基礎学から文芸・教養書までを刊行する総合出版社。
Publishing the books about Japanese literature, history and etc.

  • ホーム
  • お知らせ
  • ご利用案内
  • お問い合わせ
  • 会社案内
特集ページ
電子書籍はこちら

ニホンキンガクシ

日本琴學史

上原作和・正道寺康子 編著

定価 16,200円 (本体15,000円) 在庫あり

数量:

七絃琴の日本における受容を詳述したはじめての通史

中国の無形文化遺産・七絃琴(古琴)は、「君子左琴」「右書左琴」と称される君子の楽器である。琴は奈良時代に伝来し、『うつほ物語』や『源氏物語』などの古典文学でも主人公の携行する楽器として描かれている。また、「琴棋書画」として日中の文人に愛好されたことも広く知られているが、これまで体系的に享受史が解明されたことはなかった。
日本人は琴をどのように受容し、いかなる音楽文化を形成したのか。また、日本文学にいかなる影響を与えたのか。
「伯牙絶弦」「知音」の故事でも知られる琴および琴曲の実態、古典文学をはじめ中・近世の漢詩文や近代文学への影響、中国および日本の禅僧や文人ら、我が国の琴人の系譜と王朝物語の音楽伝承の生成過程を中心に、古楽譜や楽書などの文献史料や絵画資料も用いてその特質を明らかにする。

ISBN 978-4-585-29119-0 Cコード C3095
刊行年月 2016年2月 判型・製本 A5判・上製  600 頁
キーワード 中古, 平安, 文化史

目次

序言 上原作和

Ⅰ 概説篇
第一部 琴の文化史 上原作和
緒言―七絃琴(古琴)について―
一 形態
二 沿革
三 平安朝以前
四 平安朝時代
五 江戸時代
六 琴と銘
七 琴譜
第二部 古代日本文学と琴曲 正道寺康子
一 七絃琴の琴曲と琴人
二 奈良・平安時代と琴曲
三 奈良・平安文学と琴曲―韻文―
四 奈良・平安文学と琴曲―散文―
結語―七絃琴と唐楽曲―

Ⅱ 論攷篇
第一部 日本文化の中の琴學史 上原作和
第一章 懐風の琴・其一―「知音」の故事と歌語「松風」の生成―
一 懐風の琴
二 歌ことば「松風」の成立
三 漢故事「知音」の和風義訓熟字化
四 「琴の音」と「松風」の融合化
五 詩語の「松風」、歌語の「松風」
六 『懐風藻』の琴曲故事群
七 ふたたび、懐風の琴

第二章 懐風の琴・其二―石上乙麻呂の琴「白雲」―

一 石上朝臣乙麻呂四首
二 石上乙麻呂の人生と詩想
三 「弾琴顧落景」と琴曲「広陵散」の位置
四 琴曲「広陵散」の「日本的」主題
五 「贈」と「閨情」の意味するもの
六 『万葉集』巻六、石上乙麻呂の歌三首
七 「懐風」の微かなる音

第三章 《浮き木》の物語史―懐風の琴・異聞―

一 『源氏物語』にみえる歌語《浮き木》
二 仏教的歌語としての《浮き木》の展開
三 歌語《浮き木》の河源としての吉野詩
四 歌語《浮き木》の生成
結語

第四章「一子相伝」の論理―血脈相承から宗匠制伝授へ―

一 「絶音」の時代の琴學史―鎌倉・室町期―
二 江戸時代の琴學再興期
三 『東皐琴譜』の和歌琴譜
四 「一子相伝」の理路―血脈から宗匠制へ―
結語―選ばれし者の条件―

第五章 覚醒としての〈楽〉
― 『うつほ物語』の「胡笳の調べ」、あるいは「幸福の護符」の物語―
一 懐風の琴と海彼の音
二 「胡笳の声に調ぶ」こと
三 「二なき」物語としての「胡笳」の調べ
四 「楼の上」の幻覚と天変地異

第六章「揺し按ずる暇も心あわたたしければ」―『源氏物語』作家の琴
楽環境―

一 平安朝琴楽史素描
二 『源氏物語』の琴楽描写
三 胡笳の調べと五六のはら
四 琴譜解読『碣石調幽蘭第五』
五 「一子相伝」の琴學―『碣石調幽蘭第五』序―
結語―選ばれし者の《楽》―

第七章 『原中最秘鈔』の琴學史―琵琶西流の席巻と「胡笳の調べ」説の退潮―
序 ―『原中最秘鈔』研究史―
一 『原中最秘鈔』の琴學論
二 閑院公季流徳大寺西園寺家の楽理と「琴の正本」
三 『原中最秘鈔』相伝の琴曲
結語

