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歴史を記述すること―このことは「歴史をいかに見ているのか」をあらわす鑑である。現在、歴史を考え、表現し、伝える環境は、大きな変化を見せている。それでは、いま、歴史学、そして古代史を考えるということは、いったい何を対象として、どのようなスタンスで歴史の正体に迫ろうとする営みであるのか。研究・教育・行政の最前線を走る35名の多様な視点から、日本古代史を読み解く方法論、そしてそこに横たわる歴史研究の意義を提起し、多面的に存在する歴史との対話とその記述の可能性を示す。
新川登亀男(しんかわ・ときお)早稲田大学文学学術院教授。専門は日本古代史、アジア地域文化学。著書に『漢字文化の成り立ちと展開』(山川出版社、2002年)、『仏教文明の転回と表現―文字・言語・造形と思想』・『仏教文明と世俗秩序―国家・社会・聖地の形成』(編著、ともに勉誠出版、2015年)、論文に「文字の伝来」(石井正敏ほか編『日本の対外関係Ⅰ 東アジア世界の成立』吉川弘文館、2010年)などがある。