カートは空です。
「読本」を存分に咀嚼し、愉しむこと―それは作家の潜めた典拠を探知し、その融合の巧妙さを如何に味わうかということに他ならない。本書では、読本作家中、特に博学や独創を強く打ち出し、その典拠の判断において、厖大な知識量を要する曲亭馬琴と、馬琴のかつての師であった山東京伝の中編、計38作品を取り上げ、典拠・成立・梗概について詳述。馬琴・京伝の作品世界、そしてその背景にある知の沃野を闊歩するためのレファレンスツール。
徳田武(とくだ・たけし)1944年群馬県生まれ。明治大学法学部教授。早稲田大学第一文学部卒、1974年同大学院博士課程修了。文学博士。1979年に窪田空穂賞、1980年に日本古典文学会賞、1987年『日本近世小説と中国小説』で日本学士院賞を受賞。主な編・著書に、『梁田蛻巌 秋山玉山』(江戸詩人選集2、岩波書店、1992年、復刊、2002年)、『近世説美少年録』1・2・3(新編日本古典文学全集、小学館、1999~2001年)、『日本古典文学研究史大事典』(勉誠出版、1997年)、『日本漢詩集』(新編日本古典文学全集、小学館、2002年)、『近世日中文人交流史の研究』(研文出版、2004年)、『幕末維新の文人と志士たち』(ゆまに書房、2008年)、『元治夢物語―幕末同時代史』(岩波文庫、2008年)、『朝彦親王伝―維新史を動かした皇魁』(勉誠出版、2011年)などがある。