白居易の重んじた詩のあり方―「諷諭」の精神を探る
下々の民の心情を詩歌によって天子の耳に入れ、またこれを後世につたえること―
白居易は、『詩経』の伝統に基づいたこの文学のあり方「諷諭」を重んじ、自らの詩集の冒頭に位置づけた。その「諷諭詩」の代表作が「新楽府」である。
本特集では、唐代の詩壇において爆発的な流行を遂げ、日本でも平安朝初期の白詩伝来以来、源氏物語、菅原道真の詩や古今集序など、様々な影響を与えてきた「新楽府」の受容の諸相を多角的に論じ、詩人の精神が如何に海を越え、時代を越え、受け継がれてきたかを明らかにする。
「新楽府(シンガフ)」とは・・・
もともとは朝廷の音楽の役所の意で、そこで演奏される歌詞そのものを
指すようになったと言われる。
白居易は友人たちと楽府の内容の刷新を図ったが、それを作品とした
ものが「新楽府」である。
「諷諭(フウユ)」とは・・・
遠回しに諭すという意で、政治批判的な意味を内容に込めるというところに
特徴がある。
「諷諭詩」の代表作が「新楽府」である。