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「否定」をあらわす文末表現は、他者への配慮・表現論的機能・文法カテゴリーなど、様々な要素が複雑に絡み合った述語構造を持つ。『浮雲』『小公子』『金色夜叉』といった明治文学を対象に、文法的形式と意味・機能の両面から、その史的変遷にアプローチ。「言文一致運動」に代表される過渡期の言語実態を、日本語学的な視点からあぶりだす、刺激的な文法・文体論!
許哲(ほ・ちょる)1969年生まれ。明治大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。現在、朝鮮大学校外国語学部教授。専門は日本語学(明治時代語の史的研究)。主な論文に、「明治東京語におけるマセヌからマセンへの交替について」(『明治大学大学院文学研究論集』第30号、2009年2月)、「『金色夜叉』本文の助動詞の異同について」(共著、『日本近代語研究5』、2009年10月)、「明治期における否定表現の認識―アストン『日本口語文典』第四版(1888)をもとに―」(『明治大学日本文学』第38号、2012年4月)、「若松賤子訳『小公子』における「丁寧・否定・過去」の諸表現―マセンカッタからマセンデシタを経てナカッタデスへ―」(『朝鮮大学校学報26』2016年6月)などがある。