『キーピング・アーカイブズ Keeping Archives』連載第22回

 

■間引くためのチェック項目

あるイベントの記録写真があまりにも多すぎることがあり、最近の場合は特によくある。被写体が同じ数百もの画像をとっておいても無駄である。資源はわずかしかない。画像を間引くことは賢明なやり方だが、一貫性を保たなくてはならない。画像を選ぶに当り、ヒントとして以下を挙げよう。

1 顔が分かるか

 もしそうであれば、保存。そうでなければ3へ進む。

2 ぼけているか

 ぼけているならば、廃棄。

3 建物/地面/周囲は写り込んでいるか

 もしそうであれば、保存。

4 悪い写真であっても、唯一無二、すなわち「歴史的」な詳細という観点において他に勝るものはないか

 もしそうであれば、保存。

写真を破壊する際には、慎重に行なわなくてはならない。確実に細かく切ることが最善のやり方である。

重複しているものを間引くのであれば、それらを別にまとめておくのもひとつの方法である(保管容器は、アーカイブズ仕様でなくてもよい)。これらは、展示やレファレンスに利用することができ、組織の関係者にあげることもできる。

■額装あるいは特別に大きい画像

古い画像、あるいはある組織において重要と思われるものの多くは、額装されている。額そのものにも価値があり、画像の出所に関わる手掛かりや情報を有している。額装されていたことから、多くの古い画像は長いこと良く保護されてきて、こうしたことだけでも額を残しておく充分な理由となる。

一方、様式や種類ともにありふれ、画像に損傷を与えかねず、どんな画像であっても全く価値を与えていない額もある。このように判断するには、いくつもの側面を調査することが必要である。そうした額や空いている場所が問題となるならば、画像を額から外し、単なるひとつの画像として保管するのが賢明なこともある。しかしながら額装していることに価値(アーカイブズ的見地、金銭的、感情的など)があるならば、画像をモノ資料として保管するための準備を要するだろう。これはアルバムや箱、ファイリングキャビネットに収められている画像よりも場所をとり、少し異なった扱い方が求められる。

理想的であるのは、額装された画像を吊るすために、移動ラックをいくつか設置することであろう。ラックは美術作品を吊るし、保管することもできる。実際のところ、ラックという考えは、専門的なギャラリーやミュージアムでの保管システムを「借用」したものである。ラックは通常、重いワイヤゲージで出来ていて、複数の額が互いに触れることなく、安全に固定するだけの充分な大きさがなくてはならない。

あるいは、アーカイブズの事務所の壁面を利用、あるいは額を吊るして保管する必要があり、これは伝統的な壁に掛けるやり方である。最も一般的なやり方は、決して理想的とはいえないが、額をあまり使われていない場所の床に置き、壁か戸棚に立てかける方法である。その時、画面を内側にして保護する。このような方法で額装される資料を保管するならば、ポリエチレンフォーム、あるいはしなやかな不活性プラスチックで包むことが最善である。浸水に備えて額を床から離すため、木枠か台座を用いなさい。

標準的な個々の画像に対して行うのと同じやり方で、画像のコンテクスト情報を記録しなさい。ラックにある、というように所在を書きとめること。それには、スライドの1枚ずつ、あるいは掛けてある壁に対して、例えば南の壁の3番といった調子で、番号を付けることになろう。

■毎年撮影している画像

学校やスポーツチームといった組織では、毎年撮っている写真がある。被写体は年月を超え、常に変わらないことはうなずけよう。それは、上級生、ラグビーチームの一軍、卒業生のクラスなどである。これらをいかに整理するかという問題が生じる。こうした画像が組織の公式記録の一部を成しているため、コレクションとして、しかし個々のレベルで情報を記録するのが重要であると考える。画像は、職業写真家によって撮影される場合がほとんどであり、一日、あるいは数日にわたって行われ、組織に一括して納められるであろう。これは、それ自体に重要なコンテクスト情報がある。すなわち、公式写真としての価値をもつこれまでの年のものに加えられて、画像は組織の変化や成長の実にすぐれた記録を形成する。

全般的なコメントで述べたように、画像を物理的に整理することは重要ではない(それらが長期保存のために保護されている限りにおいて)。しかしながら毎年の画像という観点での整理を考えると、相対立する考えが幾つか生じる。画像が仮想の物体となりつつあるため、画像を物理的に置く場所は問題ではなくなるだろう。それらは日付、あるいは被写体ごとに整理されるべきであろうか。

日付別の整理─毎年のシリーズ 被写体別の整理
ある年のものの全て ある年の全体を知るためには、いくつものファイルあるいは場所を調査する必要
ひとつのチームの歴史的な概要を得るためにはいくつものファイルを調査する必要 ひとつのチームの全て、例えば数年にもわたるサッカーの1軍チーム
日付は確かだが、画像の一部に含まれていない 日付が分からない、すなわち日付が画像の一部として含まれていないのなら補足する証拠に頼らなければならない
何が写っていて、写っていないかが分かる どういった画像が撮られているのか不確か、すなわち確かめるためにいくつものファイルを見る必要

【表16.4:日付あるいは被写体別の写真の整理方法の賛否】

 


■デジタル画像

ここでは、デジタル画像とそのさまざまな形式という専門的な詳細については踏み込まない。それは本章の範囲を逸脱している。しかしながら、画像を管理するにあたり、いくつかの簡単な秘訣を示そう。

