語りの文学『源氏物語』、その原点に立ち返る。
本文に忠実でありながらよみやすい。
最上の現代語訳!
第三冊は須磨巻~松風巻。光源氏二十六歳~三十一歳の出来事。政敵右大臣の娘朧月夜との密会の露見により、須磨・明石で憂愁の日々を送る光源氏。しかしその地で明石の君と出会い、姫君を儲ける。やがて、帰京し政界に復帰した源氏は権大納言・内大臣と昇進して栄華をきわめてゆく。
巻末の論文では、その場限りの設定で描かれた、または、結果的にそうなってしまった「一回性人物」の消滅と再生を紹介し、彼らが登場する意味について考察する。
【本書の特色】
1.美しく正しい日本語で、物語の本質である語りの姿勢を活かした訳。
2.物語本文を忠実に訳し、初の試みとして、訳文と対照させ、物語本文を下欄に示す、本文対照形式。
3.訳文に表わせない引歌の類や、地名・歳事・有職などの説明を上欄に簡明に示す。
4.敬語の語法を重視し、人物の身分や対人関係を考慮して、有効かつ丁寧に訳す。
5.物語本文で省略されている主語を適宜補い、官職名や女君・姫君などと示される人物にも適宜、( )内に呼名を示し、読解の助けとする。
6.訳文には段落を設け、小見出しを付けて内容を簡明に示す。また巻頭に「小見出し一覧」としてまとめ、巻の展開を一覧できるようにした。
7.各巻末に源氏物語の理解を深めるための付図や興味深い論文を掲載。