禅僧たちの記録からよみがえる鎌倉時代の喫茶文化
茶の文化は禅と深く関わるものであり、近年はその価値への世界的評価の高まりとともに、研究も盛んになっている。
なかでも茶を日本に伝えた栄西をはじめ、鎌倉時代の禅僧たちの史料は、禅と茶を語る上で避けては通れない。
しかし、禅僧による史料は膨大であり、かつ難解なものが多く、これまで体系的な研究がなされてこなかった。
鎌倉時代の禅僧の史料を博捜し、喫茶史料を抽出、書き下し・現代語訳および訳注、解説を付す。
禅と茶の研究に新たな視座を提供する決定版史料集。
【本書の特色】
鎌倉時代の禅僧の喫茶史料を収集して、難解な史料に対して読解と研究の手掛かりを提示する。
書き下しを行ない、できる限り語注を付け、読解に資するように詳細な注記を付した。
訳文を付けているので、研究者のみならず、鎌倉時代の禅と茶の関係を知りたいと思う人にも読むことができるものとなっている。
収集した史料を、禅僧の寂年を基本として順に配することで、鎌倉時代の禅と茶の歴史をたどることができるように試みている。
〈推薦文〉
現代の日本のお茶は、栄西禅師が鎌倉時代に中国から茶の製法、飲み方、効能を伝えたことからはじまります。
お茶は禅宗と切っても切れぬ繋りをもちながら禅宗に帰依する武士層を中心に広がり、日本文化の粋ともいうべき喫茶文化と発展しました。その全貌をうかがうには禅文化の中の喫茶史料を見る必要があります。しかし禅籍を読むのは至難の業。ここに禅籍研究の第一人者舘隆志氏による訓読、わかりやすい現代語訳、詳細の注釈つきの史料集成が誕生したことは、茶の文化に関心をもつ者にとって何よりもありがたい贈りものです。
国立民族学博物館名誉教授・MIHO MUSEUM 館長 熊倉功夫