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平安の世を情熱的に生き抜いた和泉式部の「生の声」を伝える『和泉式部日記』。この作品をめぐる文学史の記述は、はたして鑑賞の域を越えて、正しく評価された結果によるものであろうか。われわれの眼前に残された幾多の『物語』とただ一つの『日記』。虚心坦懐に諸伝本と向き合うという平安文学研究の起点へ立ち返り、本文や諸説のゆらぎを読み解き、研究史の陥穽を突く画期的論考。
岡田貴憲(おかだ・たかのり)1985年、北海道札幌市生まれ。2014年、北海道大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員DC2を経て、現在、同特別研究員PD。論文に、「『狭衣物語』女二宮密通譚の表現意図―「一夜孕み」からの脱却と狭衣即位―」(『古代中世文学論考』第27集、2012年12月)などがある。