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キンセイゾウショブンカロン

近世蔵書文化論

地域〈知〉の形成と社会

工藤航平 著

定価 10,800円 (本体10,000円) 在庫あり

数量:

社会の基盤をなす〈知〉は、いかに形成され、浸透していったのか―

近世日本における出版文化の隆盛、そして文書による行政・経済システムの発展は、都鄙・身分を問わず、それぞれの社会的環境のもとで〈知〉の形成・蓄積をうながした。
村落においては、当地における先例、行政や生活に関わる文書、そして書籍からの抜き書きなどを実務的な目的に併せて集成した編纂物が広く作成され、地域固有の〈知〉の源泉としてさまざまな場に応じて活用された。
地域で受け継がれるアーカイブズを「蔵書文化」という観点から読み解き、近世社会特有の〈知〉の構造を描き出す。

ISBN 978-4-585-22200-2 Cコード C3021
刊行年月 2017年11月 判型・製本 A5判・上製  480 頁
キーワード 出版, 日本史, 江戸, 近世

目次

序 章
第一節 地域社会論の成果と課題―求められる村役人の資質―
第二節 リテラシー研究の批判的検証と職能的識字能力
第三節 史料論の再検討―分割管理と認識論―
第四節 新たな研究資源の開発①―地域〈知〉の集約版としての「村の編纂物」―
第五節 新たな研究資源の開発②―体系化された地域〈知〉としての蔵書―
第六節 本書の構成

第一章 名主の村運営と編纂事業―編纂意図の変遷と特質―
はじめに 
第一節 編纂物とそれを取り巻く環境
第二節 編纂事業の変遷と時期区分
第三節 編纂物の機能と意義 
おわりに

第二章 訴願〈知〉の再構築と編纂事業
はじめに
第一節 西方村旧記の構造と性格
第二節 編纂事業の歴史的背景
第三節 訴願〈知〉としての免除論理の再構成
第四節 訴願〈知〉の知識構造
おわりに

第三章 地域の課題解決と編纂物―地域史の共有と郡中一和―
はじめに
第一節 『河嶋堤桜記』の構造と特質
第二節 川島領治水史の再構築
第三節 地域の自己認識
第四節 不穏な地域情勢と郡中一和
第五節 近代における共同体意識の相克
おわりに

第四章 地域情報の共有と編纂物文化
はじめに
第一節 地域情報の蒐集事業
第二節 地域情報の共有と特質
第三節 編纂物文化の展開
おわりに

第五章 村役人の資質形成と書籍受容の特質
はじめに
第一節 書籍の入手方法の多様性・複合性
第二節 編纂物での書籍利用の特質
第三節 地域〈知〉の構築と書物〈知〉
おわりに

第六章 日本近世における村役人の資質と文字文化
はじめに
第一節 村役人の資質と〝算筆文言〟
第二節 江戸の町政機構と算筆能力
第三節 資質の再生産と地域教育
おわりに

第七章 地域社会における蔵書の構造と特質―蔵書目録から地域〈知〉を読み解く―
はじめに
第一節 近世地域社会における蔵書
第二節 地域〈知〉の構築と「村の編纂物」
第三節 西袋村名主小澤豊功の二つの蔵書目録
おわりに

第八章 組合村文書の分割管理と文書認識―地域情報の共有と蔵書構築の基盤―
はじめに 
第一節 奈良堰十ケ村用水組合と文書管理
第二節 地域情報の共有と文書認識
第三節 名主家文書目録の編成・記述と標準化
おわりに

第九章 近世蔵書文化論
はじめに
第一節 書籍研究の現状と課題
第二節 近世蔵書文化論を考える
第三節 近世地域社会における蔵書とはなにか
おわりに

終 章 近世蔵書文化論の成果と展望
1 村役人に期待された算筆能力
2 地域情報の分割管理と共有意識―公論世界の地域的基盤―
3 情報としての書籍の受容
4 「村の編纂物」と編纂物文化
5 「村の編纂物」の広がり―多様性と多国間比較―
6 近世蔵書文化論―近世社会特有の〈知〉の構造―
7 地域〈知〉の構造
8 地域〈知〉の再生産と地域教育
9 地域観の生成と編纂物―地域文化の基盤形成―

あとがき

初出一覧

編著者プロフィール

工藤航平(くどう・こうへい)
1976年生まれ。東京都公文書館(史料編さん担当)専門員。専門は地域文化史。
論文に「幕末期江戸周辺における地域文化の自立」(『関東近世史研究』第65号、2008年)、「日本近世における村役人の資質と文字文化」(『国文学研究資料館紀要アーカイブズ研究篇』第10号、2014年)、「日本近世における地域意識と編纂文化」(『歴史評論』第790号、2016年)、「江戸の消費文化と文房具」(渡辺尚志編『生産・流通・消費の近世史』勉誠出版、2016年)などがある。

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