わらなくなるんじゃないか、図書館がジリ貧になることに繋がる可能性もあるんじゃないか、という懸念を持っていたんです。色々と調べていった結果、確かに今のままでは図書館サイドからは利用者そのものへの探求は難しいけれど、私のような立場なら可能だなと結論できたこともきっかけですね。
 以上をまとめると、今後、ますます図書館の価値を明確に打ち出さなきゃいけない状況で、きちんと図書館の意義を説明できるようにしていきたいし、未来を探っていくこともしていきたい。あと、大事な裏テーマとして、やはりWeb情報と図書館の信頼性の差や、あるいはそのギャップをどう埋めていくかというのは、すごく気になっているんです。現在、同時に走らせている研究テーマもそれですし。なので実例をまず押さえようと。情報を使いこなしている人たちは、どう情報を使いこなしているのか。これをきちんと追っておくことも必要だと考えていたんです。

―そのアイデアから本になるまでの経緯を教えてください。
 あるとき、学会でお会いした編集者に「こんなこと考えてるんですけど」と雑談でお話ししたら「面白そうじゃないですか、やりましょうよ!」と。編集者のノリがすごくよくて、自分で言っておきながら、えっ?って焦りました(笑)。他にも、信頼できる何人かの研究者にアイデアを事前に説明したら「言われてみると、あまり先行事例は無いですね」と。僕一人の思い込みだけでなく、この領域は研究的にもエアポケットになってるな、という手応えがありました。

―この本はご研究の成果でもあるのでしょうが、かなりくだけた感じのトークもあったり(笑)のマークがあったりと、トークの雰囲気をそのまま残そうという意図を感じます。そのような文体を選択したのはなぜですか?
 これは賭けです。どう受け止められるかなあ…。一言でいえば、「間口を広げる」ために採用しました。勉誠出版からこんな文体の本が出るなんて、私としても信じがたい(笑)。
 もちろん査読付き論文を書くときは、防御線を幾重にも張り巡らした学術的な文章を用います。しかしそれだと読める人は専門家だけになってしまう。それだと今回の目的の一つ、「門戸を広げる」という目的からすると、硬い文体は違うかな、と。
 想定読者層として高校生あたりも考えていたので、緩い文体で、掘っていくと意外と内容はディープってスタイルがいいのかなと判断しました。正直に告白すると、学生時代に読んだ丸山眞男の「タコツボとササラ」概念も、たぶん遠くで響いていると思うんです。もちろん、ご自身の専門を深く突き詰めていくタイプの尊敬すべき学究もおられます。でも、僕の志向性とはまた違うなと。じゃ、僕の武器は?と考えたときに、こういった越境を試みるようなアプローチになるのは、ある種の必然だった気がします。

―これだけの方々にインタビューするのは大変ではありませんでしたか?
 ものすごく大変でした。インタビューだから、ちゃちゃっとまとめたら行けるかな?と少しでも考えた過去の自分に猛省を促したい(笑)。
 というのも、今、Web上では非常に優れたインタビュー記事を読むことができるようになりましたよね。もちろん一方で玉石混交の石、のほうの記事もたくさんある。石を潰すのも大事ですが、それはとりあえず措いておいて、今の時代に紙媒体で出すとしたら、無料で読める優れたテキストとどう差別化していくか。そのために被調査者の選定方法や、半構造化インタビューの質問設計には相当気を配ったつもりです。ただ、今回は敢えて質的調査手法のセオリーを一部踏み外している部分はあります。これなら大丈夫だろうと線引きを見定めた上で、かなり不躾なことも伺ったかもしれません。ただ、誘導にはならないように気を遣いましたね…。
 あと、註ですよね。やっぱり皆さんのご専門があるので、それぞれの面白さは、ちゃんとお伝えしていきたい。同時に、図書館の世界にも色々な専門用語があるわけです。たとえば「件名」という語は、図書館では特有の意味を持ちます。そういうものにも自然と触れていってもらいたいと思って、やたらと註をつけたんです。結局、註の数っていくつになったんでしたっけ。

