大分県豊後高田市の「田染荘小崎」は、平安時代から中世にかけて宇佐八幡宮の根本荘園として栄え、その水田景観が往時とかわらない良好な状態で保持され、いまに伝えられる村落遺跡である。六郷満山の仏教文化、熊野磨崖仏などの石造文化財、豊かな自然環境など地域資源が豊富であり、環境(エコロジー)と史跡(サイト)を兼ね備えた野外博物館「エコ・サイトミュージアム」と名付けることができる。
この田染荘の歴史的・文化的意義について、文献史学・考古学・民俗学・生態学など多分野の視点から考察する。そして、1981年の村落遺跡調査から2010年の「重要文化的景観」の指定に至る道程を検証し、景観保存のあるべき姿を探る。