予言書が浮き彫りにする朝鮮文化史
十八世紀半ば、突如として朝鮮半島に現れた予言書『鄭鑑録(テイカンロク)』 。 そこには漢城(現ソウル)を首都とする李氏の王朝が滅び、南の島からやってきた真人(救世主) =鄭氏が 鶏龍山のふもとに新たに王朝を開く物語が描かれていた―
朝鮮王朝において「禁書」とされ、弾圧の対象となった同書が、 密かに民間に流布し、現実の王朝転覆事件をもたらすにまでいたったその背景、そして、古代から近現代に至るまで朝鮮の政治社会に大きな与え続けてきた 予言書の系譜を照射することで、朝鮮半島の文化体系を鮮やかに描き出す。