ニホンジンニトッテキョウヨウトハナニカ

日本人にとって教養とはなにか

〈和〉〈漢〉〈洋〉の文化史
鈴木健一 著
ISBN 978-4-585-39044-2 Cコード 1091
刊行年月 2024年10月 判型・製本 四六判・並製 392 頁
キーワード 文化史,哲学,思想,古典

定価:3,850円
(本体 3,500円) ポイント:105pt

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書籍の詳細

古来、人びとはより良い生き方を求め、より広い世界へとつながっていくために、さまざまな文化や知識と触れ合い、まじりあう中で社会とその規範を作り上げてきた。
奈良時代以前から現代にいたるまで、日本人が「人としてどう生きるか」を模索してきた歴史を、日本由来の文化である〈和〉、中国由来の文化である〈漢〉、そして欧米由来の文化である〈洋〉の交錯の中から描き出す画期的な一冊。

 

 

目次
序 章
百科事典のある家/教養とは何か?/教養の効用とは?/担い手と受け手/本書の構成と目的

第一章 奈良時代以前―〈漢〉の摂取
文字文化の伝来/儒教/仏教/道教/『万葉集』―山上憶良/『万葉集』―大伴家持

第二章 平安時代―〈和〉の確立
第一節 〈漢〉の展開
嵯峨天皇/白詩渡来/菅原道真/『枕草子』香炉峰の雪/『和漢朗詠集』の白詩/三舟の才/大江匡房
第二節 〈和〉の確立
仮名文字の発達/『古今和歌集』小野小町/『伊勢物語』芥川
 Coffee break「平安文学の思い出など」
『源氏物語』

第三章 鎌倉・室町時代―〈和〉〈漢〉の併立
第一節 〈和〉の世界
『新古今和歌集』後鳥羽天皇/『方丈記』/『平家物語』宇治川先陣/『徒然草』
 Coffee break「鎌倉時代の文学の思い出など」
『太平記』/一条兼良/三条西実隆
第二節 〈漢〉の世界
日宋貿易・日明貿易/金沢文庫・足利学校/五山文化/清原宣賢

第四章 安土桃山時代、江戸時代初期―〈和〉〈漢〉の復興
江戸時代初期の文化の特質
第一節 〈和〉の世界
後水尾天皇/松永貞徳/貞門俳諧・狂歌/仮名草子/茶道
第二節 〈漢〉の世界
林羅山/古活字版/整版

第五章 江戸時代―〈和〉〈漢〉の浸透
江戸の教養
第一節 〈和〉の世界
北村季吟『湖月抄』/芭蕉『おくのほそ道』/川柳の詠史句/黄表紙『大悲千祿本』/名所図会
 Coffee break「なぜ江戸時代の文学を勉強しようと思ったか?」
太平記読み/貝原益軒/本居宣長/平田篤胤
第二節 〈漢〉の世界
荻生徂徠/『唐詩選国字解』/『詩語砕金』/上田秋成『雨月物語』菊花の約/曲亭馬琴/頼山陽/朝鮮通信使/『三国志』受容
第三節 〈洋〉の世界
オランダ商館長の書翰/蘭学の受容史概略/蘭学の受容例いくつか

第六章 幕末、明治時代初期―〈和〉〈漢〉〈洋〉の変容
変容する教養
第一節 〈和〉の近代的な展開
吉田松陰/孝明天皇/学制改革と国学/鈴木弘恭による古典の注釈書/和歌史における緩やかな展開
第二節 〈漢〉が形成する基盤
漢学は基礎教養/『日本外史』の絶大な影響力/西洋の文物を漢詩で表現する/明治詩壇の行方
第三節 〈洋〉がもたらすもの
福沢諭吉と英語/外国語の学習熱/キリスト教系の学校の設立/『西洋新書』/明治天皇と洋学

第七章 明治・大正時代、昭和時代前期―〈和〉〈漢〉〈洋〉の折衷
第一節 〈和〉の世界
正岡子規/与謝野晶子/鷗外・漱石における近代と反近代
 Coffee break「近代文学の思い出など」
島崎藤村/芥川龍之介/谷崎潤一郎
第二節 〈漢〉の世界
教育勅語/乃木希典/内藤湖南/大正天皇の漢詩/中島敦/『大漢和辞典』/戦前の漢文教育
第三節 〈洋〉の世界
福沢諭吉/大隈重信/徳富蘇峰/小括/内村鑑三
 Coffee break「キリスト教と私」
河上肇/大正教養主義/和辻哲郎/女子教育/太平洋戦争

第八章 昭和時代後期―〈洋〉の圧倒
第一節 〈和〉 の世界
三島由紀夫/小林秀雄/茨木のり子/司馬遼太郎
 Coffee break 「漫画の効用」
第二節 〈漢〉の世界
吉川幸次郎/『三国志』人気/新釈漢文大系
第三節 〈洋〉の世界
首相経験者の読書/哲学/文化人類学/心理学・精神医学/アメリカ文化
 Coffee break「愛読した児童書」

終 章 日本人にとって教養とは何か?
日本的教養の展開/〈和〉が形成する基盤/〈漢〉の持つ働き/〈洋〉がもたらすもの/〈和〉〈漢〉〈洋〉を持つこと/
なにから始めるか―ことばにしぼって

あとがき

索引(人名・書名)
プロフィール

鈴木健一(すずき・けんいち)
1960年、東京生。
1983年、東京大学文学部卒業。
1988年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
現在、学習院大学文学部教授。
主要著書
『江戸詩歌史の構想』『古典詩歌入門』『古典注釈入門 歴史と技法』『不忍池ものがたり 江戸から東京へ』『近代「国文学」の肖像 佐佐木信綱』『近世文学史論 古典知の継承と展開』(以上、岩波書店)、『知ってる古文の知らない魅力』『江戸諸國四十七景 名所絵を旅する』『天皇と和歌 国見と儀礼の一五〇〇年』(以上、講談社)、『近世堂上歌壇の研究』『江戸古典学の論』(以上、汲古書院)、『江戸詩歌の空間』『伊勢物語の江戸』(以上、森話社)、『林羅山年譜稿』(ぺりかん社)、『風流 江戸の蕎麦』(中央公論新社)、『日本評伝選 林羅山』(ミネルヴァ書房)、『日本漢詩への招待』(東京堂出版)、『日本近世文学史』(三弥井書店)

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