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帝鑑図と帝鑑図説

日本における勧戒画の受容
小助川元太・薬師寺君子・野田麻美・水野裕史 編
ISBN 978-4-585-37017-8 Cコード 3071
刊行年月 2024年11月 判型・製本 A4判・並製 448 頁
キーワード 美術,思想,古典,中国,東アジア

定価:16,500円
(本体 15,000円) ポイント:450pt

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書籍の詳細

古来、中国そして東アジア各国においては、為政者がいかにあるべきかを説くために、他者や過去の出来事を鑑として戒めとすべき手本を示した「勧戒画(鑑戒画)」が利用されてきた。
なかでも中国帝王にまつわる故事を取り上げたものは「帝鑑図」と称され、屛風や障壁画など室礼や儀礼空間の荘厳として、また、挿絵となり物語と共に『帝鑑図説』として版本化され、東アジアの文化の基底として大きな影響を与えてきた。
本書では、日本における帝鑑図・帝鑑図説の諸作品を美術史・文学研究の第一線の視点より、多角的に考察。
通説を再検討し、「帝鑑図」とは何か、という基本的な定義を問い直す画期的成果。
豊富な図版資料また国内作品の網羅的リストも具備した、東アジア文化史研究における必携の一冊!

 

 

目次
まえがき―「帝鑑図」『帝鑑図説』研究の最前線 小助川元太

【資料編】
〈カラー口絵〉
狩野山楽「帝鑑図押絵貼屛風」(東京国立博物館)
「帝鑑図屛風」(永青文庫)(熊本県立美術館寄託)
狩野探幽他「帝鑑図屛風」(東京国立博物館)
狩野甚丞「帝鑑図屛風」(個人蔵)
狩野宗眼重信「帝鑑図・咸陽宮図屛風」(静岡県立美術館) 
「帝鑑図屛風」(九州国立博物館)
「帝鑑図」(名古屋城本丸御殿)(名古屋城総合事務所)
『帝鑑図説』慶長版(一部) (国立公文書館内閣文庫)

〈モノクロ資料〉
『帝鑑図説』慶長版並びに万暦官版全挿図及び解説 小助川元太
『帝鑑図説』慶長版並びに寛永版翻刻 小助川元太
『中国帝王の記憶すべき事蹟』(仏文『帝鑑図説』)全挿図及び解説 井川義次

【解題編】
狩野山楽「帝鑑図押絵貼屛風」(東京国立博物館) 野田麻美
「帝鑑図屛風」(永青文庫)(熊本県立美術館寄託) 金子岳史
狩野探幽他「帝鑑図屛風」(東京国立博物館) 水野裕史
狩野甚丞「帝鑑図屛風」(個人蔵) 野田麻美
狩野宗眼重信「帝鑑図・咸陽宮図屛風」(静岡県立美術館) 野田麻美
「帝鑑図屛風」(九州国立博物館) 鷲頭桂
「帝鑑図」(名古屋城本丸御殿)(名古屋城総合事務所) 朝日美砂子
帝鑑図説 小助川元太

【論考編】
〈帝鑑図〉
総論 帝鑑図 薬師寺君子
狩野派の帝鑑図再考 野田麻美
御殿空間における名古屋城本丸御殿上洛殿の帝鑑図障壁画 朝日美砂子
帝鑑図と権力 松島仁
帝鑑図と儒教 水野裕史
コラム 帝鑑図の画料 水野裕史
〈帝鑑図説〉
総論 『帝鑑図説』 小助川元太
万暦帝、張居正と『帝鑑図説』 林麗江(尾川明穂訳)
豊臣秀頼と『帝鑑図説』 福田千鶴
『帝鑑図説』の出版文化―通説と近年の研究傾向を問い直す 藤實久美子
コラム 『帝鑑評』 入口敦志
ヨーロッパにおける『帝鑑図説』―フランス革命勃発の起爆剤? 井川義次
〈附録〉
帝鑑図事例一覧
『帝鑑図説』作例一覧(国内中心・一部海外機関)
主要参考文献

あとがき 水野裕史
執筆者紹介
プロフィール

小助川元太(こすけがわ・がんた)
1966年生まれ。愛媛大学教育学部教授。
専門は中世日本文学(主に軍記物語・説話)。
著書に『行誉編『壒嚢鈔』の研究』(三弥井書店、2006年)、論文に「『源平盛衰記』の日付設定―殿下乗合事件・水島合戦・山門奏状を中心に」(『西日本国語国文学』第三号、2016年)論文に「類書・注釈書と『太平記』の関係―『壒嚢鈔』の『太平記』利用」(松尾葦江編『軍記物語講座第三巻 平和の世は来るか 太平記』花鳥社、2019年)、「河野本「源平合戦図屏風」に描かれた『平家物語』―「一の谷合戦」における忠度・通盛・教経を中心に」(『合戦図 描かれた〈武〉』、勉誠出版、2021年)などがある。

薬師寺君子(やくしじ・きみこ)
1971年生まれ。東京文化財研究所客員研究員。
専門は日本近世美術史。
論文に「白泉寺蔵 帝鑑図屏風」(『生活と文化』豊島区立郷土資料館研究紀要一三、2003年)、「「帝鑑図」の画題選択について―名古屋城上洛殿を中心に」(『早稲田大学大学院文学研究科紀要 第三分冊』四五、1999年)、「「帝鑑図」の変遷―青蓮院・名古屋城・熊本城の障壁画と仙台藩の事例から」(『儒教思想と絵画―東アジアの勧戒画』アジア遊学271、勉誠出版、2022年)などがある。

野田麻美(のだ・あさみ)
1979年生まれ。神戸大学大学院人文学研究科講師。
専門は日本美術史(近世絵画)。
著書に『美しき庭園画の世界―江戸絵画にみる現実の理想郷』(静岡県立美術館、2017年)、『忘れられた江戸絵画史の本流―江戸狩野派の二五〇年/江戸狩野派の古典学習―その基盤と広がり』(静岡県立美術館、2021年)、『輞川図と蘭亭曲水図―イメージとテクストの交響』(共編、勉誠社、2023年)、論文に「江戸狩野派による雪舟学習をめぐる諸問題―倣古図の分析から」(『天開圖畫』11号、2019年)などがある。

水野裕史(みずの・ゆうじ)
1981年生まれ。筑波大学芸術系准教授。
専門は日本美術史。
著書に『儒教思想と絵画―東アジアの勧戒画』(編著、アジア遊学271、勉誠社、2022年)、論文に「狩野永納筆《秀吉鷹狩絵巻》下絵と勧修寺家」(『デアルテ』33、九州藝術学会、2017年3月)、“Symbolof Power: Japanese Falconry Images (8th to 17th centuries)”, Raptor on the fist: falconry, its imagery and similar motifs throughout the millennia on a global scale, Wachholtz Verlag GmbH, 2020.8、「鷹狩の絵画―近世初期における鷹狩への眼差し」(福田千鶴・武井弘一編『鷹狩の日本史』勉誠出版、2021年)などがある。

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