「杜甫一生愁う」――
七一二年、玄宗皇帝即位の年に生まれた杜甫。
この偶然は、杜甫にいくつもの歴史的な必然を背負わせることになった。
生涯全一四五七首の中、安史の乱勃発までに作った詩はわずか一〇〇首余りにすぎず、残り大部分の一三〇〇余首を、乱中・乱後の世界において作り続けた。
安史の乱によって引き起こされた社会の変化を文学に書き留めるために、天から遣わされてきたような詩人であった杜甫。
彼はその戦乱の世に何を見、何を詠んだのか。
そして安史の乱とはなんであったのか。
杜甫を軸として安史の乱を見ることで、安史の乱がその後の文学と政治・社会に与えた意義を問い直す。