アジア遊学153
ジュウヨウブンカテキケイカンヘノミチ

重要文化的景観への道

エコ・サイトミュージアム田染荘
海老澤衷・服部英雄・飯沼賢司 編
ISBN 978-4-585-22619-2 Cコード 1321
刊行年月 2012年6月 判型・製本 A5判・並製 208 頁
キーワード 環境,文化史,日本史,近世,中世

定価:2,200円
(本体 2,000円) ポイント:60pt

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書籍の詳細

大分県豊後高田市の「田染荘小崎」は、平安時代から中世にかけて宇佐八幡宮の根本荘園として栄え、その水田景観が往時とかわらない良好な状態で保持され、いまに伝えられる村落遺跡である。六郷満山の仏教文化、熊野磨崖仏などの石造文化財、豊かな自然環境など地域資源が豊富であり、環境(エコロジー)と史跡(サイト)を兼ね備えた野外博物館「エコ・サイトミュージアム」と名付けることができる。
この田染荘の歴史的・文化的意義について、文献史学・考古学・民俗学・生態学など多分野の視点から考察する。そして、1981年の村落遺跡調査から2010年の「重要文化的景観」の指定に至る道程を検証し、景観保存のあるべき姿を探る。

 

 

目次
序 重要文化的景観への道―エコ・サイトミュージアム田染荘―/海老澤衷

Ⅰ 重要文化的景観と農村の未来
見えない風景の連関と継承―田染小崎の風景の価値/佐々木葉
荘園遺跡の文化的景観―骨寺から田染へ/入間田宣夫
田染荘域における水田開発の諸段階と小崎/海老澤衷
田染荘小崎の学術的価値/服部英雄
荘園村落遺跡と文化的景観―田染荘小崎の重要文化的景観選定に至る道程/飯沼賢司
広域村落遺跡の保護と文化的景観/後藤宗俊

Ⅱ 広域水田遺跡調査と田染荘
考古資料からみた田染盆地/宮内克己
田染地域の水田開発と集落/後藤一重
熊野墓地にみる中世・近世・近代/山田拓伸
村落と信仰―田染モデルの構築/段上達雄
近世村落景観の復原―村絵図と地籍図から景観の変化を考える/出田和久

Ⅲ 重要文化的景観の保存と活用
文化的景観と世界遺産/高木徳郎
国東半島における「荘園村落遺跡調査」の軌跡/櫻井成昭
豊後高田市の田染荘保存の軌跡―田園空間博物館構想から重要文化的景観へ/藤重深雪
田染荘小崎の生物多様性と農耕/足立高行
田染荘小崎地区の植生と植物/小田毅
農村振興と景観保全―農村整備が取り組む「美しい農村景観づくり」/重岡徹
田染荘小崎におけるトンボたち/佐藤さくら

あとがき/海老澤衷・服部英雄・飯沼賢司
プロフィール

海老澤衷(えびさわ・ただし)
1948年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。日本中世史、荘園史研究を専攻。現在は、東アジア村落の水利史、水稲文化などを研究。
著書に『荘園公領制と中世村落』(校倉書房、2000年)、『景観に歴史を読む史料編』(トランスアート、2005年)などがある。

服部英雄(はっとり・ひでお)
1949年生まれ。九州大学大学院比較社会文化研究院教授。同研究院長。日本中世史専攻。
著書に『景観にさぐる中世』(新人物往来社、1995年)、『地名の歴史学』(角川叢書、2000年)、『武士と荘園支配』(山川出版社、2004年)、『峠の歴史学』(朝日新聞社、2007年)などがある。

飯沼賢司(いいぬま・けんじ)
1953年生まれ。別府大学文学部教授。日本古代・中世史専攻。
主要著書に「中世のムラ―景観は語りかける』(共著、東京大学出版会、1995年)、『ヒトと環境と文化遺産―21世紀に何を伝えるか』(共編著、山川出版社、2000年)『環境歴史学とはなにか』(日本史リブレット23)(山川出版社、2004年)、『八幡神とはなにか』(角川書店、2004年)などがある。

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