デジタル画像を管理する鍵とは、他のすべての画像と同じ原則を用いることである。デジタル画像と以前のプリント(印画)形式との大きな違いは、デジタル画像を見るためにはコンピュータあるいは仲介となる機器を利用する必要性である。日付、撮影者、被写体といった画像のコンテクスト情報を保存することは重要であり、こうしたもののいくつかは、それぞれの画像のメタデータとして埋め込まれていることもある。大量となることが見込まれるため、こうした画像のためにある種の秩序を開発、導入、維持することが重要である。さらにはアーカイブズのコレクションにおけるデジタル画像は、さまざまな出所から、さまざまな方法でやって来る。例えばカメラ自体から直接取り込まれる場合や電子メールに添付されたもの、CD、DVD、あるいはUSBといったものに収められたファイルなどがある。スキャンされた古いプリントも、デジタルコレクションの一部を形成することだろう。

 

 


画像がどのようにアーカイブズにやって来たとしても、個々の独立した画像は固有の、唯一無二となるファイルのタイトルをもっている。これは、デジタルカメラやスキャナーといった、その画像を「撮った」機器によって「割り当てられる」ことだろう。このファイルタイトルは大抵、数字やアルファベットから成り、両者の組み合わせであることがほとんどである。こういったファイル「タイトル」は、容易にそれと分かる記述情報をまったくもたない。例えば「PCO00567.jpg」といった具合である。あるいは画像を撮影、またはスキャンした人物が、画像それぞれ、あるいはそのグループに対しファイルタイトルを付けることもあり、そうした場合は「建築_開設_2月_2008_001.jpg」というようにもう少し説明的である。いずれの場合でも、画像を容易に識別できるようにするシステムを開発する必要があるだろう。

今や大半の基本的なコンピュータソフトウェアは、画像を見て管理するオプションあるいはアプリケーションのある種のものを備えている。一般的には、画像はアプリケーションに保存され、アプリケーションを開く時に画像ファイルを見るやり方はいくつかある。ファイルのタイトルは、いくつもの選択肢の中から、一覧、サムネイルあるいはフィルムの一片のように示される。

 

 


全体像の縮小版である「サムネイル」は、探している画像を視覚的に認識するには有益な方法である。しかし検索、あるいは実際には記述の唯一の手段とするには、充分な信頼をおくことはできない。詳細を示し、被写体を識別し、将来の利用者にとって真正性の程度を向上させるためには、更なるコンテクストが画像に与えられなければならない。画像管理を目的としたデータベースは、こうしたことが可能である。こうしたソフトウェアがアーカイブズでの予算規模を超えているならば、簡潔で一貫性をもった分類を施すことによって、一時的にデジタル画像を管理するという単純なやり方もある。プリントと同じように、デジタル画像をどのように整理するかは、あなた次第である。被写体、年といったことが考えられる。画像が作られたままに管理、あるいは多くの利用者が制作された時点をたどっていける単純な体系を開発しなくてはならないのであれば、被写体をサブグループとして、年ごとのグループで整理することが理にかなった出発点であろう。私立学校のために開発された体系に基づく一例を、以下に示す。

まず写真と名付けた「マスター」ファイルを手始めに、コンピュータのハードドライブ上に一連のファイルを作る。このファイルの中に、例えば2006、2007、2008といったように、年ごとのファイルを設ける。さらにそれぞれの内に、討論、創作、2月29日開校記念、サーフィン9年生、キャンプ11年生というような被写体のファイルを作る。このシステムにおいて、公式な年間の画像のためのファイルもまた作られる。一度、こうした年間のファイルができあがれば、画像はその中の適当なサブファイルへ移される。被写体別ファイルの中にある、画像それぞれの名前を修整する必要は全くない。本来の唯一無二であるファイルタイトルが維持される。しかしながらアーカイブズのコレクションを維持していることを忘れてはならない。すなわちこうした画像は永久保存するために選ばれたものであり、そのため最終的な目的とはアーカイブズの資料となる画像を出来る限り記述することである。

このシステムは完璧にはほど遠いが、常識的な原則を用いて単純な保管と検索を可能とし、それと同時にアーカイブズ的な記述をある程度加味することもできる。これは数千もの定型サイズのプリントを管理するために用いられているのと同じ原則である。明らかに欠点はある。例えばある被写体に対して何人もの撮影者がいるかもしれない。ある種のデータベースを使うことなく、ファイルあるいは画像一式それぞれにこうした情報を記録することは大変難しい。

 

 


こうした画像を間引きすることを勧める。プリントと同じ抽出条件を用いなさい。単純に存在するからといって、同じ画像をいくつもとっておく必要はない。

長期間の保存とはなんであろう。ここ数年のよくあるやり方というのは、CDあるいはDVDに画像を焼き付け、それを長期保管のメディアとして用いることである。こうしたメディアの正確な寿命はいまだに証明されていないので、ある被写体あるいは年にとって最良の画像をいくつか選び印刷(プリント)し、それを伝統的なプリント(印画)と同様に保管するというやり方を好むアーキビストもいる。そうした場合、使用する紙、インク、プリンターの種類を注意深く選ぶことが賢明である。プロ仕様の素材は、プロのような仕上りをもたらすことだろう。また冗長性とメディア障害を避けるために、CDにある画像ファイルは、新しい保管メディアや同じソフトウェアでもヴァージョンの新しいものへの移行が必要であることを忘れてはならない。デジタル記録を保管し、保存する新たな手法が開発中であるため、デジタル画像が今後もっと合理的なやり方で管理できるよう望まれる。

 


(第23回につづく)

Keeping Archives, 3rd

Copyright (c) The Australian Society of Archivists, 2008.

First published by The Australian Society of Archivists.

オーストラリア・アーキビスト協会からのご配慮に厚く御礼申し上げます。

 

翻訳者プロフィール

渡邉美喜 東京国立近代美術館企画課研究補佐員

翻訳に関するお問合せはNPO法人映画保存協会までお願いいたします。

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