ニチベイコウリュウシノナカノフクダナヲミ

日米交流史の中の福田なをみ Naomi Fukuda and the History of Japan-U.S. Exchange

「外国研究」とライブラリアン “Foreign Area Studies” and the Librarian
小出いずみ 著 Izumi Koide
ISBN 978-4-585-30004-5 Cコード 1000
刊行年月 2022年2月 判型・製本 A5判・上製 536 頁
キーワード 伝記,アーカイブズ,博物館,図書館,交流史

定価:7,700円
(本体 7,000円) ポイント:210pt

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書籍の詳細
図書館がつなぐ、知られざる日米交流史

第二次大戦前、戦中・戦後の時代を通して活動した、日本研究ライブラリアンの草分け、福田なをみ(1907-2007)。
アメリカと日本の両国の多様なライブラリーにおいて仕事をしたという希有な経歴をもつ彼女の足跡は、自身が記録や資料を手元に残さない人であったことにより、これまで詳細に知られることがなかった。
日米両国での福田の仕事の全貌をつかみ、日米にまたがって所在する資料を博捜、日本の図書館界とアメリカの学界・図書館界との接点をつとめていながら、これまであまり知られていない福田なをみの足跡と役割を明らかにし、さらには、日米交流史の文脈から、ライブラリーという場を磁場とし、異なる文化圏に関する知識を追究する「外国研究」が初発期においてどのように進められ、展開したかを明らかにする。

2021年度 東京大学而立賞受賞!

【本書の特色】
戦前・戦中・戦後の図書館史にかかわる人名辞典ともなる詳細な人物注を収載。図書館必備のレファレンスの一冊としても有用。

 

 

目次
図表一覧
略号リスト

序 章 国際交流とライブラリー
 第一節 外国に関する知識
 第二節 福田なをみの活動
 第三節 図書館情報学用語とアーカイブズ学用語の整理
   一 「一次資料」と「二次資料」
   二 「情報資源」
   三 図書館、および図書館で働く人を表す日本語
 第四節 本書の構成と概要

第一章 日本の中のアメリカ、アメリカの中の日本
 第一節 生い立ちと環境
   一 両親
   二 幼少時の環境
 第二節 高等教育と留学
   一 東京女子大学英語専攻部卒業と日本語教師
   二 日本研究者R・ライシャワー(Robert K. Reischauer)との出会い
   三 アメリカ留学―日本語教師とライブラリアン
   四 ロックフェラー財団人文学フェロー
   五 議会図書館(LC)での実習
 まとめ

第二章 日米親善から敵国情報へ
 第一節 日本での仕事
   一 帰国
   二 東京帝国大学附属図書館
   三 LC資料収集の手伝い
 第二節 アメリカ研究とアメリカに関する情報資源
   一 立教大学図書館と当時のアメリカ研究
   二 帝国図書館における資料群
   三 太平洋協会とアメリカ情報
 第三節 戦時中の福田―外務省調査局での勤務
   一 外務省での福田
   二 外務省情報部の情報施策
   三 外務省調査部と情報収集
 まとめ

第三章 軍政とライブラリー
 はじめに
 第一節 GHQでの仕事
   一 福田の職場:G-2調査課?
   二 CISの機能
   三 CISライブラリー
   四 福田の消息
 第二節 GHQとライブラリー
   一 軍人用ライブラリー・サービス
     (1) 娯楽用ライブラリー
     (2) 情報・教育用ライブラリー
   二 軍政用ライブラリーと調査資料
     (1) GHQ各部局内
     (2) 敵国情報から占領のための情報へ
     (3) 調査資料とLCの役割
     (4) OSS R&Aと情報資源
 第三節 GHQの図書館政策と福田の関わり
   一 国会図書館から国立国会図書館へ
   二 ダウンズ顧問付き
   三 図書館員養成問題とJapan Library School
 第四節 ミシガン大学からのオファー
 まとめ

