アジア遊学291
ゴダイジッコク

五代十国

乱世のむこうの「治」
山根直生 編
ISBN 978-4-585-32537-6 Cコード 1322
刊行年月 2023年12月 判型・製本 A5判・並製 312 頁
キーワード 交流史,仏教,中国,東アジア

定価:3,520円
(本体 3,200円) ポイント:96pt

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書籍の詳細

五つの王朝が交代を繰り返した華北、十の王国によって分割された江南ー「五代十国」の時代は、中国史上にしばしばあらわれる「乱世」「分裂割拠」のくりかえしとして、いわゆる「唐宋変革期」における取るに足りない過渡期と見なされてきた。
しかし、我々は宋王朝を正統とするために打ち出されたこの「五代十国」の概念にとらわれ過ぎてしまっていたのではないか?
同時期の各政権・各地方を仔細に検討してみると、新時代に対応しようとする各々の模索のあり方が浮かびあがってくる。
従来「乱」や「離」としてばかり取り上げられてきた五代十国それぞれの「治」を先入観無く見つめることで、十世紀前後を跨ぐ中国史の大きな展開を明らかにする。

 

 

目次
序論 山根直生

1 五代
後梁―「賢女」の諜報網 山根直生
燕・趙両政権と仏教・道教 新見まどか
後唐・後晋―沙陀突厥系王朝のはじまり 森部豊
契丹国(遼)―華北王朝か、東ユーラシア帝国か 森部豊
後漢と北漢―冊封される皇帝 毛利英介
急造された「都城」開封―後周の太祖郭威・世宗柴栄とその時代 久保田和男
宋太祖朝―「六代目」王朝の君主 藤本猛
〔コラム〕宋太祖千里送京娘―真実と虚構が交錯した英雄の旅路 謝金魚(翻訳:山根直生)

2 十国
「正統王朝」としての南唐 久保田和男
留学僧と仏教事業から見た末期呉越 榎本渉
〔コラム〕『体源抄』にみえる博多「唐坊」説話 山内晋次
〔コラム〕五代の出版 高津孝
王閩政権およびその統治下の閩西北地方豪族 呉修安(翻訳:山口智哉)
楚の「経済発展」再考 樋口能成
正統の追及―前後蜀の建国への道 許凱翔(翻訳:前田佳那)
南漢―「宦官王国」の実像 猪原達生
〔コラム〕万事休す―荊南節度使高氏の苦悩 山崎覚士
「十国」としての北部ベトナム 遠藤総史
定難軍節度使から西夏へ―唐宋変革期のタングート 伊藤一馬
〔コラム〕五代武人の「文」 柳立言(翻訳:高津孝)
プロフィール

山根直生(やまね・なおき)
福岡大学教授。専門は中国唐宋時代史。
主な研究に、「五代洛陽の張全義―『沙陀系王朝』論への応答として」(『集刊東洋学』第114号、2016年1月)、「五代後周世宗朝をめぐる「だれが」「いつ」「どこで」―後周・北宋初のプロト・ナショナリズムに関する再考」(『史学研究』第305号、2020年3月)、「狼山の孫氏―河北定州資史料に見る宋遼境界の担い手」(『歴史資料と中国華北地域―遊牧・農耕の交錯とその影響』2021年1月)などがある。

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