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定家本系統でありながら注目すべき独自本文を具備した鎌倉時代中期写本、学習院大学蔵『源氏物語』「藤袴」帖の全編を高精細のカラー画像にて影印。 さらに、全編の翻刻および僚帖である国文研蔵「榊原本」をはじめ、諸本との比較検討による考察を記した研究篇を収載。 書誌学的知見を活かした『源氏物語』研究における新たな礎を提示する。
武藤那賀子(むとう・ながこ) 鹿児島国際大学国際文化学部准教授。専門は書誌学、物語文学。 主な論文に「幻想の音―「見せるもの」「参加するもの」としての『源氏物語』「女楽」」(『物語研究』(20)、19-31、2020年3月)、「同じ呼称の人物が織りなす物語―『浅茅が露』における「中将」」(『物語研究』(22)、139-147、2022年3月)、「ディアスポラを志向する昔男―『伊勢物語』「東下り」の和歌と境」(『日本文学』71(3)、33-42、2022年3月)などがある。