ニホンノヒョウソウトシュウリ

日本の表装と修理

岩﨑奈緒子・中野慎之・森道彦・横内裕人 編
ISBN 978-4-585-20073-4 Cコード 1000
刊行年月 2020年3月 判型・製本 A5判・上製 432 頁
キーワード アーカイブズ,博物館,図書館,文化史,日本史

定価:7,700円
(本体 7,000円) ポイント:210pt

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はじめに・目次・文化財の構造と名称

あとがき
書籍の詳細
装い、繕い、伝える―

絵画や書、古文書など、紙や絹を用いた文化財は、表装によって、より美しく、より長くその存在を守られ続ける。
そして、これらの歴史的遺産を修理・保存し、伝えていくことは、そこに込められた人々の思い・願いをも共有していく営みである。
表装や修理は、どのような価値観や思想のもとに行われてきたものなのか。文化財の修理・保存の第一線にあり、その困難な作業の中で、技術者たちはどのような試行錯誤を重ねてきたのか。
残し伝えられてきた「モノ」との真摯な対話の中から、表装と修理にまつわる文化史を描き出し、今日の我々にとっての文化財保護の意義と意味を照射する。

 

 

目次
口 絵

はじめに

第一部 現代の装潢・文化財修理
 装潢師の声を聞く―技術者から見た装潢文化財修理の進化 岩﨑奈緒子
  はじめに
  一 絵画と書跡の間
  二 汚さない修理を―絵画修理の展開
  三 課題を乗り越えて―書跡修理の展開
  結びに代えて

 表具師から装潢師へ 岡興造
  はじめに―紙を裁つ、紙を貼る
  一 近世以前の装潢師の歴史
  二 近代京都での装潢師
  三 装潢技術による文化財修理のはじまり
  五 新しい修理技術、修理材料の開発
  六 この一世紀の大きな変化
  おわりにかえて

 古文書修理の歴史と理念 湯山賢一
  はじめに
  一 装潢の歴史
  二 古文書の料紙
  三 古文書の保存と管理
  四 文書と古文書
  五 古文書修理の歩み
  むすびにかえて

第二部 表装の文化史
 日本中世の仏画の表装 谷口耕生
  はじめに
  一 仏画の掛軸装
  二 「裱褙」の語と技術の受容
  三 「本尊表紙」の確立
  四 南都仏画の「新表法」
  結語

 〝東山表具〟の成立をめぐる小考 板倉聖哲

 江月宗玩による表具の記録と制作 門脇むつみ
  はじめに―表具文化史における江月宗玩
  一 表具を記録する―『墨蹟之写』、『天王寺屋会記』
  二 記録者としての特徴
  三 表具を誂える―紹智金襴(白地丸龍文)の愛好
  四 表具師との関わり
  むすび

 表装が伝えるもの―後水尾院縁の掛軸を事例として 髙田智仁
  はじめに
  一 後水尾院縁の五幅の掛軸
  二 般舟院伝来の後水尾院御影と大阪青山本御影
  三 後水尾院と表装
  おわりに

 近代日本における中国書画蒐集と表装 竹浪遠
  はじめに
  一 明治における中国書画受容と表装
  二 大正・昭和前期における中国書画流入と関西のコレクターたち
  おわりに

 近代日本画の材料と表装 中野慎之
  はじめに―問題の所在
  一 基底材―絹・紙・礬水
  二 絵画表現―膠・墨・絵具
  三 絵画の制作
  四 表装―表具師とその技術
  おわりに―日本画の材料・形式・保存


第三部 修理の文化史
 平安時代の仏画制作とその修理 増記隆介
  はじめに
  一 平安時代の仏画制作
  二 平安時代の仏画修理
  おわりに

 前近代における書跡・古文書修理の諸相―現状維持の理念をめぐって 横内裕人
  はじめに―国宝・東大寺文書の修理をつうじて
   一 古文書の修理
   二 書跡の修理
   おわりに

 護持院隆光の寺社修理―元禄期の奈良を中心に 古川攝一
   はじめに
   一 綱吉政権期の寺社修理事業
   二 奈良の寺社修理事業
   三 護持院隆光と寺社修理―元禄期の奈良
   四 修理の記憶―唐招提寺所蔵「十六羅漢図」
   おわりに

 近世における障壁画の保存と継承 森道彦
   はじめに
   一 中世障壁画のゆくえ
   二 障壁画の保存・活用と近世社会
   障壁画の履歴の意味―結びにかえて

 近世ヨーロッパ美術と修復―芸術作品の受容史の視点から 平川佳世
   はじめに
   一 西洋絵画の物質的な成り立ちと堅牢性
   二 宗教空間における芸術作品の改変
   三 祈りの対象から美的オブジェへと変容する絵画
   四 芸術愛好家たちの作品改変―前近代における作品鑑賞のあり方

あとがき
執筆者一覧
プロフィール

岩﨑奈緒子(いわさき・なおこ)
1961年生まれ。京都大学総合博物館教授。専門は日本近世史。
著書に『日本の表装』(共編著、アクティブKEI、2016年)、論文に「世界認識の転換」(『岩波講座日本歴史』13巻、2015年)、「歴史と文化の危機―文化財保護法の「改正」」(『歴史学研究』981、2019年)などがある。

中野慎之(なかの・のりゆき)
1985年生まれ。京都府教育庁文化財保護課を経て、文化庁文化財第一課文部科学技官(絵画部門)。
論文に「昭和大嘗会屏風の史的位置」(『京都美学美術史学』11号、2012年)、「京都画壇における鵺派の意義」(『美術史』177号、2014年)、「新南画の成立と展開」(『鹿島美術研究』年報31号別冊、2014年)などがある。

森 道彦(もり・みちひこ)
1986年生まれ。京都文化博物館を経て、京都国立博物館 研究員(中世絵画)。
論文に「狩野元信「釈迦堂縁起絵巻」(清凉寺)の制作をめぐって」(松本郁代・出光佐千子・彬子女王編『風俗絵画の文化学Ⅲ』思文閣出版、2014年)、「室町時代における花鳥画制作と写生の機能について―初期狩野派「鳥類図巻」(京都国立博物館)を中心に」(『鹿島美術財団年報』34、2016年)、「「北野天神縁起絵」と北野社の風景」(京都文化博物館編『北野天満宮 信仰と名宝』思文閣出版、2019年)などがある。

横内裕人(よこうち・ひろと)
1969年生まれ。京都府立大学教授。専門は日本中世史。
著書に『日本中世の仏教と東アジア』(塙書房、2008年)、論文に「東大寺印蔵の文書管理構造―所司と大衆の関わりを中心に」(『南都仏教』100号、2018年)などがある。

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