第四章 国際交流から日本研究へ
 はじめに
 第一節 初期の国際文化会館図書室
   一 国際文化会館の創立と図書室の設置
   二 草創期の図書室の活動
    (1) 図書館サービスの構築
    (2) 図書館に関する研究会
    (3) レファレンス・サービス研究
 第二節 アメリカ図書館研究調査団
   一 視察旅行団のアイデア
   二 団員と準備
   三 視察旅行
   四 調査団の成果の展開
    (1) 参考図書ガイド
    (2) 団員たちによる展開
    (3) 成果の評価
 第三節 日本研究への収斂
   一 特色ある活動:協力、あっせん、援助
   二 国際文化会館の方向性と利用者サービス
   三 情報資源の編纂と調査
    (1) 書誌などの出版
    (2) 海外出張と調査
 まとめ

第五章 アメリカの日本研究とライブラリー
 はじめに
 第一節 アメリカにおける日本研究環境の変化
   一 日本に関する学術研究体制のはじまり
   二 日本語習得と研究用ツール
    (1) 学術研究用の日本語能力養成
    (2) 語学将兵の訓練
    (3) 研究・調査・学習の情報資源とツール
    (4) 戦後の研究者・資料の急増と学会の成長
 第二節 メリーランド大学東アジア図書館
   一 メリーランド大学とゴードン・プランゲ(Gordon Prange)のG-2資料
   二 メリーランド大学図書館と東アジア・コレクション
   三 福田の一年
    (1) 福田流
    (2) 組織上の問題
    (3) 資料の状態と種類
   四 資料の性質
 第三節 ミシガン大学アジア図書館
   一 福田着任以前のアジア図書館
   二 福田在職時代(一九七〇年三月―一九七八年六月)のアジア図書館
    (1) 福田なをみ就任
    (2) Bibliographerの仕事
    (3) Japanese Bibliography(日本語資料調査法)コース担当
    (4) 資料収集、資金集め
    (5) コンサルティング、日本研究図書館のネットワーク、会議参加
    (6) 日本研究のアウトプット
   三 退職後の活動
 まとめ

終 章 外国研究とライブラリアン
 第一節 福田なをみと「外国研究」のライブラリー
   一 福田なをみの生涯
   二 外国に関する情報資源整備
   三 外国研究の二面性とライブラリーの情報資源
 第二節 研究と情報資源
   一 研究の位相における資料群と言語
   二 研究図書館における図書館資料とアーカイブズ資料
   三 「外国研究」

 あとがき

福田なをみ編著作物リスト
福田なをみ略年譜
参考資料・文献
  凡例
  一次資料
    〈在日機関〉
    〈在米機関〉
  書籍・記事・逐次刊行物
    〈日本語〉
    〈英語〉
  ウェブ上に公刊された資料
    〈日本のウェブサイト〉
    〈北米他のウェブサイト〉
  インタビュー
    〈聞き取り調査〉
    〈書面・メールでの回答〉
  写真図版所蔵機関一覧
人物註


索 引
プロフィール

小出いずみ(こいで・いずみ)
1950年生まれ。1978年同志社大学大学院神学研究科修了、1980年ピッツバーグ大学大学院図書館情報学科修了、2020年東京大学大学院人文社会系研究科博士(文学)。
専門は図書館学・文化資源学。
(財)国際文化会館図書室長、企画部長を経て、2003-2015年(公財)渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター長を歴任。
主な論文に「外交問題と資料アクセス―アジア歴史資料センターの成立過程」(『アーカイブへのアクセス:日本の経験、アメリカの経験』日外アソシエーツ、2008年所収)、“Locating Primary Source Materials in Japanese Archival Institutions: The Role of Area Studies Librarians in North America” Journal of East Asian Libraries, No.151, June 2010. “Catalyst for the Professionalization of Librarianship in Postwar Japan: Naomi Fukuda and the United States Field Seminar of 1959” Asian Cultural Studies, Vol.39, March 2013.「福田直美とアメリカ図書館研究調査団」(『現代日本の図書館構想 : 戦後改革とその展開』勉誠出版、2013年所収)、「『渋沢栄一伝記資料』を紙から解き放つ」(『記憶と記録の中の渋沢栄一』法政大学出版局、2014年所収)などがある。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「朝日新聞」(2022年5月28日・21面読書欄)「(ひもとく)図書館の可能性 知のアーカイビング 今こそ」に書評が掲載されました。
 →評者:根本彰氏(東京大学名誉教授・図書館情報学)
「文化資源学」22(2024年6月発行)に書評が掲載されました。
 →評者:松本郁子氏

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