鏡像関係にある日本と中国

 

ソフトバンク「白戸家」のCMに見る日本らしさとは?

中国で「きつねうどん」は売れるか?

はだか祭りを中国人と一緒に見にいっていいか?

GDPではなく、たとえばGNH(Gross National Happiness)で「大国」を目指してみては?

「ふるさと」と聞いて思い浮かべるのは?

アジア圏の他国の国歌と比べたときの「君が代」の特殊性。

戦後18年、郭沫若が福岡で詠んだ漢詩にこめられた日本人へのメッセージ。

日本で不祥事が起こったときの謝罪のことばの不思議。

   *

「世界の中の日本」について考えるきっかけ、ヒントが満載。

日本にとっての中国は、中国にとっての日本は、それぞれの姿を映し出す「鏡の国」である。

「日中は、互恵の成果を目指して課題を整理すれば、東アジア地域と世界平和のためにもっと貢献できる」

 

「外からの視点」による日本文化論

ベネディクト『菊と刀』、モース『日本その日その日』、ライシャワー『日本歴史の特異性』、ヴォーゲル『ジャパン・アズ・ナンバーワン』、金容雲『韓国人と日本人』…。

外国人が日本人と日本文化を描いた名作は枚挙に暇がない。

私たち日本人は、文化風土や歴史、日常そのものを異化するその視点によって、自明のことと考えがちな日本文化の特徴をあらためて知ることができる。

とりわけ、長い歴史を通じてお互いに影響を与えあってきた中国との比較から見えてくるものは多い。

愛国心、留学生、漢字、色彩感覚などさまざまな文化事象の比較分析から立ち上がる、鏡像関係にある日中両文化の共通点と相違点。

日本人の心と感性をより深く知り、日中の知的関係を再確認して再生産するために。

『鏡の国としての日本』は、中国の経済的な大国化、日本のポップカルチャーの席巻、そして3・11を経た後の、最新の〈外からの視線による日本論〉である。

 

著者からのメッセージ

中国人の留学先は欧米など各国に及んでいるが、日本への留学生だけは留学先(つまり日本へ留学していたということ)を的確に言い当てられる経験をしている。米国やイギリス、フランス、ドイツなどは個性的に見えて、留学生を「個性的に仕立てる」ことになると日本留学には遠く及ばない。

日本とは何か、日本人とは何か、と多くの日本人がもっとも気にかけているようであるが、日本人を仕立てる日本文化は極めて個性的なのである。キーワードは「躾(しつけ)」になろう。古代日本は中国から漢字を仕入れたものの「しつけ」にあたる漢字がなくて困りぬいた果てに、ついにはそのための漢字を創作してしまった。国字であるが、躾というこの国字ほど一字でもって日本文化をシンボライズするものはない。

躾はひとことでいえば態度や表情、仕種であろうが、思いやり、心遣い、優しさに裏打ちされた行動・言動をつくりあげる。日本ほど子どもをやかましく躾ける国はないのではないか。

日本では突出を嫌ったり「出る杭は打たれる」と言ったりする。横並びの文化と自称するのも周囲への気遣いと決して無縁ではない。未曾有の東日本大震災でも日本人はいたわりを失っていなかった。治乱興亡の歴史をもつ中国文化との対照が際立つことになった。

日中は世界史でももっとも交流の古い隣国であるという事実によって、文化も考え方も似たもの同士と思われがちである。現在の日中間の問題の多くはこの思い込みに原因があるのではないか。この本は、似たもの同士でなく似て非なる文化の国であることを認識することが相互理解の基本である、という姿勢に立っている。

日中異文化をこれまでにない角度から取り上げた。中国から見た日本文化論がどれほど日本を映し出しているものか、拙著を手にして読んでほしいと思います。

(王 敏)

 

著者プロフィール

王 敏(わん・みん)
法政大学国際日本学研究所教授。専門は比較文化研究と日本研究、宮沢賢治研究。
中国・河北省承徳市生まれ。大連外国語大学日本語学部卒、四川外国語学院大学院修了、人文科学博士(お茶の水女子大学)。東京成徳大学教授を経て、2003年から現職。
文化外交を推進する総理懇談会委員や中国・国家優秀自費留学賞審査委員なども歴任。
2009年、文化長官表彰。『日本と中国 相互誤解の構造』(中央公論社、2008年)、『日中2000年の不理解―「異なる文化「基層」を探る」』(朝日新書、2006年)、『謝謝!宮沢賢治』(朝日新書、2006年)、『日中比較・生活文化考』(原人舎、2005年)、『宮沢賢治と中国』(サンマーク出版、2002年)、『宮沢賢治 中国に翔ける想い』(岩波書店、2001年)など多くの著作がある。

 

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