ワジンゴノカイドク

「倭人語」の解読

安本美典 著
ISBN 978-4-585-05122-0 Cコード 0021
刊行年月 2003年6月 判型・製本 A5判・上製 380 頁
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定価:3,520円
(本体 3,200円) ポイント:96pt

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書籍の詳細

「倭人語」解読の鍵は、当時の中国音と「万葉仮名の読み方」にあった!

「卑弥呼」の意味は、どの説が正しいか?
 「日御子」説(新井白石)
 「姫児」説(本居宣長)
 「姫命の略」説(松下見林)

 

 

目次
はじめに
「倭人語」は、日本語の一種である/「音韻」と「音声」/「民族」と「言語」

プロローグ 弥生時代の「ハイ」「イエス」
●うけこたえの声、「噫」は、どんな音をうつしたのか?●
『魏志倭人伝』とは/「ハイ」を、「噫」という/一流研究者の読み方もまちまち/最古の日本語資料/「噫」は、「い」や「あい」ではない/奈良時代の日本語の対応の声は「をを」/日本語は、弥生時代から日本語だった

第1章 「倭人語」入門
●「不弥」は、「宇美」と読めるのか?●
1 「倭人語」についての議論点−諸説を整理する
六つの議論点/上古音で読むべきなのか、中古音で読むべきなのか/「倭人語」は、「卑字」で記されているのか/議論を、統計学的、確率論的に検討すれば/「倭人語」はどのような日本語と結びつくのか/三世紀の日本語の特徴/長田夏樹氏の「倭人語=筑紫方言説」/「邪馬臺(台)国」か「邪馬壹(壱)国」か/浜田敦の論考/大森志郎の「邪馬台国=大和説」/田中卓氏の反論
2 解読のしかた−「語源俗解(こじつけ)」をさけるために
基礎資料の提出/手がかりとなる「地名」/一支国/対馬国/末盧国/地名の読み方についての暫定的通則/伊都国/奴国/不弥国/六つの地名は、「万葉仮名の読み方」で読める

第2章 鍵は「万葉仮名」にある
●どのような手続きで読むのか?●
1 「蘇奴国」を解読する
すべての「倭人語」が「万葉仮名の読み方」で読める/国名は「奴」の字のつくものが多い/「倭人語」の「奴」は、助詞の「の」の意味の「な」/「蘇奴国」は、「佐嘉(賀)郡」の地/ひとつの国名の解読は、連鎖反応をおこす/伊勢の国「佐那那県」も候補たりうる/『魏志倭人伝』の国の大きさ/「蘇奴国」のその他の候補地/「末尾子音活用の読法」について/音をおぎなわなければ読めない/「対馬国」が、上古音で読める!/「子音重複の表記法」について
2 「好古都国」を解読する
「倭人語」に、「h音」はあったか/「好古都国」は「岡田国」/京都府相楽郡にも、「岡田」はある

第3章 「卑弥呼」は「ひみこ」と読めるのか
●「日御子」か、「姫子」か、「姫命」か?●
1 諸国の官名を解読する−神代記事と一致するものが多い
記紀神代の巻の謎を解く/官名「多模」/官名「爾支」/官名「弥弥」/宗女「台与」/「たま」「にき」「みみ」「とよ」の過半は、『古事記』上巻にあらわれる/『魏志』は、官名と人名を、書きわけている/「とよ」は、女性的名称である/「卑狗」は、「彦」/「卑奴母離」は、「夷守」/「多模」についての補足/「爾支」についての補足/「弥弥」と「弥弥那利」とについての補足/「觚」は「子」「児」である/「●[凹+あし]馬觚」は「島子」/「泄謨觚」を考える/「柄渠觚」を考える
2 「邪馬台国」の官名・人名を解読する−女王名は「日御子」か、「姫子」か、「姫命」の略か
「卑弥呼」は、「ひみこ」か/「卑弥呼」の意味/「弥馬獲支」は、「御体傍」であろう/「弥馬升」を解読する/「伊支馬」を解読する/「奴佳●[革+是]」を解読する/狗奴国の官、「狗古智卑狗」/「烏越」は、「青」か

