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ミョウエショウニンユメノキ ヤクチュウ
奥田勲・平野多恵・前川健一 編
定価 8,640円 (本体8,000円) 品切れ
800年前の夢の記録
鎌倉仏教に異彩を放つ僧・明恵の精神世界を探る基礎資料。中世の歴史・信仰・美術・言語、ひいては広く日本文化を解明するための画期的成果。【本書の特色】・高山寺以外の各所に分散所蔵されており、全体を見渡しての研究が困難であった明恵上人の山外本「夢記」をはじめて網羅的に収集。それらの影印・解題・目録及び夢記一点ごとの翻刻・訓読・現代語訳・考察を収載した、明恵上人夢記研究における画期的な基礎文献である。・夢・思想・宗教・歴史などの分析・検討に広く有用な資料を提供し、文学・思想・宗教・歴史・心理学・精神医学・日本語学・古筆学・美術等、さまざまな研究分野に裨益する必携の一書。・「Ⅰ影印」ではこれまで全編未紹介であったものを含め、研究上重要である10点の夢記を影印掲載した。・「Ⅱ解題」では、「明恵上人夢記」の全体像と研究史を概観すると同時に、高山寺蔵の夢記との関係を考察し、さらに大部かつ重要と思われる夢記について詳細な解説を加えた。・「Ⅲ目録」は、本書収録の夢記計74点の、書誌・内容などの基本情報を一覧できるようにしたものである。本目録によって、高山寺外にある夢記の全体像を把握することが可能になる。・「Ⅳ訳注」では、上記目録掲載の各夢記について、【翻刻】【訓読】【現代語訳】【語釈】【考察】を掲載した。・【翻刻】は、可能なかぎり当該夢記の現物調査によって、原態を生かす方法で活字化した。正確な本文の提供は、夢記の根本的研究の始発点として極めて価値が高い。・【訓読】では、原文を訓読し、適宜句読点や濁点などを付すことで、読みやすく理解しやすくするよう心がけた。訓読については、中世日本語学の専門家の助力も得て、明恵時代の漢文訓読の方式をできるかぎり再現することにつとめたため、日本語学研究の資料としても有用である。・ 【現代語訳】では、訓読した夢記を可能な限りわかりやすく現代語に訳した。夢記の現代語訳は初めての試みで、内容の紹介が不十分であった従来の状況を解消するものとして特筆すべきものである。・【語釈】は、その夢記の理解に必要な語句を立項して説明を付した。中世の歴史・信仰・美術・言語、ひいては広く中世文化を解明するための重要な手掛かりを含む、多くの新知見が盛り込まれたものである。・【考察】においては、その夢をどのように理解すべきか、また、その夢が生まれる機縁や背景を明恵自身の文脈から考察し、内容理解について掘り下げた。夢記を深く理解し、さらにそれを出発点として中世文化に考察を広げる契機となるものである。・「Ⅴ資料」には、【夢記年表】【参考文献一覧】【人名一覧】【事項索引】を収め、研究のツールとして有用なものを収載した。・【夢記年表】には、二種類の年表を掲載した。一つは明恵の夢記から抽出したデータに基づく年表であり、もう一つは明恵の根本伝記である『高山寺明恵上人行状』等の関連資料に含まれる夢記の年表である。夢を時間軸に沿って配列することで、明恵の宗教者・人間としての内的な成熟や変化、状況と夢の関連など多方面からの分析が可能になる。・【参考文献一覧】は、夢記研究に関する論文や研究書を一覧にしたもので、研究史を容易に捉えることができる。・【人名一覧】は、夢記に登場する人名を抽出して一覧にし、簡潔な説明を付した、いわば夢記人名辞典である。明恵の人脈や文化圏を理解するための重要なツールとなるものである。・【事項索引】は、各夢記に登場する事項のうち、神仏名、地名、修法名など、重要と思われるものを抽出して索引とした。この索引によって、明恵の夢のモチーフの淵源などを探ることもできる。
口絵(1)1―2 建久十年四月十八日夢記(佐藤辰美氏蔵)(2)1―2 建久十年四月十八日夢記紙表『十六国大阿羅漢因果識見頌』巻頭・巻尾緒 言 奥田勲凡 例Ⅰ 影印(1)1―10 建永二年、承元三年、建暦元年夢記第四紙・第五紙紙背(京都国立博物館蔵)(2)1―14 建暦三年二月二十九日夢記(法楽寺蔵)(3)2―1 某年正月七日より三十日夢記(個人蔵)(4)2―2 某年某月、二月夢記(陽明文庫蔵)(5)2―12 某年八月夢記(個人蔵)(6)2―15 某年十一月二日夢記(個人蔵)(7)2―15 某年十一月二日夢記紙背(8)2―19 某年十二月二十九日夢記(石水博物館蔵1号手鑑)(9)2―20 某年三月十八日、去冬比夢記(青井義夫氏蔵)(10)4―15 夢記(同後夜)(大垣博氏蔵)Ⅱ 解題 立木宏哉一 「明恵上人夢記」について(1)高山寺本「夢記」と山外本「夢記」(2)「夢記」をめぐる研究史二 