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インドで撰述され、日本には漢訳された文献として伝来した『法華経』は、日本独自の展開をみせ、多方面で日本文化に深く関わりを持った。芸能や儀礼、説話や和歌のなかに融け込み、さまざまな書写形態や音声によって伝えられ、絵画や一石経、絵経などに姿を変えながら浸透していった日本古典としての「法華経」の諸相を多角的に論じる。
浅田徹(あさだ・とおる)お茶の水女子大学教授。専門は和歌史・歌学史。著書、論文に、『百首歌―祈りと象徴』(臨川書店、1999年)、『シリーズ 和歌をひらく』(共編書、全五巻、岩波書店、2005~6年)、「和歌と祈り―源氏供養・法門百首・宝物集など」(『平安朝文学研究』復刊二〇号、2012年)などがある。