騎馬文化伝播の背景を、原点から問い直す
東洋史家・江上波夫により、一九四八年に提唱された騎馬民族征服説(日本列島騎馬民族征服王朝説)。
現在の天皇家のルーツを古墳時代に日本列島に渡来侵入した大陸北方系(具体的には夫余系)騎馬民族に求めるこの学説は、発表当初より多方面に影響を与え、分野を横断した様々な議論を呼び起こしたが、現在のアカデミズムの中では否定されて久しい。
しかし、近年の諸分野での研究の展開は、この過去の一学説の再評価を促している。
大陸からの大規模な人口移動の可能性を示唆する遺伝学的研究、江上が「ミッシング・リンク」とした資料上の空白を解消する大陸における考古学調査――
これらの最新の知見を盛り込みつつ、騎馬民族征服説の展開と学史的意義、淵源ともいえる東方ユーラシアにおける騎馬文化の展開、さらには日本列島における騎馬文化の出現とその背景を探る。