モノガタルブッキョウカイガ

物語る仏教絵画

童子・死・聖地
山本陽子 著
ISBN 978-4-585-37011-6 Cコード 3071
刊行年月 2023年10月 判型・製本 A5判・上製 616 頁
キーワード 美術,民俗学,仏教,説話

定価:11,000円
(本体 10,000円) ポイント:300pt

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書籍の詳細
なぜ特異な仏画が作られたのか

日本中世において数多く制作された仏教絵画のなかで、類例のない図様を持ち、制作当時とは異なる名称で呼ばれたり、別の信仰の文脈で語られてきたりした経緯をもつ、特異な仏画が存在する。
これらはどのような意図で制作され、何を意味しているのか。そして、なぜ多種多様な形態や伝説を持っているのか。
とりわけ「童子・死・聖地」にまつわるこれらの仏画や垂迹画を丹念に読み解き、図像的特徴や成立背景、制作意図を明らかにする。さらに、これらの仏教絵画が制作された時点における、伝承や説話からの影響関係、受容の様相を探る。
美術史学・説話文学・民俗学研究など隣接諸学に寄与する研究成果。

 

 

目次
はじめに

序 神を見ることと描くこと―石清水八幡宮の事例を中心に

第一部 仏画と垂迹画における童子像―神の家の小公達
一 粉河寺の童男行者信仰―フリア美術館蔵伝聖徳太子修業像を中心に
二 春日の赤童子信仰
三 童形の日吉十禅師像
四 熊野曼荼羅の切目王子―神々のヒエラルキー
五 越前系の白山垂迹曼荼羅―遊行寺本と国上神社本
第一部まとめ―童子像は借用され、読み替えられ、まとめられる

第二部 死をめぐる図像
一 ボストン美術館本菩提樹像は何を表すものか
二 法華寺蔵阿弥陀三尊及童子図はどのように掛けられたか
三 金戒光明寺蔵地獄極楽図屛風はどのように使われたか
四 聖衆来迎寺本六道絵「天道」幅の主人公は誰か
補論 天人から天女へ―なぜ五衰の天人が女性とされるようになったのか
五 聖衆来迎寺本六道絵人道不浄相幅はなぜ女性なのか
六 聖衆来迎寺本六道絵人道不浄相幅と九州国立博物館本九相図巻の噉相は何に基づいたか
七 長岳寺蔵六道十王図に天道は描かれていないのか
八 斜め構図の兜率天曼荼羅図がなぜ描かれたのか―延命寺本と根津美術館本を中心に 
第二部まとめ―鎌倉時代、死の文化は多様に展開する

第三部 中国の霊山信仰から日本へ・観音と霊地信仰
一 長沙馬王堆漢墓出土の帛画はなぜT字形状か
二 須彌山石とは何を表したものか―水源伝説としての崑崙山
補論 日本における三山信仰―三山もしくは三峯という構成の根拠は何か
三 水月観音図の創作にどのような先行図様が引用されたか
四 フリア本地蔵十王図と佉羅陀山地蔵図様はどのように成立したか
五 雲乗の十一面観音図様とはどのような意味なのか
六 宮曼荼羅になぜ参詣人が出現したか―普陀山図の影響を考える
補論 粉河寺蔵「南海名山普陀勝境圖」と中国における普陀山図の展開
第三部まとめ―現実の霊地に伝説の聖地を重ねる

おわりに

図版出典一覧
初出一覧
索引
プロフィール

山本陽子(やまもと・ようこ)
1955年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科(美術史)博士課程後期単位取得。博士(文学)。
東邦音楽大学・明星大学・跡見学園女子大学・早稲田大学・東京純心女子大学・多摩美術大学・一橋大学大学院・お茶の水女子大学等非常勤講師を経て明星大学教育学部教授。
専門は日本中世絵画史。
著書に『絵巻における神と天皇の表現―見えぬように描く』(中央公論美術出版、2006年)、『絵巻の図像学―「絵そらごと」の表現と発想』(勉誠出版、2012年)、『図像学入門―疑問符で読む日本美術』(勉誠出版、2015年)、『はじめての日本美術史』(山川出版社、2018年) など。

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