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中国では古来、「詩書礼楽」と並称され、音楽が重んじられてきた。「楽」は中国文明にとって「六学」「六芸」の一つであり、知識人が習得すべき必須の学術を意味した。すなわち、文明の根幹をなす重要な文化要素として「楽」が重視されたのである―。考古時代以来、音楽理論が制度的に安定をみた漢代、西洋音楽を受容し咀嚼した明清代を経て、近現代に至る、政治や思想とともに展開していった中国3000年の音楽文化の軌跡を、最新の知見より明らかにする。
川原秀城(かわはら・ひでき)1950年生まれ。東京大学名誉教授。専門は中国朝鮮思想史・東アジア科学史。主な著書編書に『西学東漸と東アジア』(岩波書店、2015年)、『朝鮮朝後期の社会と思想』(アジア遊学、勉誠出版、2015年)、『関流和算書大成―関算四伝書―』第一〜第三期(共編、勉誠出版、2008〜2011年)などがある。
「日本経済新聞」(2016年10月23日)にて、本書の書評が掲載されました。