―(担当編集)えーと、670個、脚註が入っています。

 げっ、そんなに?やりすぎた。もちろん文末脚注で註を処理してもいいんですが、いざ参照するときにはすぐ参照できたほうが嬉しい。言い換えると、ハイパーリンクの概念を紙に逆輸入することも大事かな、と思いましたし。なので組版も相当大変だったと聞きました。

―(担当編集)……校正で1行ずれるだけで、註を全部配置し直したり、なんてことはありましたね。もはや楽しい思い出です(苦笑)。

 ホント、お手数をおかけしました…。でも「格好いい組版ですねえ」と他の出版社の知り合いが言っていましたよ。
 あと、やはり、トップランナーたちなので、ものすごくシャープなわけです。そういう人たちのお話をお伺いするにあたっては、こっちも頭をフル回転させないといけない。なので、当日のインタビューの時間帯を計算して、このRQ(Research Question)に触れるのは○○時くらい、だからこの時間に頭にブドウ糖がマックスで行くように、と。アスリートの食事例を参考にしながら、素人考えなりに逆算して(笑)。

―(担当編集)インタビューの後、晩ご飯に行った時、相当なエネルギー消費なのか、パスタ一皿を食べたすぐ後で「腹減った」とか言ってましたし。

 そうそう、頭を使いすぎてガス欠になるんですよね。あのとき、担当編集が「何言ってるんだろうこの人」って顔をしていたのが忘れられません。「おじいちゃん、ごはんはさっき食べたでしょ」ってあれのことかと(笑)。
 インタビューで飛び出る話題も当然、幅広いわけです。さすがに専門的すぎたりマニアックすぎる語は本文からは削除しましたが、例えば、ドグラ・マグラ、キューブリック、機械の中の幽霊、アーサー・C・クラーク、満鉄、しまいには「V8を讃えよ!」なんてワードがポンポン出てくるし、こっちもその話についていかないといけない。一方で数量化三類、シンボルグラウンディング問題、オートポイエーシスの話題になったり。一見、軽妙なやりとりのように見えても、実はヘビー級のパンチにも似た概念が飛び交っているという…。
 単なるお説拝聴じゃ、深いところまで喋って頂けないわけです。お説拝聴のスタイルでインタビューされる時は僕もたいてい喋らないですし(笑)。だから適切に応答するために、手持ちのカードから必死にひねり出して。なので、少しでもわたしの知的興奮が伝わったら嬉しく思います。

―さて、書籍はいよいよ刊行ですが、不安を感じたりしますか?
 さっきも申し上げましたが、緩い文体を採用していたり、場合によってはインタビュイー、僕、編集者の3人で漫才?している箇所もありますから(笑)。それがどう受け止められるか、ですよね。
 あと「ぼくの考えた最強の図書館」という確固たる信念がある人からは、受け入れられない部分もあるかもしれないです。たしかにこれまでの図書館を牽引してきた人たちの苦闘は頭が下がることも多いんですが、一方で時代と齟齬が生まれている状況も厳然としてある。
 今では「図書館のミッションは本を貸し出すことで、それが図書館の全てだ」なんて言う人も減ってきたと思いますが、まだまだそういった意見も根強くある。今回は図書館を構築する人々であっても、未来のことを主として見据えている方々にお願いしたんです。過去の図書館のみが好きな方からすると、気に障る部分も出てくるかもしれない。だからこれをきっかけに、対話の糸口になればなと。

