目次
はじめに
序
ドイツ裸体文化とは/「裸体文化」ということば/生活改革運動と「衛生」/菜食主義と自然療法/不健康な都市と健康な田園/進化と進歩の影としての神秘主義―神智学、人智学、アリオゾフィー/ナショナリズム台頭の思想的背景/母権論と宇宙論サークル/裸体文化運動の推移
第1章 裸体文化運動の先駆者たち
裸体生活の起源/ゴダイヴァ夫人の伝説/啓蒙主義時代の裸体讃美者たち/リヒテンベルクの『空気浴』/「ドイツ体操の父」ヤーンと体操運動/ヤーンによる国民運動の展開/『ドイツ体操術』/身体とナショナリズムの融合/アメリカ西海岸地域の自然讃美者たち/プリースニッツとクナイプの水治療法/リークリの空気療法/ロリエの日光浴治療/世紀転換期の前夜
第2章 山野の自然を愛する者たち
『ハイジ』と山地の日光と空気/ワンダーフォーゲル運動/マイスナー祭典/登山家たちの誕生/山岳映画/山岳映画女優レニ・リーフェンシュタール/『オリンピア』が提示する裸体
第3章 運動する肉体の美と健康
『力と美への道』で語られる身体文化/細菌学の発達と健康/近代ウエイト・トレーニングの誕生/モダンダンスとデルサルト理論/モダンダンスの先駆者ロイ・フラー/裸足のイザドラ/セント・デニスと舞踊学校/リュトミック体操とラバノテーション
第4章 裸体文化をめぐる思想家たち
イザドラ・ダンカンの愛読書/ヘッケルとニーチェ/菜食主義コロニー「モンテ・ヴェリタ」/放浪の預言者グスト・グレーザー/サナトリウムと自然療法の作家ヘルマン・ヘッセ/ダダイズム、人智学、母権制をめぐって
第5章 裸体文化運動の理論家たち
放浪の芸術家ディーフェンバッハ/フィードゥスと《光への祈り》/ユーゲントシュティールとバウハウスの身体文化/異端の裸体文化理論家ハインリヒ・プドール/裸体文化運動の組織者リヒャルト・ウンゲヴィッター
第6章 ナチスと共存する裸体文化
アドルフ・コッホの「社会主義的」裸体文化運動/「裸体ダンス・スキャンダル」/コッホのダンス学校/労働者の裸体文化運動/ヒトラー礼賛者ハンス・ズーレン/軍人ズーレンと体操教育/ズーレンの裸体文化理論/改版『人間と太陽』とヒトラー『わが闘争』
主要参考文献・図版出典一覧/跋/人名索引
編著者プロフィール
森貴史(もり・たかし)
1970年大阪府生まれ。Dr. phil.(ベルリン・フンボルト大学)。現在、関西大学文学部(文化共生学専修)教授。
[主要著書・訳書]„Klassifizierung der Welt. Georg Forsters Reise um die Welt.“(単著、Rombach Verlag、2011年)、『ドイツ奇人街道』(共著、関西大学出版部、2014年)、『ビールを〈読む〉 ドイツの文化史と都市史のはざまで』(共著、法政大学出版局、2013年)、『エロスの庭 愛の園の文化史』(ミヒャエル・ニーダーマイヤー著、共訳、三元社、2013年)、『ドイツ王侯コレクションの文化史 禁断の知とモノの世界』(編著、勉誠出版、2015年)、『想起する帝国 ナチス・ドイツ「記憶」の文化史』(共同執筆、勉誠出版、2017年)など。