セツワシュウノコウソウトイショウ

説話集の構想と意匠

今昔物語集の成立と前後
荒木浩 著
ISBN 978-4-585-29030-8 Cコード 3091
刊行年月 2012年4月 判型・製本 A5判・上製 768 頁
キーワード 説話,古典,中世

定価:13,200円
(本体 12,000円) ポイント:360pt

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書籍の詳細
〈今は昔〉の文学史

「今は昔」と始められる物語のかたちがあった―
〈物語の出で来はじめの祖〉『竹取物語』を嚆矢とするこの日本文学史上特筆すべき形式は、天竺・震旦・本朝の三国仏教史を描き出す額縁として、再度文学史上の一態として、選択され、復活する。散逸「宇治大納言物語」から『今昔物語集』、そして『宇治拾遺物語』へ。
〈いま〉と〈むかし〉が交錯し、物語世界の連環が揺れ動く。
〈和語〉による伝承物語(=説話)文学の起源と達成を解明する。

 

 

目次
前言―凡例にかえて
第一章〈今は昔〉の説話集
 〈今は昔〉の文学史―起源と再生
 〈今は昔〉の意味論―宇治大納言物語の周辺
 源隆国における安養集と宇治大納言物語の位相―南泉房と延久三年をめぐって
 宇治大納言物語享受史上の分岐―顕昭所引の佚文をめぐって
第二章 今昔物語集の構想と意匠
 阿難結集説話と〈如是我聞〉の構造―今昔物語集の形式をめぐって(上)
 説話集と物語と―今昔物語集の形式をめぐって(下)
 廃墟の表徴―今昔物語集の意匠をめぐって
 〈表題〉から見えるもの―鈴鹿本今昔物語集から
 三宝感応要略録の出現と震旦仏法史の劃期
第三章 今昔物語集本朝部の構想と世界
 三宝絵から今昔物語集へ―三国仏法史観と説話文学史の視界
 仏法初伝と太子伝―本朝仏法部の始発をめぐって
 聖徳太子伝から国史へ―今昔物語集本朝部という構想
 今昔物語集本朝部の構想―巻二十五「兵」譚の成立と「今」をめぐって
第四章 宇治拾遺物語の意匠と世界
 異国へ渡る人びと―宇治拾遺物語論序説/宇治拾遺物語の時間
 ひらかれる〈とき〉の物語―宇治拾遺物語の中へ
 地蔵から観音へ―宇治拾遺物語の中世
 〈次第不同〉の物語―宇治拾遺物語の世界
 〈なるべし〉という表現のこと―〈自記〉と〈他記〉とのあわい
終章 宇治大納言物語の方法と文学史
あとがき/引用本文等一覧/索引
プロフィール

荒木浩(あらき・ひろし)
1959年生まれ。京都大学文学部卒、同大学院博士後期課程中退(国語学国文学専攻)。大阪大学教授などを経て、現在国際日本文化研究センター教授・総合研究大学院大学教授。
主要著書に、新日本古典文学大系41『古事談 続古事談』(岩波書店、川端善明と共著)、『日本文学 二重の顔 〈成る〉ことの詩学へ』(大阪大学出版会)などがある。

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