―オビのコピー文に、モンスター・マインド、という表現があります。この表現にはこだわりがあるとか。
 はい。僕の大好きな本に、物理学者リチャード・ファインマンの回顧録『ご冗談でしょう、ファインマンさん』があるんです。その中のエピソードで、若かりし頃のファインマン先生が、当代一流のモンスターマインドとも言うべき人々の前でゼミをすることになり、緊張で手がぶるぶる震えるってシーンがあります。でも、話し始めたら奇跡が起こった…と。引用しますね。「つまり僕はいったん物理のことを考えはじめ、自分の説明しようとしていることに考えを集中しさえすれば、ほかのものなどみんなけしとんでビクともしなくなるのだ」(リチャード P. ファインマン(著)、大貫昌子 (訳)『ご冗談でしょう、ファインマンさん 上』岩波書店)。
 その節のタイトルが「モンスター・マインド」なんです。おこがましいんですが、そこから拝借しました。今回のインタビューで皆さんにお話を伺う直前には、手が震えたことを覚えています。話し始めたら、やっぱり緊張ってどこかに飛んでいってしまうんですね。
 先ほど「すごいメンバーですね!」と、近接領域の研究者に仰って頂いたことに言及しましたが、私自身が一番驚いているんです(笑)。「絶対受けてくれないよ」と編集者に申し上げていたんですが「アポ取れました!」「ええーっ!」ってことが何度もあって。仲介してくださった方もおられましたし、本当にありがたいことです。
 あと、最初考えていたタイトルはもっと違ったんです。「こんな図書館で<読んで>きた」が、最初の仮題です。僕は気に入ってたんですが、これだと意味不明だからやめてくれとあちこちから言われて。「活用」とかいったキーワードを入れてくれって。ありがちな一過性の本みたいに思われたら嫌だなとも思ったんですが、読者に届くことが大事だからと説得されて。「牛に引かれて善光寺参り」って言葉もあるから、うーん、仕方ないかな、自分のこだわりよりも、もっと大事なこともあるかな、と。そんなやりとりもありましたね。

―インタビューの際に気をつけていたことは何でしょうか?
 これだけ情報技術が発達してくると、インタビューもちゃちゃっとメールやチャットで済ますことができるようになっています。それは時間に追われている以上、仕方が無いことかもしれない。
 ぼくもインタビューを受けることがあるんです。素晴らしいインタビュアーも多いんですが、うーん、どうなの?みたいなインタビュアーもおられる。例えば全然下調べをしてこなかったり、既に出来合いのストーリーがあって、それに僕を当てはめようとしているのかなあ…、などが、あまり好ましくないインタビュアーにあたります。
 さっきも言ったように、仕事に追われている状況では仕方が無い面もあるかもしれません。でも、それは個人的にはやりたくなかった。だからできる限りこちらも準備した上で、対面でお伺いしようと。非効率的ですよね(笑)。ただ、インタビュー後、草稿をお目にかけた折に、複数の方から「素の自分が喋っている感じが出ていて嬉しい」と仰って頂けたのはありがたかったですね。
 もちろん口頭・対面でのやりとりだから、ミス等はどうしてもある。それの裏取りが大変でした。1行の記述を確定させるために2週間かかったこともあったかな。思いつく限りのルートで調べて、最終的に現物に確認しないと、と結論付けて、各地のレファレンスに問い合わせたりもしました。

―うまくいかなかったこともあったのでは?
 実は一回、この企画の進行中に、挫折しかけたんです。「この本、企画しておいて何だけど、これ仕上げられないかも…」とパートナーに愚痴ったんです。「凄すぎるよこの人たち。俺の手に負えないよ」って。でも妻から「凄い人たちとちゃんと対話できるだけでも凄いんじゃないの?」って背中を押してくれて。あれには救われましたね。
 あとはこども。わたしがリビングで校正をガリガリやっていたら、突然こどもが「おとーさん、なんでそんなにべんきょうしたり、ぶんしょうをかいたりするの?」って言われて。本人としては親が遊んでくれない不満をぶつけただけかもしれませんが(笑)、あっ!って思いましたね。その問いをチビからぶつけられた後ですね、リーダフレンドリーな文章にしようと決意して。できることはできる限りやろう。やれるだけブラッシュアップしようと思ったんです。
 