第八章 江戸儒者の『源氏物語』註釈学と琴學史―熊沢蕃山『源氏外伝』から荻生徂徠『琴学大意抄』へ―

一 山田孝雄『源氏物語之音楽』の位置
二 熊沢蕃山『源氏外伝』の礼楽論
三 熊沢蕃山から荻生徂徠へ
四 荻生徂徠『琴學大意抄』の位置
結語

第九章 幕末明治の〈琴〉文化と夏目漱石
一 「きん」と呼ばれる琴
二 漱石俳句に見る琴
三 漢詩から小説へ―『一夜』『猫』『草枕』『虞美人草』―
四 『思い出すことなど』の「抱琴心」
五 大正五年秋、午前『明暗』、午後詩作
六 漱石は実際に〈琴〉の音を聴いたか
七 『心』の琴史と明治九年生まれの先生
八 勝海舟の琴學
終章 王朝の「胡笳」説から江戸琴學、そして近代琴學へ

第二部 平安朝物語文学と七絃琴─琴曲・説話・絵画─正道寺康子
第一章 『うつほ物語』の音楽と樹木神話

一 桐の巨木から七絃琴へ
二 宇宙樹・生命の樹と七絃琴
三 不思議な樹木の話―望みを叶えてくれる樹―
四 音楽を秘めた樹木
結語

第二章 『うつほ物語』の音楽―音楽故事の影響を考える―
一 清原俊蔭と音楽故事―様々な琴人の影響―
二 忠こそと音楽故事―伯奇の影響―
三 丹比弥行と音楽故事―嵆康・介子綏・蔡邕の影響―
四 胡笳の調べと音楽故事―王昭君・蔡琰の影響―
五 『うつほ物語』の胡笳の調べ
結語

第三章 『うつほ物語』源実忠物語と百里奚の故事
一 源実忠物語の閨怨詩的世界
二 志賀の隠れ家―音のない世界(一)―
三 書きつけられた歌―音のない世界(二)―
四 百里奚の故事との類似
結語

第四章 『うつほ物語』と伯牙・嵆康

一 伯牙の故事
二 伯牙の文化史―鏡―
三 伯牙の故事の受容
四 伯牙と嵆康の結びつき
五 『うつほ物語』と伯牙・嵆康の故事

第五章 『うつほ物語』・『源氏物語』と樹下弾琴図

一 『うつほ物語』「俊蔭」巻の樹下弾琴―「三人の人」と「金銀平文琴」―
二 日本に現存する樹下弾琴図―樹下弾琴図から『うつほ物語』へ―
三 『うつほ物語』の俊蔭娘の樹下弾琴
四 『うつほ物語』『源氏物語』における「桜」の樹下弾琴―樹下弾琴図の和風化―
五 屏風絵と樹下弾琴

第六章 『うつほ物語』の七夕と琴

一 『うつほ物語』と七夕
二 乞巧奠と琴
三 『うつほ物語』の七夕と七絃琴

第七章 『狭衣物語』の七絃琴

一 源氏の宮と七絃琴―斎宮女御徽子の影響―
二 賀茂神と七絃琴―神話と史実から―
三 賀茂神と七絃琴―物語世界から―
四 七絃琴の奇跡―物語の主題との関連―
結語

終章 平安朝物語文学の生成―琴曲・音楽説話・樹下弾琴図―

論攷篇 結語 上原作和

Ⅲ琴曲解説篇(解説 上原作和・正道寺康子)
一 琴曲
二 琵琶曲

Ⅳ資料篇
一 蔡琰
二 王昭君
三 嵆康「琴賦」
四 琴操
五 初学記
六 芸文類聚
七 楽府詩集
八 神奇秘譜

跋 正道寺康子・上原作和
初出一覧
索引(事項、人名、書名)  関口崇史

編著者プロフィール

上原作和(うえはら・さくかず)
1962年長野県佐久市生まれ。大東文化大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学-名古屋大学)。現在、桃源文庫日本学研究所教授・法人理事。主な研究テーマ・文献史学、日本琴學史、物語文学。
主著に『光源氏物語の思想史的変貌―〈琴〉のゆくへ―』(有精堂出版、1994 年)、『光源氏物語學藝史―右書左琴の思想―』(翰林書房、2006年)、『光源氏物語傳來史』(武蔵野書院、2011年)、共編著に『人物で読む源氏物語/全20巻』(勉誠出版、2005~2006年)、『完訳太平記/全4巻』(勉誠出版、2007年)、『テーマで読む源氏物語論/1~3巻』(勉誠出版、2008年)等。

正道寺康子(しょうどうじ・やすこ)
1969年富山県滑川市生まれ。新潟大学大学院博士課程単位取得満期退学。修士(文学)。現在、聖徳大学短期大学部准教授。主な研究テーマ・平安朝物語文学。
共編著に『うつほ物語の総合研究2 古注釈編Ⅰ』(勉誠出版、2002年)、教材に『言語と文化Ⅱ 日本古代音楽の世界』(聖徳大学通信教育部、2001年)、論文に「『源氏物語』「森かと見ゆる木の下」の浮舟─樹木怪異譚および樹下における儀礼との関連―」(「中日文化論叢」27 号、2010 年)、「『うつほ物語』と仙界の音楽」(『王朝文学と東ユーラシア文化』、武蔵野書院、2015 年)等。