アジア遊学227
アジアトシテノシベリア

アジアとしてのシベリア

ロシアの中のシベリア先住民世界
永山ゆかり・吉田睦 編
ISBN 978-4-585-22693-2 Cコード 1339
刊行年月 2018年12月 判型・製本 A5判・並製 272 頁
キーワード 文化史,民族学,言語,アジア,世界史

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細

ユーラシア大陸北部に広がる極寒の大地として知られるシベリア。ロシアの一地域としてのシベリアとそこに生きる「シベリア先住民」を中心とする住民は、ロシア帝国からの植民地主義に基づくまなざしによって成立した。
しかし、先史時代から厳しくも豊潤とすらいえる資源を擁する環境に適応し、多様で固有の文化を形成してきたシベリア諸民族は、ロシアからの関心とは裏腹に、アジア世界と陸続きのつながりを維持し、周辺諸民族との物質的・文化的交流を深めてきた。
「ロシア」でもあり「アジア」でもある、複合的で多層的なシベリア地域全体をアジア世界との連続性から捉え直し、ロシアとの関わりの中で営まれていく「シベリア文化」のこれからのかたちを描き出す。

 

 

目次
はじめに―シベリア~ロシアとアジアの狭間で 吉田睦
ロシア北方シベリア極東先住少数民族一覧表

第Ⅰ部 シベリアという地域
シベリアの自然環境―地理的背景とその変化 飯島慈裕
【コラム】気候変動とシベリア―永久凍土と文化の相互作用からわかること 高倉浩樹
人類史におけるシベリアとその意義―移住と適応の歴史 加藤博文
シベリア先住民の豊かな言語世界 江畑冬生
【コラム】エウェン語のフィールドワークとサハ共和国の多言語使用 鍛治広真

第Ⅱ部 ロシアの中のシベリア―「シベリア先住民」の成立とシベリア固有文化
シベリア史における先住民の成立―先住民概念と用語について 吉田睦
シベリア地方主義と「女性問題」―シャシコフの評価をめぐって 渡邊日日
シベリアのロシア人―ロシア人地域集団とその文化的特色 伊賀上菜穂
シベリアと周辺世界のつながり―織物技術の視点から 佐々木史郎
【コラム】シベリアにある「ポーランド」をめぐって 森田耕司

第Ⅲ部 アジアとしてのシベリア―シベリア先住民:多様な文化空間
第一章 シベリア先住民とは?
シベリアのテュルク系諸民族 山下宗久
東西シベリアの言語の境界―ツングースとサモエードの言語から見る民族接触の可能性 松本亮
シベリア〜アジア民族音楽の連続性 直川礼緒
【コラム】古アジア諸語 小野智香子
第二章 シベリア先住民の現在・未来
シベリア先住民文学を紹介する―極北のドルガン詩人オグド・アクショーノワの作品より 藤代節
スィニャ・ハンティの年金生活者の生業活動とその役割 大石侑香
【コラム】モンゴル〜シベリアのトナカイ遊牧民を訪ねて 中田篤
サハとアイヌの音楽交流 荏原小百合
サハリン先住民族文化の復興 丹菊逸治
カムチャッカの先住民文化を受け継ぐ人々 永山ゆかり
おわりに 永山ゆかり
プロフィール

永山ゆかり(ながやま・ゆかり)
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター共同研究員。専門は言語学。
主な著書に、永山ゆかり・長崎郁編『シベリア先住民の食卓:食べものから見たシベリア先住民の暮らし』(東海大学出版部、2016年)、山田仁史・永山ゆかり・藤原潤子編『水・雪・氷のフォークロア―北の人々の伝承世界』(勉誠出版、2014年)、「アリュートル語」(『日本語の隣人たちII《CD付》(ニューエクスプレス・スペシャル)』白水社、2013年)などがある。

吉田睦(よしだ・あつし)
千葉大学大学院人文科学研究院教授。専門は、北方諸民族文化研究、文化人類学。
主な著書に、『トナカイ牧畜民の食の文化・社会誌―西シベリア・ツンドラ・ネネツの食の比較文化』(彩流社、2003年)、「シベリアのトナカイ牧畜・飼育と開発・環境問題」(高倉浩樹編『極寒のシベリアに生きる―トナカイと氷と先住民』新泉社、2012年)などがある。

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