20世紀初頭、各国の思惑が入り乱れる内陸アジアに入った大谷探検隊。
仏跡調査を目ざすこの隊を、英・露・清国、そしてチベットのダライ・ラマ13世は、どのように見たのか。また小村寿太郎、続く内田康哉外務大臣は、各国の抗議にどのように対処したのか。
新資料・外務省外交記録が、その知られざる真相を、ここに詳細に浮き彫りにする。
本著は、20世紀初頭の日本のアジア広域調査活動、すなわち大谷探検隊の活動を、日本国外務省の関係外交記録を一つの主要な資料とし、これに旧・英国インド政庁の外交記録も加えながら、(1)従来知られることのなかった大谷隊の調査活動の実態とともに、(2)当時の国際政治社会の中に映ったその調査活動の様相の二つを並行して明らかにしようとするものである。