アジア遊学274
ゴエツコク ジュッセイキヒガシアジアニハナヒライタブンカコッカ

呉越国 10世紀東アジアに華開いた文化国家

瀧朝子 編
ISBN 978-4-585-32521-5 Cコード 1322
刊行年月 2022年10月 判型・製本 A5判・並製 336 頁
キーワード 美術,文化史,宗教,中国,東アジア

定価:3,520円
(本体 3,200円) ポイント:96pt

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書籍の詳細

唐の滅亡から北宋の成立に至るまでの期間、中国大陸は諸国が並び立つ群雄割拠の時代を迎えた―五代十国時代である。
なかでも呉越国は十国の一つであるが、青磁を代表する越州窯を領土内に持ち、また、江南における釈迦信仰の歴史を受けて文化を豊かに高めた。
さらに、海港都市を有して海外と積極的な交流を図っており、国王銭氏一族を中心として展開されたその文化や外交が東アジアに与えた影響は非常に大きい。
本書では、新たな歴史的文物の発見が目覚ましい呉越国に関する最新の知見を盛り込み、王族墓からの出土品や雷峰塔など、その真髄ともいえる文化の一端を示し、また、東アジア圏における呉越国の在り方や日本、遼(契丹)、高麗などを含めた周囲の国々との関係について解説。
東洋美術及び東洋史、文学など諸分野からの多角的な視点より、東アジアにおける呉越国の与えた影響を総合的に捉える初めての書。
掲載図版150点超!

 

 

目次
カラー口絵

[はじめに]呉越国の文化と美術 瀧朝子

杭州の呉越国関連地図

第一部 呉越国と東アジア諸国 
東アジアのなかの呉越国 山崎覚士
藤原実頼・師輔の呉越王への書 後藤昭雄
呉越・宋・高麗への返書・返牒と自讃―大江家伝来の外交文書と対外意識 吉原浩人
呉越と平安朝の漢学 後藤昭雄
【コラム】呉越研究と金石文 森田憲司
江浙地方と日本におけるボタン栽培の始まり―呉越国からの伝来の可能性 久保輝幸
『呉越銭氏』の現代的意義について 池澤滋子

第二部 呉越国王銭氏の信仰
呉越国の道教信仰―投龍簡と聖地ネットワーク 酒井規史
呉越国銀簡・金龍考釈 王宣艶(瀧朝子訳)
呉越国と韓半島における仏教文化交流新論 周炅美(李鉉淑訳)
呉越における菩薩戒―銭弘俶の受戒を中心に 河上麻由子
【コラム】初唐道宣の『集神州三宝感通録』と呉越 肥田路美

第三部 呉越国の考古・美術と交流関係
五代・呉越国時期の銅鏡―五代の銅鏡に関する問題とともに 王牧(瀧朝子訳)
五代宋初の呉越国における仏教金銅像概観 黎毓馨(田林啓訳)
呉越国をめぐる南北文化交流 向井佑介
天台山石橋五百羅漢と賛寧―中国における羅漢信仰のひろがり 西谷功
呉越国の絵画と日本―「応現観音図」を中心に 増記隆介
呉越国将来『往生西方浄土瑞応刪伝』の古代・中世における受容 崔鵬偉

あとがき 瀧朝子
プロフィール

瀧 朝子(たき・あさこ)
大和文華館学芸部課長。専門は東洋工芸史、仏教美術史。
企画・主編した特別展と図録に『鏡像の美―鏡に刻まれた仏の世界』(大和文華館、2006年)、『呉越国―西湖に育まれた文化の精粋』(大和文華館、2016年)、『建国一一〇〇年 高麗―金属工芸の輝きと信仰』(大和文華館、2018年)、『天之美禄 酒の美術』(大和文華館、2021年)などがある。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「週刊読書人」(2022年12月23日、10面)「2022年回顧総特集」にて紹介されました。
 →紹介者:関 智英氏(津田塾大学准教授)
 「中国研究月報」vol.77 No.7(2023年7月号、2023年7月25日発行)に書評が掲載されました。
 →評者:梅村尚樹氏(北海道大学)

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