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ウタガキノセカイ

歌垣の世界

歌垣文化圏の中の日本

工藤隆 著

定価 5,184円 (本体4,800円) 在庫あり

数量:

著者の考える歌垣論の集大成

日本古代の歌垣関連記事から旧来の歌垣論の再検討、どのように進化してきたかなど幅広く「歌垣」を掘り下げた一冊。
附録として、1995年に著者が直接現地(中国雲南省ぺー族集落)に赴き、約1時間20分にわたる自然な歌垣の映像・音声を収録したDVDを附す。

ISBN 978-4-585-29111-4 Cコード C3095
刊行年月 2015年12月 判型・製本 四六判・上製  280 頁
キーワード 上代, 古代, 東アジア

目次

はじめに
序章 歌垣像への道
  歌垣はなぜ消えたのか
  歌垣を必要としない結婚制度の普及が歌垣を衰えさせたか
  歌垣は〈古代の古代〉以来の風習
第一章 日本古代の歌垣関係記事
 A(『常陸国風土記』筑波郡)
  百数十キロメートルの遠隔地からも参集した
  歌の数は膨大だったろう  
  大規模な歌垣は場所と日時が決まっていた
  配偶者を得たいという切実な思い
  歌会の場で即興的に歌われた歌ではない
 B「筑波嶺に登りて嬥歌会をせし日に作れる歌一首并せて短歌」(「高橋連虫麻呂歌集」  『万葉集』巻9・1759・1760)
   「嬥歌」は侮蔑感のある漢語
  少数民族国家知識人の複雑な感情
  あこがれと侮蔑が交錯する
  「交る」は歌を掛け合うことである
 C(『常陸国風土記』香島郡童子女松原)
   歌垣は常陸国のさまざまな地域で行われていた
  現実の歌垣から離れた歌物語の世界か
  二人の心中死は歌垣とは関係ないのではないか
  神域を犯したことの罰としての死だったか
 D(『摂津国風土記逸文』)
   筑波山のような歌垣は関西にも九州にもあったか
 E(『肥前国風土記逸文』杵島県)
   広く流布した固定歌詞の民謡もあったようだ
  歌垣は酒を飲みながらの宴会とは違う
 F(『古事記』清寧天皇)
   海柘榴市の歌垣
 G(『日本書紀』武烈天皇即位前紀)
   歌詞の伝承の多様性
  「闘ひ明して」の実態は?
  ヲケのみこととシビの臣の歌垣は喧嘩歌である
  歌掛けと歌垣の違い  
呪いと呪い返し
歌垣には親和性と闘争性が共存している
第二章 旧来の歌垣論の再検討
  本居宣長『古事記伝』の歌垣論
  国境と文字世界の内側に閉じられた古代文学研究の弱点
  民俗資料からみた歌垣論
  村の祭り一般に見られた緩みが歌垣特有と錯覚された
  神とオトメの問答には歌垣の対等性がない
  学術的辞典類の歌垣記述も旧説から脱却できていない