第4章 浮かびあがる「邪馬台国」
●「邪馬台国」と「大和朝廷」との関係は?●
1 「邪馬臺国」を解読する−「邪馬台」と「大和」
「邪」か「耶」か/「邪馬台国」は、「ざまと国」?/「邪」は、やはり、「や」を表記している/「馬」の読み方/「臺」と「台」は、もともとは別字/「邪馬台」と「大和」/「大和」をなぜ「やまと」と読むか/「邪馬台国」と「大和朝廷」との関係/日本の国号は、三世紀から八世紀まで「倭国」であった/「邪馬臺」は「やまと」と読みがたいか
2 「邪馬臺(台)国」「邪馬壹(壱)国」の候補地名をさぐる−質では畿内説、量では九州説が有利
「と」と「た」の転化/「甲類の卜」「乙類の卜」「つ」などが、通用する議論もなりたつ/「邪馬臺国」か「邪馬壹国」か/「邪馬壹」が連合名称である可能性/一致をはかる基準/「大和の国」が、とびぬけて有力/北九州に多い関連地名/女王国の名は、やはり「邪馬臺(台)」

第5章 地名と人口から見た倭人の国々
●「投馬国」はどこか?「華奴蘇奴国」とは?●
1 戸数から見た邪馬台国−「邪馬台国」は、大地域の地名
「邪馬台国」は、郡ていどの大きさの国ではない/「邪馬台国」は、総合名称/奈良時代の九州の人口/奈良時代の人口と邪馬台国時代の人口/邪馬台国時代の全国人口/減少した北九州の人口/九州各国、各郡の人口/松浦郡の推定人口/対馬国、一支国、末盧国の人口/伊都国の人口/奴国の人口/不弥国の人口/投馬国の人口/邪馬台国の人口/狗奴国の人口/『魏志倭人伝』の戸数
2 『魏志倭人伝』の諸国名を解読する−「鬼国」と「鬼奴国」の区別はあるか
すべての漢字を、「万葉仮名の読み方」で読む/「投馬国」はどこか/二十一国の記載順に、意味があるのか/「邪馬国」は、筑紫平野南部/「鬼国」と「鬼奴国」/「華奴蘇奴国」は、吉野ケ里の地/「呼邑国」は、佐賀県「小城郡」の地か/「奴国」は、宮崎県那珂郡?/「対蘇国」は、肥前の国の「鳥栖郷」であろう/「弥奴国」は、「三井郡」の地であろう/「斯馬国」は、やはり、筑前の国「志麻郡」であろう/「巳百支国」を解読する/地図上にプロットして気のつくこと/代表的な候補地など

第6章 解読についての討論
●これまでの読み方の妥当性は?●
1 地名についての討論
地名の残存率/吉野ケ里の地についてのディスカッション/『肥前国風土記』は語る/『日本書紀』は語る/吉田東伍の見解/井上通泰の見解/「神埼」は、むかしからあった地名ではないか/神埼郡のほうが、三根郡よりも大きかった/関東の地名と北九州の地名
2 『隋書』の「倭人語」を解読する
『隋書』の地名と国名/『隋書』の人名など
3 人名などについての討論
「難升米」は、「天の宇受売」?/「弥馬升」と「皇産」/「倭人語」は、「馬韓」「弁韓」「辰韓」の言語と同じか、違うか/結論

第7章 新釈「倭人伝」
●「長大」の意味は?「仮授」とは?●
この章のはじめに/長大/仮授・拝仮/都督/一大率/大人/大夫/令亀法/停喪十日/白珠/孔青大句珠/倭人在帯方東南大海之中依山島為国邑/倭王因使上表/厭大魚水禽/黥面文身/乍南乍東/絳青●[糸+兼]/邸閣/預樟・桑・紵・橿・橘/木緜/被髪/徒跣/徇葬者奴婢百余人

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