サンジョウニシケボンサゴロモモノガタリ チュウシャク

三条西家本狭衣物語 注釈

学習院大学平安文学研究会 編
ISBN 978-4-585-29177-0 Cコード 3095
刊行年月 2019年2月 判型・製本 A5判・上製 304 頁
キーワード 古典,室町,平安,中世,中古

定価:9,900円
(本体 9,000円) ポイント:270pt

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書籍の詳細

平安時代後期に成立し、多数の諸本・膨大な異文が存在する『狭衣物語』。
三条西家本は、三条西実隆の息子で自身も多数の古典籍の書写や注釈をおこなっていた三条西公条によって、室町時代に書写されたと考えられる写本である。
室町時代においては理解が難しくなっていた平安時代の言葉を、書写当時(室町時代)の言葉に置き換えた本文を持ち、そこには原典を尊重するという意識とは遠く離れた書写態度が透かし見える。
本書は三条西家本をもとに校訂本文を作成し、物語内容の読解を促す梗概と注、特異な異同を取りあげる本文考を付すとともに、読みやすく充実した20のコラムを配置。
『狭衣物語』諸本の関係性のみならず、室町時代の書写と享受態度を考えるうえで、重要な役割を果たす一冊。


*『狭衣物語』とは…
平安後期の物語。作者は源頼国の娘である禖子内親王宣旨とする説が有力であるが、未詳。『源氏物語』の影響を受けた最初の頃の作品であるとされる。

*「三条西家」とは…
藤原氏北家のうち、三条家の庶流正親町三条家の分家。室町時代から安土桃山時代の実隆・公条・実枝は古典学者・歌人として名高く、古今伝授を継承した。なかでも実隆は中世文化・文学を代表する人物で、日記『実隆公記』は一流史料としても著名である。


※本書に誤植がございました。
訂正箇所は以下の通りでございます。
お詫びの上、訂正を申し上げます。(編集部)

290頁14行目 〔誤〕アソシエイトフォロー→〔正〕アソシエイトフェロー

 

 

目次
◆はじめに

◆凡例

◆【論文】『狭衣物語』の言葉―物語冒頭部を手がかりとして 神田龍身

◆校訂本文
一 物語の冒頭―狭衣、源氏の宮のもとを訪れる
二 登場人物の紹介―堀川の大殿
 ◎コラム1 異同「二の御子」/「五の御子」と独自本文「堀川の御子」 
三  登場人物の紹介―狭衣
◎コラム2 過剰な引歌を持つ場面 「いたのいそ」をめぐって
四  〈落丁〉登場人物の紹介―源氏の宮
 ◎コラム3 三条西家本の落丁 
五  登場人物の紹介―狭衣と源氏の宮
六  五月四日、あやめ売りを見る狭衣
七  五月五日、宣耀殿や一条院女一の宮への消息
八  五月五日夜、狭衣と両親の会話
九  宮中での管絃―嵯峨帝、若上達部に演奏を求める
 ◎コラム4 管絃の場面に見る狭衣への意識―権中納言と嵯峨帝の会話をめぐって 
十  宮中での管絃―狭衣、笛を吹く
コラム5 狭衣の吹笛の伝授 
十一 宮中での管絃―天稚御子降臨
コラム6 天稚御子降臨場面と他作品との関わり 
十二 宮中での管絃―嵯峨帝、女二の宮降嫁を考える
十三 動転する堀川大殿、内裏へ
十四 嵯峨帝、女二の宮降嫁を提案
十五 独詠「夜半の狭衣」
コラム7 女二の宮という「衣」―「かつ返し憂く着替えまほし」をめぐって 
十六 翌朝、狭衣を案じる両親
十七 源氏の宮への告白―在五中将の日記
コラム8 「在五中将の日記」 
十八 源氏の宮への告白―室の八島
コラム9 引歌認定の射程―「ありて憂き世は」書写段階の引歌の可能性 
十九 堀川の大殿、狭衣と源氏の宮入内について語る
二十 堀川の大殿の訓戒と堀川の上の心配
コラム10 女二の宮降嫁の勧誘場面における『伊勢物語』享受
二十一 参内の途中、蓬が門の女を気にかける
二十二 中宮の里下がり
二十三 東宮との睦び
二十四 飛鳥井女君との出会い―不審な女車
コラム11 仁和寺威儀師と牛飼童―証言の異同とその関係性
二十五 飛鳥井女君との出会い―随身の報告を聴く狭衣
二十六 飛鳥井女君との出会い―女君を送り届ける
コラム12 「香り」で広がる読みの可能性 
二十七 飛鳥井女君との出会い―女君の家に着く
二十八 狭衣、飛鳥井女君と契る
二十九 飛鳥井女君の素性
三十 狭衣、飛鳥井女君のもとに通う
コラム13 吉祥天女の形象
三十一 飛鳥井女君の乳母、陸奥下向を決める
三十二 源氏の宮と堀川の上の碁
 ◎コラム14 碁の場面の『源氏物語』引用 
三十三 飛鳥井女君との逢瀬
三十四 今姫君、洞院の上に引き取られる
三十五 中納言に昇進した狭衣、今姫君のもとへ
三十六 今姫君の母代登場
三十七 狭衣、今姫君の姿を垣間見る
 ◎コラム15 今姫君垣間見と『源氏物語』野分・若菜上 
三十八 狭衣、今姫君について堀川の大殿と語る
三十九 飛鳥井女君をめぐる乳母の対応
四十 飛鳥井女君、懐妊する
四十一 狭衣の乳母子道成、飛鳥井女君の乳母と謀る
 ◎コラム16 脇役たちの事情―描かれたのは乳母か道成か 
四十二 狭衣、野分のなか飛鳥井女君のもとに通う
四十三 飛鳥井女君、狭衣の夢に現れる
四十四 乳母、言葉巧みに飛鳥井女君を説得 
 ◎コラム17 土忌 
四十五 乳母、さらに飛鳥井女君を説得
 ◎コラム18 出立を促す乳母―言葉の端に宿る感情 
四十六 飛鳥井女君、連れ出される
四十七 飛鳥井女君、船に乗せられる
 ◎コラム19 「きたなげなし」をめぐって―道成を嫌悪する飛鳥井女君
四十八 飛鳥井女君を口説く道成
四十九 飛鳥井女君、狭衣からの餞別に道成の正体を知る
五十 飛鳥井女君、狭衣の扇を見る
 ◎コラム20 物語に吹く風―狭衣から道成へ贈られた形見の扇 
五十一 飛鳥井女君、死を決意する
五十二 狭衣、飛鳥井女君の失踪を知る
五十三 狭衣、飛鳥井女君を偲ぶ
五十四 飛鳥井女君、入水しようとする
参考資料/飛鳥井女君関係地図/略系図

◆翻刻本文

◆三条西家本書誌情報

◆あとがき
書評・関連書等

★広告情報
「朝日新聞」(2019年3月9日)に5段12割広告を掲載しました。

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