世界に誇る白眉の書物を原寸原色で初公開
司馬遷が撰述した中国最古の通史『史記』。日本では平安時代に紀伝道の必修科目として最重視され、中国古代の歴史的知識の源泉、文章作成の手本としても利用された。
本書はその注釈書である『史記集解』を院政期に書写したもの。二巻同筆ではないが、同時期の書写によるもので、巻首には高山寺の朱印、本文には墨書の古訓、朱のヲコト点を有する。おそらく紀伝道の家に伝来したものと考えられ、日本文化史上、非常に貴重な逸品である。
【本シリーズの特長】
・国際的な東洋学の研究拠点として名高い「公益財団法人 東洋文庫」所蔵の国宝5点、重要文化財6点を含む貴重古典籍全16点を、全12巻にわたって全編フルカラー原寸で影印。
・対象典籍の全編フルカラー影印は史上初。これまでに全編が公開されることのなかった典籍を多く含んでおり、今後の研究の基礎図書となるものである。
・高精細な製版・印刷により、原本の質感を再現。筆致や書入、訓点までもが仔細に観察できる。紙背の墨付も全て影印。
・古典籍に通暁した石塚晴通(北海道大学名誉教授)・小助川貞次(富山大学教授)・豊島正之(上智大学教授)・會谷佳光(東洋文庫図書部課長)による解題を収載。新知見を盛り込み、歴史的・文化的位置づけを明らかにする。