「日本における白居易研究」2020・2021年を発表するにあたって
白居易研究会は、『白居易研究講座』一~七(1993~1998)を引き継ぎ、2000年、『白居易研究年報』を発刊する時に、その編集母体として立ち上げられた。『年報』は、2020年、20号で終刊を迎えたが、研究会はこれからも活動を続けることを、20号の「終刊によせて」で、こう書いた。
「年報を刊行し続けてきたこの二〇年、白居易研究は、特にその詩歌において、研究対象の拡がりと分析の精緻化において、刮目すべき発展を遂げている。「年報」という形態は、これをもってひとまずの終わりとするが、「白居易研究会」は、今後も活動を続ける。この白居易研究の新たな段階に対応して、毎年の研究動向を、皆さんにお伝えすると共に、「アジア遊学」その他を活用しての、斬新で刺激的な企画を発していきたい」。
本稿は、この約束の一つ「毎年の研究動向を、皆さんにお伝えする」ことを、研究会の一員として、諸田・下定が担当して行う。今回は、「年報」20号発行以後の2020、2021年の「日本における白居易の研究」について、「白居易・白氏文集に関する研究」と、「日本における白居易の受容についての研究」を紹介している。
「白居易・白氏文集に関する研究」はこれを発表し始めて24年。「影響(受容)についての研究」は17号(2016)に始まりまだ数年だが、これにより、中国文学と日本文学のいずれの研究者も、斯界の研究の趨勢、諸課題についての問題のありかを、労せずして把握していただけるのではないだろうか。その役割を今後はWEB上ではたしていきたい。
紹介にあたっての論著の分類は、今回はこれまで通りとした。しかし、「年報」20号の上記文中にはこう記している。「一九九八年以後における白居易研究」(概要)を書いていて、しばしば思ったことがある。『講座』七、そしてそれを引き継いだ「年報」における研究の分類項目である。……独善・閑適、歓娯に関わる事柄についての研究は実に多様であり、これは一つの大分類として、その中で、愛好の諸物と諸事についての小項目を立てるのが実態に合うのではないか」。この作業、今回は見送りとなったが、近いうちに行うことになるだろう。
白居易研究の新たな展開を、多くの研究者が、一読、把握できる資料を着実に提供してゆきたい。
(白居易研究会、下定雅弘)
下定雅弘「日本における白居易の受容に関する研究―2020・2021年―」 ※クリックするとpdfが開きます。
諸田龍美「日本における白居易の研究―2020・2021年―」 ※クリックするとpdfが開きます。