ユーラシア大陸北部に広がる極寒の大地として知られるシベリア。ロシアの一地域としてのシベリアとそこに生きる「シベリア先住民」を中心とする住民は、ロシア帝国からの植民地主義に基づくまなざしによって成立した。
しかし、先史時代から厳しくも豊潤とすらいえる資源を擁する環境に適応し、多様で固有の文化を形成してきたシベリア諸民族は、ロシアからの関心とは裏腹に、アジア世界と陸続きのつながりを維持し、周辺諸民族との物質的・文化的交流を深めてきた。
「ロシア」でもあり「アジア」でもある、複合的で多層的なシベリア地域全体をアジア世界との連続性から捉え直し、ロシアとの関わりの中で営まれていく「シベリア文化」のこれからのかたちを描き出す。