ブンガクノナカノカガク

文学のなかの科学

なぜ飛行機は「僕」の頭の上を通ったのか
千葉俊二 著
ISBN 978-4-585-29157-2 Cコード 3095
刊行年月 2018年1月 判型・製本 四六判・上製 336 頁
キーワード 評論,近現代

定価:3,520円
(本体 3,200円) ポイント:96pt

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書籍の詳細
文学も科学も、そう遠いものじゃない!?

寺田寅彦は、金平糖の結晶やガラスの割れ目など偶然に見える現象に法則を見いだそうとし、二葉亭四迷・夏目漱石をはじめとする近代作家たちは、文学作品のうちに隠された法則を探ろうと苦闘した。小説のなかに働く力学と、20世紀後半に確立したカオス、フラクタル、セルオートマトンといった複雑系の科学。芥川龍之介、谷崎潤一郎、村上春樹といった作家たちの文学と科学とをつなぐ、物語生成の法則を考察する。
附録に、全集未収録の横光利一「文学と科学」、寺田寅彦の書簡も掲載。

 

 

目次
はじめに―〈カオスの縁〉の方へ

序章 相似・アナロジー・フラクタル

第Ⅰ部 カオス・フラクタル・アナロジー
物語の自己組織化―村上春樹『風の歌を聴け』
【column】〈色彩を持たない多崎つくる〉の物語法則
なぜ飛行機は「僕」の頭の上を通ったのか―芥川龍之介『歯車』
震災・カンディード・芥川龍之介
芥川龍之介と谷崎潤一郎―小説の筋論争をめぐって
【column】建築と文学―谷崎潤一郎の場合

第Ⅱ部 近代文学のなかの科学
近代小説の力学的構造―夏目漱石『それから』
【column】文学史のなかの夏目漱石
語り手の「居所立所」―二葉亭四迷『浮雲』
【column】不易流行
附録① 寺田寅彦、石原純宛全集未収録書簡
科学と文学とのあいだ―寺田寅彦、石原純宛全集未収録書簡をめぐって
附録② 横光利一「文学と科学」
横光利一「文学と科学」について
【column】AI(人工知能)と文学

終章 君なくてあしかりけり

主要参考文献

あとがき
プロフィール

千葉俊二(ちば・しゅんじ)
昭和22年、宮城県に生まれ、のち横浜に育つ。早稲田大第一文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程中退。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専門は日本近代文学。
著書に『物語の法則』、『物語のモラル』など。中央公論新社から刊行されている決定版『谷崎潤一郎全集』の編集委員も務める。

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