キンセイズイヒツトハナニカ

近世随筆とはなにか

文学・思想史・歴史
川平敏文 編
ISBN 978-4-585-39065-7 Cコード 3095
刊行年月 2026年10月 判型・製本 A4判・並製 416 頁
キーワード 思想,古典,日本史,江戸,近世

定価:7,700円
(本体 7,000円) ポイント:210pt

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書籍の詳細

江戸時代には数多の「随筆」が書かれ、流通していた。
しかし、現在のジャンル感覚でこれらの著作を見てみると、とてもその枠組みには収まらない知の地平を有していることがわかる。
天下国家を論じたものから、市井風俗の歴史を考証したもの、体系的な学問・芸道論からは零れ落ちるが、捨てておくには惜しい知識や逸話、公的な著述のなかでは記すのは憚られるが、書きつけないではいられなかった本音や悪口――
筆の赴くままに、自由に描かれたその作品たちは、近世の人びとの文化・思想・歴史観を今に伝えるタイムカプセルである。
鵺のごとき「近世随筆」を把捉するために、文学・思想史・歴史など諸ジャンルの一線で活躍する研究者16名を糾合、「近世随筆」という沃野を耕していくための基盤を提示する意欲的成果。

 

 

目次
序章  近世随筆研究のために 川平敏文

第一部 随筆のフロンティア―漢学者の読書と思索
 第一章  永田善斎『膾餘雑録』について―黎明期の漢文随筆 川平敏文
 第二章  儒者の随筆の詩歌論―許六と『醍醐随筆』 砂田歩
 第三章  随筆と称謂―中村蘭林『学山録』における漢語の考証 山本嘉孝

第二部 随筆と注釈のあいだ―起動する学知
 第四章  荻生徂徠『論語徴』と「随筆」―経書注釈の手法をめぐって 高山大毅
 第五章  五井蘭洲の和学と随筆―『茗話』に即して 天野聡一
 第六章  有職故実と随筆―田安宗武『玉函叢説』を中心に 高松亮太
 第七章  木村蒹葭堂と「随筆」―手控え的な著作を中心に 吉田宰

第三部 メディアとしての随筆―ジャンルの越境
 第八章  近世随筆と地方奇談―人見蕉雨『黒甜瑣語』を中心に 門脇大
 第九章  山東京伝と鏑木清方の随筆における〈古の江戸〉―画師の目線に注目して 有澤知世
 第一〇章 芸能・随筆・小説―観世元章をめぐる寓言から人情噺「梅若礼三郎」へ
日置貴之
 第一一章 江戸時代の随筆を近代はいかに評価・活用してきたか    合山林太郎

第四部 随筆の歴史学―学知の編成と流通
 第一二章 城戸千楯『紙魚室雑記』と以文会―近世後期京都における知の共有と随筆の流通 青山英正
 第一三章 抜書される近世随筆―在村医の編纂物を紐解く 古畑侑亮
 第一四章 「松浦弾正改易一件」の顛末と対馬藩の儒者による学統意識の形成
   藤本健太郎
 第一五章 松浦熈編著『亀岡随筆』から復元する「安楽世界」―隠居大名の思想と実践 岩﨑義則

付章 「随筆」とは何か 中森康之
あとがき
執筆者一覧
プロフィール

川平敏文(かわひら・としふみ)
1969年生。九州大学大学院人文科学研究院教授。
専門は日本近世文学・思想史。博士(文学)。
著書に『兼好法師の虚像―偽伝の近世史』(平凡社、2006年)、『東アジアの短詩形文学』(共編、勉誠出版、2012年)、『徒然草の十七世紀―近世文芸思潮の形成』(岩波書店、2015年)、『徒然草 無常観を超えた魅力』(中公新書、2020年)、『武士の道徳学―徳川吉宗と室鳩巣『駿台雑話』』(KADOKAWA、2024年)などがある。

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