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バリ島のスバック(水利組織)は、2012年に世界遺産に登録された。火山・水系を背景として棚田を生み出した自然と村落が重要文化的景観として認定されたのである。この文化遺産はいかにして形成され、人や自然と結びついてきたのか。東アジアの水利とはどのような違いがあるのか。村落共同体の組織性と生産性、国家や宗教との関係、独特な舞踊・音楽・絵画が生み出される芸術的基盤の特質に迫り、その歴史的・文化的意義を歴史学・文化人類学・脳生理学・心理学など多角的な視点から明らかにする。
海老澤衷(えびさわ・ただし)早稲田大学文学学術院教授。専門は日本中世史・東アジア水稲文化史。主な著書・論文に『荘園公領制と中世村落』(校倉書房、2000年)、「荘園から城下町へ―継承されるハザードへの対応と流通、文化」(海老澤衷編『中世荘園村落の環境歴史学―東大寺領美濃国大井荘の研究』(吉川弘文館、2018年)などがある。