図像解釈の連環より日本文化の“知”の体系を見出す
日本文化のめざましい特色のひとつは、時代を越え、領域を超えて、ある文化主題が強靭な生命力をもって受けつがれることである。
その文化の伝承とは、絶えず姿を変え、多様な舞台に遷りかわり、互いに影響を及ぼし合いながら、人々の心意に深くはたらきかけるメッセージとなって、世界像を革新していく“知”の発信でもあった。そうして、何よりその媒体として力を発揮するのがイメージ、つまり図像にほかならない。
本書では仏教をはじめとする宗教や、病や死など身体にまつわる根本的な課題などに着目し、図像解釈の連環の中で、文化の創造と“知”の発信が如何になされていったのかを考究する。