第三章 歌垣論はどのように進化してきたのか
  歌垣研究は二十世紀後半から大きく転回しつつある
  土橋寛の長江流域少数民族へのまなざし
  歌垣文化圏・兄妹始祖神話文化圏と照葉樹林文化帯の重なり合い
  少数民族の歌垣の現地報告が届き始める
  現場に忠実な歌垣記録が登場し始めた
 ペー族歌垣の現地調査記録の登場
 歌垣の現場密着記録が次々に公開され始めた
 文献と国境に閉じられた古代文学研究からの脱却を
第四章 現場の歌垣から立ち上がる新しい歌垣像
  目的と表現形態の両面から見る
  行事の目的は何でもよい
  かなり広い地域から参集しただろう
  歌垣は同言語・同民族のあいだでしか成立できない
  メロディーは一つに固定されている
  メロディーの定型と歌詞の定型は同時存在している
  歌詞には〈歌のワザ〉の分厚い層がある
  〈歌のワザ〉の習得は子どものときから
  〝歌詞の練り込み〟は二の次である
  男女の位置関係はどうでもよい
  楽器はなくてもかまわない
  酔っ払っていては持続できない
  歌垣に〝性の解放〟は必須ではない
  長江以南少数民族の歌垣の歌のほとんどは五音・七音の組み合わせ
 〝恋愛のプロセス〟の順番を守るのは理念の中の歌垣
  恋愛の諸局面では万葉恋歌と通じ合う
  互いに相手を「兄」「妹」と呼ぶ共通性
 「人目」「人言」は自分たちの恋愛を支援するものでもある
  歌垣は男女を結婚に導くための制度的役割を持っている
  歌垣での男女は対等な関係を演じる
  歌垣には〝親和性〟と〝闘争性〟が同時存在している
 原型生存型文化
 〈歌垣の現場の八段階〉
第五章 「踏歌」と「歌垣」の混用の時代
 H(『日本書紀』持統天皇七年〔693〕1月16日)
 I(『日本書紀』持統天皇八年〔694〕1月17、19日)
   踏歌は渡来人が持ち込んだ外来歌舞
  隋・唐の宮廷踏歌が移入された
  筑波山
  歌垣は紀元前以来の長江以南文化圏の一部
 J(『続日本紀』聖武天皇天平二年〔730〕1月16日)
 K(『続日本紀』聖武天皇天平六年〔734〕2月1日)
   ヤマト伝統の歌舞と外来の踏歌の融合
 L(『続日本紀』聖武天皇天平十四年〔742〕1月16日)
 M(『続日本紀』孝謙天皇天平勝宝三年〔751〕1月16日)
 N(『続日本紀』淳仁天皇天平宝字三年〔759〕1月18日)
 O(『類聚三代格』天平神護二年〔766〕1月14日太政官符)
   宮中行事として定着した踏歌
 P(『続日本紀』称徳天皇宝亀元年〔770〕3月28日)
   渡来系氏族のシンボルでもあった踏歌
第六章 葬送と歌垣──遊部・嬥歌の問題
 Q(800年代後半成立の『令集解』喪葬令「遊部」の「古記」の註)
   遊部は遺骸に近接する職掌
  野中・古市は天皇(大王)陵の密集地
  遊部は何を行なっていたのか
  埴輪から推測する葬送儀礼
  今城塚古墳の人物形象埴輪群
 人物形象埴輪群は殯の再現か
   長江以南少数民族の葬送と歌掛け
(事例1雲南省イ族からの聞き書き
    事例2雲南省ハニ族からの聞き書き
    事例3雲南省ペー族の踏葬歌
    事例4雲南省イ族の実際の葬儀
    事例5雲南省モソ人の実際の葬儀の調査記録
    事例6 チワン族の葬儀での歌の掛け合い
    事例7 漢族の葬儀における問答形式の歌の掛け合い
    事例8北部タイのカレン族の葬儀での歌の掛け合い
    事例9 タイ西北部のラワ族の葬儀での歌垣)  
   葬儀と嬥歌と遊部
 R(左太沖「魏都賦」『文選』〔530年ごろ成立〕第六巻)
   野中・古市の葬儀でも「嬥歌」にあたるものがあったのではないか
  遊部は弥生期以来の伝統に道教系呪術が融合したものか
  歌垣は紀元前以来の長江以南文化圏の産物だが踏歌は六〇〇年代に直輸入された
  恋歌文化の伝統は誇るべき世界文化遺産
 あとがき
  引用・参照の文献一覧

編著者プロフィール

工藤隆(くどう・たかし)
1942年栃木県生まれ。1966年東京大学経済学部経済学科卒業。同年早稲田大学大学院文学研究科(演劇専修)修士課程入学、1968年同卒業。同年同博士課程入学、1978年同博士課程単位取得修了。
演劇学の研究と経て沖縄を含む日本国内の祭式・民俗芸能調査に進み、1994年からは中国などアジアの少数民族文化の本格的な実地調査を開始し、『古事記』など日本古代文学研究に新しい視点を提示しつつある。中国雲南省雲南民族学院・雲南省民族研究所客員研究員 (1995.4~1996.3)。大東文化大学名誉教授。
主著には『雲南省ペー族歌垣と日本古代文学』(勉誠出版)、『日本・起源の古代から読む』(同)、『21世紀・日本像の哲学』(同)などがある。

書評情報

「日本経済新聞」(2016年6月28日)にて、本書の紹介文が、著者インタビューとともに掲載されました。

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