山外本「夢記」解説(1)京都国立博物館蔵本(2)陽明文庫蔵本(3)観智院旧蔵本(4)松浦厚旧蔵本(5)神田喜一郎旧蔵本(6)松永耳庵旧蔵本(7)その他Ⅲ 目録 小林あづみ編凡 例第1部(年の記載のあるもの)第2部(月日の記載のみのもの)第3部(日の記載のみのもの)第4部(年月日の記載を欠くもの)Ⅳ 訳注凡 例第1部(1~21)1―1 建久九年五月七日夢記1―2 建久十年四月十八日夢記1―3 建仁二年六月、閏十月夢記1―4 建仁三年三月十一日(夢記)1―5 建仁三年八月十日夢記1―6 建仁三年十一月、十二月夢記1―7 建仁四年正月二十八日夢記1―8 元久二年閏七月夢記1―9 建永元年九月、十月、十一月夢記1―10 建永二年、承元三年、建暦元年夢記1―11 承元三年正月十五日夢記1―12 建暦二年八月十一日(夢記)1―13 建暦二年十一月十九日夢記1―14 建暦三年二月二十九日夢記1―15 建保六年六月十一日夢記A・B1―16 承久三年、四年夢記1―17 嘉禄元年六月夢記1―18 嘉禄元年、二年夢記1―19 嘉禄元年八月十六日夢記1―20 寛喜元年二月二日夢記1―21 寛喜元年十月、十一月、十二月夢記第2部(1~22)2―1 某年正月七日より三十日夢記2―2 某年某月、二月夢記2―3 某年三月二十七日夢記2―4 某年三月二十八日夢記2―5 某年四月十八日夢記2―6 某年四月二十二日夢記 2―7 某年五月七日夢記2―8 某年五月、六月夢記2―9 某年六月二十五日、二十六日夢記2―10 某年七月十日より十二日夢記2―11 某年八月十七日夢記2―12 某年八月夢記2―13 某年九月、十月二十六日夢記2―14 某年十月二十六日夢記B2―15 某年十一月二日夢記 2―16 某年十二月五六日夢記2―17 某年十二月十五日夢記2―18 某年十二月十五日、十六日夢記2―19 某年十二月二十九日夢記2―20 某年三月十八日、去年冬比夢記2―21 某年七月一日、三日夢記2―22 某年一月七日夢記第3部(1~16)3―1 某年月七日夢記3―2 某年月十八日、二十日比夢記3―3 某年月十九日夢記3―4 某年月十九日、二十二日夢記3―5 某年月二十一日夢記3―6 某年月二十二日夢記A3―7 某年月二十二日夢記B3―8 某年月二十三日夢記A3―9 某年月二十三日夢記B3―10 某年月二十三日夢記C3―11 某年月二十四日夢A3―12 某年月二十四日夢B3―13 某年月二十四日、二十九日夢記3―14 某年月二十六日・三十日夢記3―15 某年月二十一日夢記3―16 某年月二十九日夢記第4部(1~15)4―1 夢記(極精進)4―2 夢記(他処去)4―3―A 夢記(高尾草菴)4―3―B (夢記)(高尾草菴)4―4 夢記(宝性寺)4―5 夢記(同夜夢云)4―6 夢記(一丈許入)4―7 夢記(有日修仏眼法)4―8 (夢記)(ナル事ヲカ)4―9 夢記(在菩薩ト奉念)4―10 夢記(従此前)4―11 夢記(海禅夢)4―12 (夢記)(帰到)4―13(夢記)(十二縁起ノ生死)4―14 (夢記)(問曰此夢)4―15 夢記(同後夜)Ⅴ 資料1 夢記年表 野呂靖編 ①高山寺本・山外本夢記 ②明恵上人行状・その他資料2 明恵略年表 野呂靖編3 参考文献一覧 小宮俊海編4 事項索引 立木宏哉編5 人名一覧 小林あづみ編あとがき 平野多恵・前川健一謝 辞執筆者一覧
奥田勲(おくだ・いさお)聖心女子大学名誉教授。専門は日本中世文学。著書に『明恵―遍歴と夢』(東京大学出版会、1978年)、『連歌師』(評論社、1986年)、『宗祇』(吉川弘文館、1998年)、共編著に『明恵上人資料第二』(高山寺資料叢書、東京大学出版会、1978年)、論文に「明恵上人夢記研究の現況と問題点」(『智山学報』第61輯、2012年)などがある。平野多恵(ひらの・たえ)成蹊大学文学部准教授。専門は日本中世文学。著書に『明恵 和歌と仏教の相克』(笠間書院、2011年)、共著に『秋篠月清集 明恵上人歌集』(明治書院、2013年)、論文に「〈予言文学〉としてのおみくじ」(『〈予言文学〉の世界 過去と未来を繋ぐ言説』勉誠出版、2012年)、「釈教歌の方法と文体」(『日本文学』2014年7月号)などがある。前川健一(まえがわ・けんいち)公益財団法人東洋哲学研究所研究員。専門は仏教学・生命倫理学。著書に『明恵の思想史的研究』(法藏館、2012年)、論文に「法華経の漢訳」(『法華経と日蓮(シリーズ日蓮1)』、春秋社、2014年)、「祖師信仰」(『仏教の事典』、朝倉書店、2014年)、「日本仏教と脳死・臓器移植問題」(『奥田聖應先生頌記念インド学仏教学論集』、佼成出版社、2014年)などがある。
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