―インタビューをしてみて、岡部さん自身は何が一番面白かったですか?
 それは本文を読んでください、が妥当かと思います。だって本文中に(爆笑)だの(笑)マークがいっぱいありますが、これでも1/3くらいに削っているんです。どれだけ盛り上がってるんだ、って。ただ、紙幅の都合でどうしても話題を削らなきゃいけない部分が大量に出てきたのは残念でしたね。
 少しだけ中身に触れておくと、やっぱり「知的興奮」ですよね。この人はこんな風に図書館を使っているんだ、想像つかなかったなあ、という喜び。あとは、こっちの専門と向こうの専門が、部分的とはいえカチっとはまる瞬間。「えー、そんなことまで喋って頂けるの!?」と驚いたこともありました。本当にインタビュイーの方々には助けられたと思っています。
 あと、編集者が、わたしの想定を超える提案をバシバシ行っていただいたことや、僕自身「無理かな?」と思いながらお願いしたものがどんどん実現していったのが、とても幸せでした。ひたすら議論を繰り返して。「ここには遊び心で楽譜を入れてみましょうか」なんて提案は、さすがに我に返ってストップをかけましたが。こんなカッ飛んだアイデアも色々あった、ってことは記しておいてもいいかもしれません。

―カバーもかっこいいですよね。全面に透明な文字が箔押しされていて、角度によって輝きが違います。
 はい。装釘については、宗利淳一さんにお願いしました。「この内容だったら宗利さんでしょう!」と編集者が推薦してくださいまして。ご挨拶で色々とお話をさせて頂いた時に、ふっと「装釘のプロセスって僕は全然知らないんですが、このお仕事の面白いことは何ですか?」とお伺いしたんです。そのときは正確なお返事はいただけなかったかと記憶していますが、見本刷りを拝見して仰天しました。プロの手にかかると、こんな格好いいことになるんだ!って。
 自分の仕事を言葉だけではなく、モノで語る。こういうクリエイターのありかたもあるんだ、格好いいなあと。ぜひ現物を手にとって頂けると。知り合いの印刷業者の方なんか、5分以上、表紙だけを眺めていましたから。でも出版社的には賭けだったんですよね?

―(担当編集)箔はどう出るか、実際には最後に押してみないとわからないところがあって、イメージ通りにいくのか最後までわからなかったんですよね。だからうまく行くか心配ではあったんですが、予想以上のかっこよさになりました。デザイナーの力を信じて良かったですね。

 ただ、そのせいで書影がギリギリまで出なかったんですよね(笑)。本当に色々なひとをやきもきさせて、申し訳ないの一言です。

―最後に、この本をどんなふうに読んで貰いたいですか?
 例えば図書館で勉強中の高校生や中学生が、うっかり手にとって、へーっ、図書館って本を貸し出したり自習したりするだけのところじゃないんだ!なんて知っていただいたら、すごく嬉しいでしょうね。
 あと、やっぱりこの本は繋がっていくものとして使って欲しいな、という思いがあります。だって本書で登場して頂いた方々の本って、ものすごくワクワクする。だから、これをきっかけに色々な本に繋がっていったら、もう悶絶するくらい嬉しい。
 全部をご紹介できず恐縮なんですが、例えば「私は文系だから」と自分を決めつけている人が『数学ガール』を読み始めるだとか、虫嫌いの人がバッタ博士の前野先生のご本を手にとっていただいたりとか、「ミステリなんて」って思っている人が『ビブリア古書堂』に触れて頂いたりしたら本当に嬉しいでしょうね。
 そういえば、知り合いの書店員や図書館員さんから「同時展開するためのリストください」と言われていて、既に準備済みです。よろしければ他の書店さんや図書館さんでも、いかがでしょうか。

―ありがとうございました。

 

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