凡　例

序
一　『源氏物語』の和漢比較文学研究概観―研究史と課題―
二　本書の構成と概要

第一篇　物語の展開と漢詩文表現―〈漢才〉を視点として―
第一章　『源氏物語』の「才」と〈漢才〉
序
一　平安時代語「才」について―漢語「才」との比較―
二　『源氏物語』の「才」
三　『源氏物語』の〈漢才〉
結

第二章　光源氏の政治家像と〈漢才〉
序
一　臣籍降下と〈漢才〉習得
二　桐壺帝の聖断と光源氏の〈漢才〉習得
三　政治家光源氏の基底と〈漢才〉
結

第三章　夕霧の呼称と〈漢才〉
序
一　「人の親の」歌と光源氏―朱雀院との対比から―
二　帝、后と「中の劣り」―「御子三人」の中の夕霧の位相―
三　元服の場
四　「大殿の若君」から「大学の君」へ
結

第四章　柏木の言葉と〈漢才〉
序
一　柏木の言葉に見える漢詩文表現
二　平安朝貴族社会と『孝経』・『論語』
三　『源氏物語』の「孝」と〈漢才〉
四　柏木物語と『伊勢物語』
結

第五章　宇治八の宮の「才」と〈漢才〉
序
一　「橋姫」巻の「才」
二　『源氏物語』続篇の〈漢才〉と人物形象
三　続篇の博士・儒者と「才」―大内記道定を中心に―
四　続篇の冷泉院と「才」―八の宮との対比から―
結

第二篇　政治の主題と漢詩文表現
第一章　「桐壺」巻の予言と漢詩文表現―鴻臚館の光る君―
序
一　「高麗人」と「鴻臚館」
二　鴻臚館と菅原文時「封事三箇条」
三　右大弁と菅原道真―元慶度渤海贈答詩の表現から―
四　菅原道真「鴻臚贈答詩序」と光源氏―「党」の語を視座として―
五　大江朝綱「夏夜於鴻臚館餞北客詩序」と光源氏
結

第二章　朱雀帝御世の政治と漢詩文表現
序
一　諷諭と王沢讃美
二　朱雀帝御世の政情
三　光源氏の詩と文事―「賢木」巻の作文と韻塞―
四　朱雀帝御世の詩と文事―「内宴」を視座として―
五　桐壺帝御世の詩と文事―「花宴」巻の南殿の桜の宴の意義―
結

第三章　「澪標」巻の譲国と漢詩文表現―致仕大臣の招聘と光源氏の政治構想―
序
一　致仕大臣と四皓
二　冷泉帝と孝恵帝
三　成年天皇と摂政設置
四　「留侯世家」と「呂后本紀」―呂后典拠の多面性―
結
第四章　「松風」巻の漢詩文表現と『伊勢物語』八十二段―桂の院の光源氏―
序
一　『伊勢物語』から『源氏物語』へ
二　「山崎のあなた」と「嵯峨野」・「大堰」・「桂」
三　「やまと歌」と「絶句」
四　「沈む月」と「昇る月」
結

第三篇　作中人物の形象と漢詩文表現
第一章　「蓬生」巻の漢詩文表現―叔母北の方の形象と新楽府「塩商婦」―
序
一　「蓬生」巻と漢詩文―表現と主題―
二　新楽府「塩商婦」と叔母北の方
三　平安朝文学の「塩」
四　塩商の富
五　受領の富・大弐の富
結

第二章　藤壺宮の形象と漢詩文表現―「朝顔」巻末と尤物論―
序
一　尤物の主題史と表現史
二　尤物としての桐壺更衣と藤壺宮
三　「朝顔」巻末の藤壺宮と尤物―「鴬鴬伝」を中心に―
結

第三章　「御師の大内記」の形象と漢詩文表現―『源氏物語』の儒者たち―
序
一　冷泉朝〈聖代〉の定位と動揺―「少女」巻前史―

二　夕霧大学寮入学と大内記
三　大内記の形象
四　文章博士の形象
五　「すげなし」の系譜
六　「累代」と「起家」
結

第四篇　寛弘期の文学と漢詩文表現
第一章　『紫式部日記』の漢詩文表現
序
一　「寛弘」という時代と『紫式部日記』
二　作中人物と〈漢才〉記事―為時・道長・一条天皇―
三　「物語を書く〈私〉」とその時代
結

第二章　『本朝麗藻』の釈奠詩と『源氏物語』の漢詩文表現
序
一　『本朝麗藻』の釈奠詩―道真・忠臣の釈奠詩と比較して―
二　「葵」と「向日」
三　『本朝麗藻』と『源氏物語』―国際意識と聖代観―
結

結

初出一覧

後　記

索　引

笹川勲（ささがわ・いさお）
1975年11月東京都豊島区生。1998年3月二松學舎大学文学部中国文学科卒業。2015年3月國學院大學大学院文学研究科博士課程後期日本文学専攻修了。博士（文学・國學院大學）。現在、國學院大學兼任講師。専門は、平安朝文学、和漢比較文学。
主な論文に、「『源氏物語』「澪標」巻の譲国と准拠―致仕大臣の招聘と光源氏の政治構想―」（『文学・語学』第204号、2012年11月）、「『源氏物語』「朝顔」巻末と漢詩文―尤物の受容と藤壺宮の形象―」（『和漢比較文学』第53号、2014年8月）、「長保・寛弘聖代観の形成―藤原行成と大江匡衡の詩文から―」（『むらさき』第53輯、2016年12月） などがある。

「國學院雑誌」第119巻第6号（2018年）にて、本書の紹介文が掲載されました。（評者：津島昭宏（國學院大學栃木短期大学））