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近代化による新しい文化と、伝統的なチベット文化の狭間で揺れながら生活する若者たちの「いま」を描く、チベット現代作家の作品集。同級生が突然高僧の転生と認定された少年の物語「ウゲンの歯」、羊飼いの少年とアメリカ人の出会いを描く「八匹の羊」、役者を探す旅に出た映画監督の放浪劇「ティメー・クンデンを探して」など、11作品を収める。
ペマ・ツェテン1969年、中国青海省海南チベット族自治州貴徳県(ティカ)生まれ。西北民族大学在学中に小説家デビュー。チベット語、漢語の両方で執筆し、高い評価を得ている希有な作家である。国内で多数の文学賞を受賞。その作品は英語やフランス語、ドイツ語、チェコ語、日本語などにも翻訳されている。初の小説集『誘惑』(チベット語)は「二十一世紀チベット族作家シリーズ」の一冊として刊行された。他に『ある旅芸人の夢』(漢語)、『都会の生活』(チベット語)を刊行。10年ほど前から映画制作を始め、故郷の人々の生活に深く迫り、丁寧に描き出す作風で、チベットの「今」を浮き彫りにする作品を次々と発表している。海外での評価も高く、国際映画祭での受賞歴多数。チベット文学研究会チベットの現代文学を愛好するメンバーによって結成。2004年頃から翻訳活動を開始。2008年からは雑誌『火鍋子』にて毎号チベット現代文学の作品を翻訳・紹介している。2013年にチベット文学と映画制作の現在を紹介する雑誌『SERNYA(セルニャ)』を創刊。星泉(ほし・いずみ)東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・准教授。著書に『現代チベット語動詞辞典(ラサ方言)』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)など。チベット映画の翻訳、字幕監修なども手がける。2006年に第2回日本学術振興会賞および第2回日本学士院学術奨励賞を受賞。大川謙作(おおかわ・けんさく)東京大学大学院総合文化研究科学術研究員(東京大学東洋文化研究所)。著作に「欺瞞と外部性:チベット現代作家トンドゥプジャの精読から」(『中国における社会主義的近代化』(勉誠出版))など。2008年に第4回太田勝洪記念中国学術研究賞を受賞。
・「国際貿易」(2014年1月28日)にて、本書のの紹介文が、著者紹介とともに掲載されました。・「週刊読書人」(2014年3月21日)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:豊崎由美(書評家))・「チベット文化研究会報」(2014年7月号)にて、本書の紹介文が掲載されました。