コテンブンガクノジョウシキヲウタガウ

古典文学の常識を疑う

松田浩・上原作和・佐谷眞木人・佐伯孝弘 編
ISBN 978-4-585-29147-3 Cコード 1091
刊行年月 2017年6月 判型・製本 A5判・並製 240 頁
キーワード 古典

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細

万葉集は「天皇から庶民まで」の歌集か? 源氏物語の本文は平安時代のものか?
中世は無常の文学の時代か? 春画は男たちだけのものか?


未解明・論争となっている55の疑問に答える。

 

 

目次
はじめに

第一部 上代文学
『万葉集』が「天皇から庶民まで」の歌集というのは本当か 品田悦一
「枕詞は訳さない」でいいのか 大浦誠士
『万葉集』の本来の姿はどのようなものか 小松(小川)靖彦
五七のリズムは日本固有のものか 岡部隆志
万葉仮名は日本語表記のための発明か 遠藤耕太郎
上代文学はどのような古代日本語で表されているのか 奥村和美
『古事記』と『日本書紀』の〈歴史観〉はどのように異なるのか 松田浩
『日本書紀』は「歴史書」か 山田純
『古事記』の出雲神話をどう読むか 三浦佑之
『古事記』の神話は日本固有のものか 猪股ときわ
天照大御神は太陽神か 烏谷知子
「風土記」は在地の伝承か 飯泉健司
『日本霊異記』は日本の仏教説話集の濫觴か 山本大介

第二部 平安朝時代文学
「国風文化」をどう捉えるか 渡辺秀夫
注釈学の発生メカニズムは解明可能か 東望歩
物語文学史の空白は書き換え可能か 渡辺泰宏
文献空白期の平安時代琴史 正道寺康子
諸本論は『枕草子』研究を革新できるか 山中悠希
五味文彦『『枕草子』の歴史学』の「新説」を検証する 津島知明
紫の上妻妾婚姻論は平安時代の結婚をどう読み替え得たか 鵜飼祐江
『源氏物語』の巻々はどのような順番で作られたか? 中川照将
『源氏物語』作中人物論の常識を問う 竹内正彦
『源氏物語』宇治十帖の謎 三村友希
『源氏物語』校訂本文はどこまで平安時代に遡及し得るか 上原作和
『源氏物語』の注釈書はなぜ思想書となったか 湯淺幸代
古筆研究はどこまで文学史を書き換えたか 仁平道明
作家の古典現代語訳はどのように推敲されたか 上原作和

第三部 中世文学
中世が無常の時代というのは本当か 藤巻和宏
和歌史において武士の時代はどう位置づけられるか 舘野文昭
中世歌謡と信仰はどのように結びついていたか 中本真人
中世に説話集が流行したのはなぜか 近本謙介
『平家物語』は鎮魂の書か 佐伯真一
『平家物語』の読み本と語り本はどう違うか 佐谷眞木人
『太平記』はどのような意図で書かれたのか 小秋元段
中世文学研究と「歴史学」の交錯 大橋直義
お伽草子は中世の文芸か 伊藤慎吾
中世の偽書 千本英史
琉球をめぐる文芸 目黒将史
軍記文学史は必要か 大津雄一

第四部 近世文学
日本における「文人」とは 池澤一郎
近世の歌論と実作 盛田帝子
国学における実証性と精神性 田中康二
浄瑠璃正本は実際の舞台にどれだけ忠実なのか 黒石陽子
歌舞伎人気はどれくらい地方にまで広がっていたのか 池山晃
『奥の細道』中尾本の意義はどこにあるのか 佐藤勝明
蕉風は芭蕉の何を受け継いだのか 深沢了子
近世における写本と版本の関係は 塩村耕
十九世紀江戸文学における作者と絵師、版元の関係 佐藤悟
西鶴浮世草子をどう読むべきか 中嶋隆
近世に怪談が流行ったのはなぜか 佐伯孝弘
秋成にとって『春雨物語』を書く意味とは 長島弘明
馬琴の「隠微」とは何だったのか 板坂則子
軍記はどのような人に読まれたのか 井上泰至
近世文学における教訓性とは 倉員正江
近世期における春画の用途と享受者 石上阿希

執筆者一覧
プロフィール

松田浩(まつだ・ひろし)
修士(文学-慶應義塾大学)。フェリス女学院大学文学部教授。専攻は日本古代文学(上代文学)。
共著に『法制と社会の古代史』(慶應義塾大学出版会、2015年)、論文に「県守の虬退治と「妖気」と―『日本書紀』仁徳紀・聖帝伝承の叙述方法と「無為」」(『日本神話をひらく』フェリス女学院大学、2013年3月)、「漢字で書かれた歌集―「人麻呂歌集」の書記と「訓み」と」(『古代文学』古代文学会、2013年3月)、「歌の書かれた木簡と「万葉集」の書記」(『アナホリッシュ國文學』響文社、2012年12月)などがある。

上原作和(うえはら・さくかず)
博士(文学-名古屋大学)。桃源文庫日本学研究所教授・法人理事。
専攻は平安時代物語文学、文献史学、日本琴學史。主著に『光源氏物語傳來史』(武蔵野書院、2011年)、共編著に『人物で読む源氏物語』全20巻(勉誠出版、2005~2006年)、『日本琴學史』(勉誠出版、2016年)などがある。

佐谷眞木人(さや・まきと)
博士(文学-慶應義塾大学)。恵泉女学園大学人文学部教授。専攻は古典芸能、軍記物語、民俗学。
主著に『平家物語から浄瑠璃へ―敦盛説話の変容』(慶應義塾大学出版会、2002年)、『日清戦争―「国民」の誕生』(講談社現代新書、2009年)、『民俗学・台湾・国際連盟 柳田國男と新渡戸稲造』(講談社選書メチエ、2015年)などがある。

佐伯孝弘(さえき・たかひろ)
博士(文学-東京大学)。清泉女子大学文学部教授。専攻は日本近世(江戸時代)文学。
主著に『江島其磧と気質物』(若草書房、2004年)、共編著に『浮世草子研究資料叢書』全7巻(クレス出版、2008年)、『八文字屋本全集』全23巻(汲古書院、1992~2000年)などがある。

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