北原保雄トークアンソロジー、まもなく刊行です!

 

多くの国語・古語辞典を編纂、ことばをあつかった多数の著書を上梓、テレビのクイズ番組やゲームも監修し、「日本語ブーム」の火付け役として知られる北原保雄先生。
このたび刊行された「北原保雄トークアンソロジー」シリーズ『日本語とともに』『ことばの教育』では、そんな北原先生の50年におよぶことばの探求のすべてをコンパクトにまとめています。
相手を敬うだけではない敬語の効用、ほんとうに効果的な辞書の使い方、良い辞書の作り方、若者言葉の問題、国語教師のこころがまえ、目からウロコの名作小説の秘密から、あのベストセラーの裏話まで。
楽しくて役に立つ、日本語をめぐるトークセッションをお楽しみください。

期間限定! 6月30日まで『日本語とともに』がまるごと1章ぶん立ち読みできます! ←終了しました。

 

インタビュー:変化する日本語を効果的に使う

  •  新語や若者言葉が世の中に氾濫しています。
  •  言葉は時を経て変わっていくものです。「~せむ」が「せん」「せう」となり、現在の「~しよう」となったように、時代とともに徐々に変化します。発音や意味が変わったり、言葉そのものが交代するなど変化の仕方は様々です。外来語も次々と入ってきて違和感なく用いられるようになります。
    言葉の縮約も変化の一つです。「気持ち悪い」を「きもい」「キモッ」「キッ」とするなど、若者たちの間では、原形をとどめないくらい短縮が行われています。
    それにしても現在の変化は激しすぎます。これにはテレビやインターネットなどのメディアの影響が大きいでしょう。本来ゆっくりと変化を遂げるものが、急激に変わっているのですから、混乱や違和感が生じるのは当たり前です。
  •  普段の会話で気になる新語と気にならない新語がありますが、その線引きは何でしょう。
  •  「ちゃけば(ぶっちゃけ話)」「ビミョい(微妙だ)」「パ(中途半端の略)」などは論外ですが、「はじける」「突変」などは説明されるとなるほどと思いますね。世の中の7割くらいの人が使っている言葉は、国語辞典に載っていなくても市民権を得ていると言えるのではないでしょうか。「空気を読む」や「目力」などは、日常会話に溶け込んでいますよね。
    仕事の大事な場面では新語や若者言葉を使うことは避けた方がいいでしょう。しかし、相手によって意図的に使い分けるのは問題ありません。若者と話す時に若者言葉を入れると親近感を持ってもらえます。外国人に「コンニチハ」と日本語で挨拶されると距離が縮まる感じがする。それと同じです。
  •  逆に距離を保ちたい時はどうすればいいですか。
  •  その場合は、敬語を使うと効果的です。敬語は目上の人に敬意を払う時に使うことが多いですが、本質的には「距離を置く表現」なのです。訪問販売の人に「申し訳ございません。間に合ってますからお帰りください」のように敬語を使うのは、相手との距離を置こうとしているのです。
    言葉は効果的に使うことが大切です。かしこまった言い方がいいのか、柔らかく伝えた方がいいのか、状況や伝える相手を見極めて使うのも一つのテクニックです。
    上司と部下の関係も同じです。上司は部下に親しさを見せたり、厳しくしたりするなど、場面によって言葉にメリハリをつけることで、コミュニケーションが深まります。ひいては社内の雰囲気も良くなります。

 

著者プロフィール

北原保雄(きたはら・やすお)
1936年、新潟県生まれ。国語学者・日本語学者。筑波大学名誉教授・元学長。
『明鏡国語辞典』『日本語逆引き辞典』(以上、大修館書店)、『日本国語大辞典第二版』『古語大辞典』『全訳古語例解辞典』(以上、小学館)など多くの国語・古語辞典の編纂に携わるほか、『達人の日本語』『日本語の常識アラカルト』(以上、文藝春秋)、『言葉美人の知的な敬語』(ベストセラーズ)、『言葉の化粧』(集英社)、『日本語どっち!?』(金の星社)、『延慶本 平家物語 本文篇・索引篇』、『狂言六義全注』、『狂言記の研究』(以上、勉誠社)など多くの著書がある。
2004年の『問題な日本語』(大修館)は大ベストセラーになった。

 

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