聖徳太子信仰の形成と普及の謎に迫る!
聖徳太子の事績や四天王寺の縁起・資財等が詳細に記され、長らく太子自筆の書として古代から中世にかけて人々の注目を集めてきた『四天王寺縁起』。
『四天王寺縁起』は、だれがなぜ作成し、いかにして伝えられたのか。
本書は、多数の写本をもつ『四天王寺縁起』を歴史史料として扱い、諸本の本文を丁寧に吟味する手続きを示して成立時期や伝受内容、縁起が後世に与えた影響を明らかにする。
また『聖徳太子伝暦』『天王寺秘決』「聖徳太子未来記」など関係の深い諸史料との比較検討を通じて、縁起作成と聖徳太子信仰の普及に関わった人々をあぶり出し、古代中世の社会状況や信仰の実態を解明する。