カートは空です。
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中国文学史上、木版刊行物における挿絵の印刷文化が質・量ともに頂点に達したのは明末清初である。各地の書肆は競って挿絵本を刊行し、彫師や画工の名工も多数輩出した。こうした書籍はわが国にも多数招来され、江戸文学・美術・工藝の多方面に大きな影響を及ぼした。当時の人々がどのように書籍に対峙したかを想起するとき、図像を無視することはできない。文学と美術の交差点である挿絵に注目し、その研究のもたらす可能性を探る。
瀧本弘之(たきもと・ひろゆき)著述家、中国版画研究家。美術一般から特に東西を問わず古版画・近現代版画に関心をもつ。編著書に『蘇州版画』(駸々堂、1992年)、『中国抗日戦争時期新興版画史の研究』(研文出版、2007年)、『民国期美術へのまなざし』(勉誠出版、2011年)、『中国古典文学挿画集成』[一~八](遊子館、1999―2012年)などがある。大塚秀高(おおつか・ひでたか)埼玉大学教養学部教授。専門分野は中国俗文学。主な著書に『増補中国通俗小説書目』(汲古書院、1987年)、『中国小説史への視点』(放送大学教育振興会、1987年)がある。